第4話 人がたくさん集まればそれだけ不平等が生まれる
〜AM9:00 太田サキ〜
授業の合間に、スマホがやたらと光るので電源をOFFする。
元々スマホ自体が苦手だし、今行われている歴史の授業は、
一部トラウマがあるものの嫌いではない。
歴史教師のダラダラと息継ぎなく喋る話法がクセが強くて面白いのもあるが
サキにはよく聞いていないと外国語に聞こえるという理由もある・・
隣から何かが飛んできて頭に当たる。
よし、訴えよう。私はイジメには屈しない。と心の中でサキは思う。
証拠を集めて、未成年でも罪に問われる事をしっかりと理解してもらおう
誰がなんと言おうとイジメる方が悪いのだ。イジメられる側にも原因がある?
あったとしても手を出した時点で犯罪だ。
外で知らない人に殴られたら暴行罪。怪我をしたら傷害罪。
警察に通報すれば加害者は犯罪者となり前科がつく。そうだまずは暴行罪からだ
・・・・・・
こんなにはっきりしているのになぜイジメられる側にも原因があるのだろうか?
仮説を立てよう。
どんな状況であれば被害者であるはずのイジメられる側の罪が確定するのか
それはまずは・・・罪をすでに犯している場合
または罪を犯そうとしている事を止めるためにイジメる
これは更生する為の指導や強制という事だろうか?しかし近年体罰自体を禁じられている。・・・体罰とは?教師は指導の為に暴力を振るっていいのか??
隣から何かが飛んできて頭に当たり、机の上に落ちる。
手紙?私は今何をしていたのだっけ?
横を見ると佐川と目が合う。真面目な顔?をしている
佐川の机にはいくつもの折り紙の手裏剣?誰に投げる気だ?訴訟だぞ
佐川は手紙を開けと合図を送ってきて、授業に戻る。
そうだ今授業中だ。慌てて手紙を握り込み、教科書のページを探る。
まだあまり進んでいない様子だ。
なんだろう・・前のクラスメイトの影に隠れて手紙を開く
うん。丸文字だ。これも90年代カルチャーらしい。なんとか解読する・・
必要もあまりないだろう。多分「ハロウィン行こー」だろう
その後も授業中のお手紙攻撃や、授業の間。
そしてお昼の時間を目いっぱい使ったカナの「いこ~よ~」攻撃。
それにサキが耐え切れるはずもなく、結局昼食後には・・
ハロウィンの当日に、川崎を案内する計画が立ち上がっていた。
「学校帰りに寄るくらいなら案内できるけど・・」
と、サキは百歩譲ってそう言ったのだが・・どうやら敵には効いていない
すでにカナのテンションはMAXだ。
「お祭りでショーー!行くんだったら一日めいっぱい楽しまないと~~楽しみなんですけど~〜カナも仮装するから〜〜サキもするかな〜??イエス!カソー!ビバカソー」
「え?!仮装するのは・・ちょっと」
何とか否定しようとすると佐川が口を挟む。
「ふむ・・やるならば目立たねばなるまいな、委員長。そこで、体にトイレットペーパーを巻きつけて火をつけるってのはどうかな?」
「イエス火葬~~」
「無理だよ。そんなの。」
されてたまるか! お前がしろ!
「ではこういうのはどうかな?薬を使ってバーチャルにトリップ!そうここは現実ではなく!」
「仮想~~」
「さらに二人が重なって下のほうが・・」
「下層~~」
「そこで問題です。村に人がいなくなっていくことをなんという?」
「過疎~~??」
「カナ君正解!2点あげよう!」
付き合いきれないし、人の話をきかないし
『多数決ほど不平等なものはない』私は心からそう思った。
あ、そうか、人がたくさん集まればそれだけ不平等が生まれるのか・・
だからイジメが起きるのかもしれない。
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