第256話
年明けからバタバタしてました(泣)
ようやくいろいろと落ち着いて来たので更新!
アヤトから、片付けと修理に時間が掛かるから終わり次第連絡すると言われて数日。
ラグナは浜辺でただただボーッと海を眺めながら魔力操作の訓練をしていた。
「……ひま。」
1年間はのんびりと過ごしていいと言われたが……
ラグナはする事が無かった。
海をボーッと見ていると急に前世でみた動画の映像を思い出した。
無人島で、仲間と楽しそうに遊びながらのソロキャンプを楽しんでいたあのグループ。
夜には浜辺で火を起こして皆と語り合うあの動画。
あぁ、キャンプしたい……
浜辺……
海鮮……
俺、海に潜れる……
海鮮BBQをしながら海を眺める……
眠くなったらハンモック泊……
ここまで妄想してしまったらもう止まらない。
とはいえ……
そのまま海に潜るわけには行かない。
前世と違い、この世界には魔物がいる。
何の知識も無しに勢いで潜っても平気なほど、平和では無いから。
『あの時』はたまたま魔物に襲われなかっただけ。
「とりあえず……元冒険者って言ってたし、エイミーさんにでも聞いてみようかな?」
それにエチゴヤならば、釣りの道具や網なども手にはいるだろうし。
そうと決めたラグナはエチゴヤ商店へと向かうのだった。
「海ねぇ……」
エチゴヤ商店へと伺うとエイミーさんがお客の呼び込みをしていたので、少しだけ時間を作って貰うことが出来た。
「やっぱり危険ですか?」
「危険というか……あんまり戦うことなんてないのよ。もちろん0って訳じゃないのよ?海の魔物と戦闘になるなんて船の護衛くらいだもの。しかも陸よりも命懸け。船底に攻撃なんてされたら私達にはどうにも出来ないからね。」
言われてみればそうだった。
普通は海の中で戦う事なんて想定していない。
「船旅で魔法師がやることなんて魔物からの攻撃を必死に魔力障壁で防ぐ位しかないわ。こっちから攻撃しようにも海にいる限り攻撃なんて届かないしね。」
危険なので、その分報酬は良いらしい。
「もしもよ?もしも戦いたいって思っているなら、海の中でも使える攻撃手段を持つ事ね。海の中では火の魔法はもちろん風も土も無理なのよ。水魔法ならって言いたい所だけど、相手は常に水の中で生活している魔物よ。向こうの方が水に対して理解しているわ。」
確かに水の中で火や土は無理だと言うのは理解出来るが、風もダメだとは思わなかった。
『ゲームだと水の中でも風魔法で切り刻んでくれるんだけど……実際には無理なのかな。』
ならば雷と言いたい所だが、こればっかりは自分も感電してしまうので無理だ。
海の中でも使える攻撃手段……
全く思い付かない。
「まぁ、浅瀬ならほとんど魔物なんて居ないと思うわ。実際に漁師が魚を取ってるくらいだもの。そんな海に入ってすぐに襲われるんじゃ、漁業なんて誰もやらないわよ。」
確かにエイミーさんの言うとおり。
「それに、そんなに魔物が多いなら魚だって全部食べられちゃうでしょ。でも本当に噂で聞いたことがあるレベルの話なんだけど……本当に稀だけど魚が半魔物化して魔法を使う個体もいるって聞いたことがあるわ。網で捕まえて引き上げようとしたら本当に小さい水魔法のような攻撃で網を破られたとか、網で引き上げた直後に顔面に向かって物凄い勢いの水滴が迫ってきて怪我をしたとか……本当かどうかはわからないけどね。」
エイミーさんが言うにはシーカリオンの浅瀬ならばたぶん大丈夫。
ヒノハバラの海は浅瀬だろうと魔物が多い。
だからあの国はあまり海産物が捕れないって言っていた。
この国の海は海の女神マリオン様のおかげで比較的平和だと。
『そう言えば、そうだった。マリオン様って海の女神だった。』
すっかり自分の中では残念女神様のイメージが定着してしまっていた。
「とりあえず釣りをするくらいなら大丈夫だと思うわよ?あれなら、釣り具から漁業の道具まですぐに揃えるわ。流石に船はすぐに用意なんて出来ないけど。そもそも急に海なんてどうしたの?」
「……浜辺で海をボーッと眺めてたんですよ。そうしていたら自分で魚とか釣ったり、潜って貝を取ったりしてそれを料理して食べたいなぁって。」
まさかの返答に、エイミーはクスッと笑ってしまう。
「初めてあなたの子供っぽい所を見た気がするわぁ。確かに自分で捕った獲物を自分で調理して食らう。一番の贅沢よね。その気持ち、私にも判るわ。まだ幼い、か弱い少女のような時代……姉さんと一緒に同じ様な事をした事があるわ。あれがキッカケかしらね。2人で冒険者を目指したのは。自分で捕った獲物を料理して食らうあの感覚。あの感動は淑女となった今でも覚えているわ。」
ラグナは突っ込みたい部分が所々あったものの、それをグッとこらえる。
か弱い少女のような時代とか……
食べるではなく食らう表現とか……
淑女とか……
「まぁ、いいわ!何事も経験よ♪ちょっと待ってて、すぐに必要そうな道具を持ってくるわ。」
エイミーさんはニコニコとした笑顔のまま道具を取りに店の奥へと消えていったのだった。
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