第216話

商業ギルドを出ると、再び視線を感じる。


『やっぱりどこからか見られてるように感じるんだよなぁ……』


やや早歩きで先ほど教わったマリオン様の神殿へと向かう。


そして……


「でっけぇ……」


物凄く立派な建物の神殿が目の前に……


列に並んでいるとシスターのような方が並んでいる人全員に話し掛けている。


そしていよいよ俺の前に。


「ようこそマリオン様の神殿へ。」


にっこりと笑いながら話し掛けてきた。


そして俺にだけ聞こえる声量で一言。


『ラグナ様、お待ちしておりました。中に入りましたらこちらを係りの者にお見せ下さい。』


そうボソッと呟きながら小さい木の札を手渡してきた。


そして更にニコッと笑うとそのまま俺の前から立ち去り、後ろの人に話し掛けていくのだった。


『なんで俺の事がバレるんだ……』


まだ立ち寄った施設としては商業ギルドだけ。


そういえばと、ふと思い出した。


『タチアナさんも魔道具を使って隠れている俺を見つけたよな……』


マリオン様の神殿の一部の関係者にはバレてしまう何かが漏れているのだろうかと、少し不安になるラグナ。


列はどんどん進んでいき、いよいよ神殿の入り口へ。


「本日は参拝ですか?見学ですか?」


「これを。」


先ほど受け取った木札を係りの人に手渡す。


「すぐに案内を用意します。そちらでお待ち下さい。次の方どうぞー。」


そういうと何かのボタンを押していた。


次の人が受付を始めたので眺めていると、奥から1人のシスターが現れた。


「お待たせしました。どうぞこちらへ。」


シスターに連れられて奥へと進んでいく。


関係者以外立ち入り禁止と表示されている扉を開くと「どうぞこちらへ」と案内された。


通路を進んでいくとシスターや神殿騎士の休憩所、簡易的な食堂、仮眠室など神殿で働く職員の施設が続いていた。


更に奥へと進んでいくと、急に通路の雰囲気が変わる。


それまでは薄い水色の壁色だったが、急にブラウン調に切り替わる。


そして魔道具らしき物が所々埋め込まれていた。


シスターから緊張感が伝わってくる。


そのまま突き進むと行き止まりになっている。


シスターが行き止まりまで進み、右側を向くと壁に手を添える。


すると壁が光り輝いて通路が出現した。


「この先になります。」


シスターに続いて歩き続けると物々しい扉が現れた。


その扉を神殿騎士が2人掛かりで警備していた。


「ギルド証を。」


神殿騎士にそう言われたので手渡す。


すると神殿騎士の近くにある棚に設置されている魔道具にかざしていた。


ピンポーン。


懐かしいチャイムのような音が急に鳴ったので驚いてしまった。


「確認が取れました。どうぞ奥へとお進み下さい。」


分厚い扉がゆっくりと開かれる。


シスターが先に行くのかな?と思ったが後ろに控えたまま。


「この先はラグナ様お一人でお進み下さい。一本道となっていますので、ご安心を。」


緊張しながらも扉の先へと進む。


ある程度進んでいくとガタンと扉が閉められたら音がした。


『流石にマリオン様の神殿で閉じ込められるとかは無いよね……?』


少し不安になりながらも前へ進むしか無いので、突き進んでいく。


すると急に階段が現れた。


そのまま階段を降りていく。


しばらく降りていくと……


「せっかく階段を降りたのに、今度は登るのかよ……」


上りの階段が続いていた。


更に階段を進んでいくと物々しい扉が再び現れた。


『ギルド証を目の前の扉にかざして下さい。』


機械音声のような声が扉から聞こえたので言われた通りにギルド証をかざす。


『認証しました。ようこそラグナ様。部屋が暗くなっていますのでこの先は注意して下さい。』


ガチャリとロックが解除されたような音と共に、扉が自動で開いた。


扉の先は真っ暗だった。


LEDライトを召喚しようとするが……


「あれ……?」


じゃあとライトを発動させようとするが魔法が発動しない。


『この先、魔法は使用不可となっております。』


「何か仕掛けでもあるのか……?」


引き返そうかと思っていると床の一部が光り輝き、光の道が出来た。


「ここを歩いていけばいいの?」


こちらからの問い掛けには魔道具は反応しなかった。


仕方なく光の道を歩いて進んでいく。


そして……


「何なんだよ、これは!」


まさかの光景が広がっていたのだった。

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