第344話
ガッデス王の後を歩いていくラグナ。
ガッデス王は大きなハンマーを背負っていた。
「その大きなハンマーは?」
「これか?これは鍛冶紳様に会うためのカギじゃ。」
「カギ?ハンマーが?」
「まぁ行けば判るのじゃ。」
ドワーフの成人よりも遥かに大きなハンマーを軽々と背負っている光景を見ると、改めてドワーフの力の強さを思い知る事が出来る。
ラグナは何故か落ち着きが無く、ずっとソワソワしているルヴァンに鍛冶紳様について尋ねる。
「ルヴァンさん、鍛冶紳様はどういう方なのですか?」
「か、鍛冶紳様か……素晴らしい鍛冶の腕をお持ちの方だ。」
『俺が聞きたいことはそういう事じゃ無かったんだけど……』
ラグナがルヴァンの返答に困惑していると、ガッデス王が突然笑い始める。
「ルヴァンよ。本当にあの方が苦手じゃなぁ」
ガッデス王にそう言われたルヴァンは苦虫を噛み潰したような表情になり、
「あの方が苦手という訳じゃないわい。ただ……どうせ行けば判るんだ。後は実際に見て悟ってくれ。」
そういうと、フンと顔を背けてしまった。
「まぁ、気持ちはわからんでは無いがな」
ムスッとした弟であるルヴァンを見ながらガッデス王は苦笑いをするだけで、結局ラグナは鍛冶紳がどんな方なのか知ることが出来なかった。
そんな話をしている間に大きな扉の前に辿り着くと、ガッデス王は背中に背負っていた巨大なハンマーを手に取ると大きく深呼吸をした。
そして
「どっせぇぇぇぇぇぇい!!!」
と言いながら思いっきりハンマーで扉を殴りつけた。
物凄い勢いで振るわれたハンマーは扉の中心に激しく衝突。
一瞬扉の中心が光ったものの、すぐに光が消えてしまった。
その後も何度かハンマーが振るわれるが、扉が開く気配は無かった。
「ぜぇぜぇぜぇ……」
息も絶え絶えになるガッデス王。
するとルヴァンがガッデス王から無言でハンマーを奪い取る。
「ふんッ!」
今度はルヴァンはハンマーを振り下ろす。
ハンマーは扉のほぼ中心に叩きつけられた。
「すげぇ……」
扉の中心にある隙間から光が広がっていく。
あまりにも眩しいため思わず目を覆うラグナ。
そして、その光が完全に収まった後……
ガチャッ!!
カギのロックが解除された様な音が扉から聞こえた。
そして勝手に開いていく扉。
「ぜぇ……ラ、ラグナ様、気をつけて下され……ぜぇ……中々に気合いが要りますので」
ガッデス王が息を整えながらそう言った意味をすぐに理解する事が出来た。
扉が開いたと同時に襲ってきたのは熱風。
そして扉の先には下へと降りる階段が続いていた。
ガッデス王は大きく息を吸い込み気合いを入れると、
「それじゃあ行きますぞ。もし限界を感じたら、この部屋まで戻ってくれれば大丈夫ですのじゃ。出るときは簡単に扉が開くので」
そう言うと、まるで穴を掘って作られた様な通路の中にある階段を降りていく。
無言で階段を降りていく三人。
降りれば降りるほど暑さは増してくる。
どれだけ降りたのだろう。
ラグナが暑さにバテそうになった時、ガッデス王が歩みを止めた。
目の前には先ほどとは違い、小さな扉が。
ガッデス王が扉を開くと……
グツグツと煮えたぎるマグマが、あちこちで川のように流れている広い空間が広がっていた。
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