第3話 ここに来た訳

「ちょっと、自分も一応いるという事を忘れてもらっては困りますよ。パイロットになったのは偶然だとしても、自分にその素質が無いというのは、許しがたいです」

 すると横から秋原圭一が、急に割り込んで会話の中に入ってきたのであった。ロボット機体の内部にずっといるのは退屈なのかわからないが、トレーラーの運転席に話しかけて、やりとりをするのである。

「秋原圭一君だっけ? 君はまだ18歳だったよな。ベテランパイロットに混ざって、唯一史上最年少で潜り込んできた志願兵というのは。君のような若者が来るとは、私は思ってもみなかったよ」

「いえ、私は本当なら志願する気はなかったのです。親の方針でそうなったというか。本来なら自分は戦闘を起こすつもりはなかったのですよ」

 ここで秋原圭一は、自分は本来なら自分も青春を謳歌する予定だったと明らかにするのであるが、父親である秋原利彦の仕込みによりパイロットにさせられたと説明するのだ。なんだと思う運転手の人達であるが、その中に別のパイロットもそうかと感じている人もいたのである。

「まあ頑張ってな、ここで死んだら君の思いも浮かばれないだろうから、その思いは戦闘にぶつけた方がいいで」

 運転手のおじさんがそのように言うと、他のロボットである機体から中に割り込んでくる人物がいたのである。

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