第252話

うちの子が例のはやり病に感染してしまったのでバッタバタしてました

(´;ω;`)ウゥゥ




「さてと……とりあえず俺の実験室でも見るか?どうせ片付けもしなきゃいけねぇし。」


アヤトからのありがたい提案にラグナは


「いいんですか!?見てみたいです!!」


「んじゃ、行くか。」


2人は実験室のある地下へと向かうことに。


アヤトが壁にある突起に手を添えると階段横に設置されている照明が次々と点灯されていき、真っ暗だった地下室へ向かう階段が明るく照らされた。


「あちゃー。だいぶ吹き飛んだな、こりゃ。」


階段には破片やらなんやらがいろいろと飛び散っており、足下をよく確認しながら降りなければ危険な状態だった。


階段の手すりを掴みながらゆっくりと降りていく。


「うわっ、めっちゃ広い!」


階段を降りた先にはサッカーグラウンドくらいある広さの地下室が広がっていた。


こんなにも広すぎる地下室が作られているとは思わなかった。


「ここが作った魔道具の稼動実験をする広場だ。どうだ、広いだろ?」


この地下室はたまたま発見した場所らしい。


アヤトは神殿で魔道具の基礎的な仕組みを教わった後、神殿の専属魔道具職人達と共に市民の生活に必要な量産品の魔道具を作っては生活費を稼いでいた。


その稼いだお金を元手にオリジナルの魔道具の開発費を捻出。


流石に神殿内ではオリジナルの魔道具の稼動実験なんて危険な為出来ないので、わざわざ王都の外に向かい魔道具の稼動実験をよくしていたらしい。


この世界の魔道具は魔石を使った魔道具が主流だが、魔石交換タイプではどうしても出せる出力が低かった。


どうにか魔石からの魔力の出力を増やせないかと、実験する度によく爆発させていた。


王都の外とはいえ何度も爆発させていたある日、突然数名の騎士が外で実験中のアヤトのもとに押し掛けてきたらしい。


何度も激しい爆発音がする為、不安になった住民から実験をする度に苦情が来ると。


確かに騎士や住民からしたら、王都のそばで何度も爆発なんてあったら迷惑でしかないだろうしね。


騎士達からは、実験をやるなとは言わないが爆発音に関してはいい加減どうにかしてくれという警告だった。


「何とか騎士達に謝罪して引き下がってくれた後に、爆発した魔道具を回収しに向かった時に見つけたのがこの地下室って訳よ。」


魔道具を回収しに向かった所、地面に人が入れそうなほどのサイズの穴が開いているのをアヤトは発見。


その穴の中を恐る恐る突き進んで行くと、地下深くにぽっかりと空間が広がっていたらしい。


これは使えると思ったアヤトは、王都の外に家を建てても大丈夫なのか神殿に相談。


所定の金額を払えば建てることが可能と聞いたアヤトは、地面に開いた穴を土魔法で一旦塞ぎ見つからないようにカモフラージュ。


後は人よりも多い魔力を生かして魔道具を次々と量産。


ブラック企業もびっくりの勤務を続けた結果、資金が一気に貯まったのでこの土地の使用許可を申請。


王都の外、更に近場には何もないだだっ広い場所だったので使用許可はすんなりと下りた。


ただし、騒音にだけは気を付けてくれとクギを刺されたが。


「後は自分で家を建てて、地下にあった空間を実験室に改造したって訳よ。」


「そうだったんですかぁ……えっ!?この家ってアヤトさんが建てたんですか!?」


一瞬聞き流しそうになってしまったが、とても一般の素人が作った家だとは思えない。


「元々前の世界では物作りの動画を作っていたって言ったろ?3Dプリンターで自分の家のミニチュアが欲しいってコメントが何件もあってな。ただ家を出力してぱぱっと作るなんてありきたりな事はしたくなくて、家の柱や壁なんかを1本1本出力して実際の家を建築するように組み立てたりした訳よ。その時に建築に関する勉強をしたからこそ、この家が作れたんだ。」


建築をする際の木材の加工方法などの工法の知識も取得済み。


風魔法を纏わせたノコやカンナ、ノミなどの大工道具の魔道具を開発。


これにより簡単に木材の加工が行えるようになった。


これらの魔道具はもちろん特許取得済み。


「あとは石材と木材、自前の土魔法を駆使すれば家の一軒くらい簡単に作れるぞ。あれだったら日本風の家ですら再現出来るからな。」


「それは魅力的ですけど……目立ちそうですね。」


「まぁ、目立つだろうな。この世界の日本風の建築なんてエチゴヤくらいしか再現してないからな。」


「あそこは凄いですよね!和室や露天風呂も再現されてますし。」


アヤトですらエチゴヤの宿の外見しか知らないのに、ラグナがさも見てきたかのように答えてきた事に驚く。


「お前……エチゴヤの宿に泊まったことがあるのか?」


アヤトのその質問で毎度おなじみのやらかしをした事に気が付いたラグナ。


「い、一応泊まった事があります……」


「はぁぁ!?あのエチゴヤの宿に泊まっただと!?お前さん一体何者だ!?元日本人とはいえ何をやったらあの宿に泊まれるような身分になれるんだ……?」


アヤトは一旦ラグナに心を許しかけていたものの、再びラグナの事を警戒するのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る