第335話

長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません。

家族が無事に手術も終わり退院する事が出来ました。

短いですが更新再開します。



精霊樹の中を駆け上がり、アリッサム王のもとへと向かうラグナとルテリオ。


階段の先にある扉を開くと、


「アリッサム!!」


ルテリオはベッドに横たわるアリッサム王へと駆け寄る。


アリッサム王の腹にポッカリと開いた穴は塞がっているようだが、未だに意識

を失ったまま。


まるで点滴をしているかのように腕には精霊樹の根が突き刺さっている。


ルテリオは精霊樹に触れると、会話を始めるのだった。


「そうですか……あとはこの子次第ってこと……あまり余裕が無いというのにありがとうございます」


ルテリオは精霊樹に感謝を述べると、アリッサム王の頬を撫でながら優しく話しかける。


「アリッサム……アナタはこんな所で終わってはいけない。アナタが目覚めるまで……私がこの国を支えてみせるわ。」


ルテリオはラグナの方へと向き直り


「私は今からこの国を支える為に動きます。」


ルテリオはアリッサム王が目覚めるまでこの国を支える事をラグナに宣言する。


「ラグナ様、真の女神と名乗ったあの者は女神でもなんでもありません。彼女は……彼女は、この世界に不幸をバラまくだけの存在です。彼女が本格的にこれからどう動くのか。私には全く予想がつきません。そして彼女が言っていた封じられし者達。これについても正直な所、わかりません。ですが、警戒すべき存在である事は間違いありません。ラグナ様も十分気をつけてください。」


「わかりました。ルテリオ様、真の女神と名乗ったあの存在の正体をご存知なのですか?」


女神ではなく彼女と言っていると言うことは、正体を知っているはず……


「それは……」


「それは……ルテリオ様?」


女神の正体を問いただした直後、ルテリオ様の動きが止まった。


「ル、ルテリオ様!?」


全く動かなくなったルテリオ様の側へと駆け寄ると、


「わかりました。」


と小さく声を漏らした直後、その目をパチリと開けるのだった。



「ル、ルテリオ様!?」


急に動き出したルテリオ様に驚きながら話しかける。


「申し訳ありませんが……詳細についてはお話する事が出来ません。本当にごめんなさい」


申し訳なさそうな顔をするルテリオ様。


「そうですか……わかりました。気にしないで下さい!」


ルテリオ様は天界にいる誰かから口止めされたんだろう……


「アリッサム……絶対に負けてはなりませんよ!」


ルテリオ様の小さな手でアリッサム王の指をギュッと握ると、ピクッとした反応を見ることが出来た。


「頑張るのです……」


ルテリオ様と俺はアリッサム王を精霊樹に任せて、城の前へと戻る。


城の前では家を失った民や兵士達が集まっており、半壊してしまった城を呆然と見つめていた。


ルテリオはパンパンと小さな手を叩くと、不思議と音が広がっていき集まった者達の視線が自然とルテリオの方へと向く。


「「ルテリオ様!!」」


「こんな所でボーッとしている時間はありませんよ!まずは壊れた家や半壊した城に取り残されている者がいないか確認を!いる場合は救助!あとはここに仮の救護所を設営!負傷者はここに集めなさい!」


「はっ!!」


兵士達だけでなく、市民達もルテリオの指示に従い救助活動の手伝いを始めるのだった。

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