第343話

ガッデスへと入国後、謁見の間ではなくすぐに会議室へと案内されたラグナ。


「まだ来るタイミングにしては早いと思うたのじゃが……」


予定よりもかなり早く来たラグナに戸惑うガッデス王。


「それが……これをガッデス王へと……」


ラグナはガッデス王へと直接手紙を手渡す。


「これは……ルテリオ様からじゃと……?」


アルテリオンの実務はアリッサム王がおこなっているはず。


何故アリッサム王ではなくルテリオから手紙が来たのか……


手紙を確認するのが怖くなるガッデス王だったが、恐る恐る取り出すと手紙を読み始める。


そして



「な、なんじゃと!?ラグナ様、これは事実なのか!?」


「えっと……僕は手紙の内容を知らないので……」


「そ、そうじゃったか。この手紙にはアルテリオンの街が半壊し、城も倒壊したと……そしてアリッサム王が意識不明の重体だとも。」


「「なんだと!?」」


ガッデス王が手紙の内容を伝えると同じく会議室にいた幹部達も驚き声をあげる。


「……事実です。街はあちこちが破壊され、城は完全に倒壊しています。アリッサム王も敵の攻撃によって怪我を負い、未だに意識は戻っていません。」


ラグナからの証言に騒ぐ幹部達。


ドン!!


突然会議室の扉が開かれる。


「ラ、ラグナ様!!これは何だ!?」


慌てた顔で会議室へと飛び込んできたのはルヴァンだった。


『あっ!やべぇ!?』


ルヴァンが手に持つのはゴーレムの動きを封じる為に使用した2種類のペグだった。


「ルヴァン、後にしろ!今はそれどころではない!」


珍しく焦った様子の兄の姿にルヴァンは驚く。


そして無言で差し出された手紙を読み始めると、ことの重大性を理解する事が出来た。


「兄者……我らはどう動けばよい?」


「……鍛冶神様に話を通すしかなかろう。」


初めて聞く神様の名前にラグナは疑問を抱き、


「あの……鍛冶神様とはいったい?」


とガッデス王に尋ねた。


「アルテリオンの主神はルテリオ様じゃが、我らガッデスにも主神である鍛冶神様がいらっしゃるのだ。」


「えっ!?この国にも神様が!?」


「そうじゃ。じゃがそう頻繁に会うことは出来ぬ。忙しい方なのでな……軍務大臣よ。開発部と協力し一部兵士をそちらへ回し、ゴーレムの素材回収を続けてくれ!」


「はっ!!」


「門の防衛も確実にな!頼んだぞ!ルヴァンは儂について来い!」


ルヴァンは少し困惑した表情のまま、頷くのだった。


「もしよろしければ、ラグナ様もどうか一緒に」


ガッデス王からのまさかの提案に驚くラグナだったが……


鍛冶紳様がどの様な方なのか興味があったので、


「よろしくお願いします。」


と申し出を受けることにしたのだった。

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