第340話
体調を崩してからずっと絶不調気味です泣
関節も痛いんですけど、コレは……
バコン!
バコン!
リズミカルなハンマーの打撃音が鳴り響く。
「よーし、腕外せー!!」
クサビが打ち込まれ腕や足がもがれた結果、残る部分は頭部と身体のみ。
頭をバタバタと動かし最後の抵抗を試みるゴーレム。
「動くんじゃねぇよ!」
バコン!!
ルヴァンの怒号と共にハンマーによる強烈な一撃が再びゴーレムの顔面へと降り注ぐ。
ゴーレムの頭部が地面へとめり込む。
「最後はここだ!絶対に魔石を傷物にすんじゃねぇぞ!!」
「「へぃ!」」
ルヴァンの指示の元、ドワーフ達はゴーレムの身体の中心を丁寧に削って掘り進めていく。
ドワーフ達に全く気がついてもらえないラグナも、少し離れた場所からその様子を見学していた。
身体の中心をガツガツと掘られる度に激しく震えているゴーレム。
もはや抵抗することなど出来ない状態だった。
「見えやした!」
「慎重にな!」
ドワーフ達によって解体されたゴーレムの中心にはまるで宝石のように青く輝く丸い玉が埋め込まれていた。
その玉を慎重に両手で取り出すドワーフ。
玉を身体から抜かれた瞬間にゴーレムの動きは停止したのだった。
「よし、良くやった!素材はすぐに工房に運び込め!この調子でどんどん集めるぞ!!」
「「おぅ!!」」
ドワーフ達は次の獲物を求めに行こうとした所で、
「あ、あの~」
と恐る恐る自分達に話し掛けた存在に気がついた。
「なんじゃ、今忙しいのだ!ってアナタ様は!?」
「「酒の神!!」」
突然自分達の側にラグナが現れたと思って驚いているルヴァンと、ラグナの姿を見て酒の神と祈り始める部下達。
「えっと、別にお酒の神様じゃないので祈らないで下さい……」
ありがたや~と拝み始めるドワーフ達にドン引きするラグナ。
「何故ラグナ様がこの様な場所に?まだ次の物資まで時間は有るはずですが……」
次の物資輸送は早くとも1ヶ月後だとルヴァンは兄から聞いていた。
酒の在庫確認と1日の酒の流通量の調整もしたばかり。
「ちょっとアルテリオンでゴタゴタがありまして。それで、皆さんは何故こんな所まで?」
「何故って……そりゃぁ、文献でしか見たことが無かった素材が目の前に現れたんだぞ?集めるに決まってるじゃないか。なぁ?」
ルヴァンの返事に当然だろうという顔をしながら頷くドワーフ達。
「素材って……あれは一応魔物のはずなんですけど」
「四肢を破壊しちまえば素材の様なもんだろ。それに、長年我らドワーフが望み続けた素材が向こうから現れてくれたんだ。また取れなくなるかもしれない可能性もある。だから我々が使う分以外にも今後産まれてくる未来の子供達の為にも確保せにゃいかんのだよ。」
そう真面目な顔で語られてしまった。
ドワーフ達の中ではもはやゴーレム=素材という感覚でしか無いらしい。
「親方ぁぁぁ!あっちにも素材が歩いていましたぜ!」
「そうか!じゃんじゃん集めていくぞ!それじゃあラグナ様、俺達はこれで。」
とラグナがガッデスへと来た理由も聞かずにルヴァン達ドワーフの武装集団は次の獲物を求めて去っていくのだった。
王弟であるルヴァンに手渡そうと思い収納からこっそりと取り出した手紙を手に持ちながらドワーフ達を見送るラグナ。
『一瞬ルヴァンさんの目が俺が手にした手紙に向いたのに、気がつかないふりをしたな。』
自分の欲望の為に見て見ぬ振りをしたルヴァンには個人的にお酒を手渡すのを止めようと心に刻んだラグナ。
ただ、こうしてドワーフ達は走り去ってしまった以上、手紙を渡す為にガッデスへと向かう必要がある。
気を取り直し、再びガッデスへと向かうラグナ。
するとすぐにヤツは再び目の前に現れるのだった。
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