第338話
バチン!!
凄まじい勢いで衝突する根っこ達。
しかし木の魔物達の攻撃は地面から現れた木の根を粉砕することなく、逆にパァン!!という音を立てながら弾かれていく。
木の魔物達は仲間と共に協力し、根っこの動きを止めるためにいくつもの木の根や蔓で必死に抵抗する。
パァーン!!
パァーン!!
徐々に木の魔物の根達の必死の抵抗も虚しく、根っこに弾かれ始める。
「なんだ、これ……?」
遙か上空へと吹き飛ばされたラグナだったが、風魔法を駆使しなんとか無事に着地。
アルテリオンの近くに現れた魔物をそのままにはしておけないと、急いで駆けつけたラグナだったのだが……
思わず出た言葉が先ほどの呟き。
怪獣大戦争でもやっているかのような状況。
地面から現れた根っこと木の根達が空中でぶつかったり、弾かれたりしている。
そんな激しいぶつかり合いも少しずつ数が減っていく。
ゴゴゴゴ
再び激しい地鳴りと共に現れたのは目の前で戦っている木の根とは比べ物にならないほど極太の木の根。
木の魔物達は反撃を諦め、自らの根を器用に使い逃走を開始するのだが、その極太の木の根は木の魔物達の逃走を許してくれる訳も無く。
「う、うそだろ……」
鞭の様にしなるとその巨大な根は風を切る轟音と共に魔物達へと襲いかかる。
「キシャァァー!!」
自分達の前に自らの根を使った盾を作り出すが、ベギャという音と共に一瞬の動きを止めることすら出来ずに粉砕。
そして襲いかかる巨大な根になす術なく、木の魔物達は一瞬で粉々に粉砕されてしまうのだった。
圧倒的過ぎるその光景を目の当たりにしていたラグナはポツリと呟く。
「なんだこの地獄絵図……」
全てを粉砕し終え、勝利のポーズを決める根達。
ポーズを決めている根達を見上げていると、根の先端がおや?っとこちらを向いて来た気がした。
「なんか……嫌な予感が……」
こちらを向いた根達が褒めて~とでも
言わんばかりに、一斉にピョコピョコとこちらに伸びてくるのだが……
「ひぃっ!?」
目の前の光景が恐すぎて思わず変な声が出てしまった。
何時ものサイズの根だけならまだ許せる。
でも明らかに危ない存在までもがその巨体をピョコピョコ可愛らしく動かしながら迫って来ているのだ。
「せ、精霊樹だよね?お、落ち着いて!頼むから落ち着……無理だからぁぁぁぁぁ」
迫り来る巨大な根から必死に逃げるラグナと待ってよ~とでも言っているような雰囲気で追いかけてくる様々なサイズの根達。
絶望的な悲鳴をあげながらも必死で逃げ続けた。
数十分後……
やっと諦めてもらえたのか追いかけるのをやめてくれた精霊樹。
命からがら逃げ切ったラグナはハァハァと息を乱していた。
「ま、マジで死ぬかと思った……」
巨大な根は遠くから寂しそうにこちらを見つめている。
いつものサイズの根はごめんね?とでも言いたげな様子。
「だ、大丈夫だよ。びっくりしただけだからさ。それよりも本当に助けて貰ってばかりだけど今回もありがとう」
ラグナがそう言ってぺこりと頭を下げると、嬉しそうにユラユラと揺れている精霊樹の根達。
感謝の気持ちを込めて魔力をプレゼントすると、小さな根達は仲良く魔力を飲んでいた。
その様子を巨大な根が寂しそうに眺めていたので、
「ちょっと動かないでね?」
と伝えるとラグナは巨大な根によじ登り、根の先端に近寄って魔力をプレゼントするのだった。
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