第215話
その後も記念館をふらふら見て回った後にわかった事。
かりんとうを作るにあたって必要性な作物である『さとうきび』の栽培に適していた土地を守護の女神に教わった場所がここ、カーリントーだった。
さとうきびの栽培方法なども教わり、農民を集めてさとうきび栽培を始めた。
元々は農村として作られた村だったが、さとうきびを原料に作られた黒糖や黒蜜、そしてかりんとうを求めて商人が行き交うようになり、次第に住民は増えていき現在のような街へと発展していったとのことだった。
「とりあえず、久々のかりんとうだからね。いろいろなお店で買い込んでいこうかな。」
宿を確保したあとは、いろいろな出店をまわりながらかりんとうを買い込んでいく。
パンを使用した『かりんとう』から『芋けんぴ』の様なものまで、いろいろバリエーション豊富に作られていた。
黒糖や黒蜜の販売もしていたので次々と買い込んでは収納スキルの中へ。
少し買い込みすぎた気がしないでもないけど……
収納スキルの中に入れておけば劣化はしないので気にしないことにした。
カーリントーで一泊した後は再び最初に買った手持ち用のかりんとうを数本買い込んで、1本手に持つと街を後にする。
それから途中の街に寄ったり、野営したりと誰かに襲われることなくのんびりと旅をしながら約2週間。
王都マリンルーへと到着した。
「水の都って言われているだけあるわ。」
街のいたるところに水の流れが緩やかな水路があり、運搬だけでなく街の中の移動手段としても使われていた。
さらに王都マリンルーには立派な城壁などは無く、高さ1メートルほどの簡易的な仕切りがあるだけ。
理由については街の入り口の衛兵から教わった。
「あの簡易的な仕切りの中には等間隔で魔道具が埋め込まれてるんだ。街の外からの不法侵入や壁からこっそり街を抜け出そうとすると魔道具が発動し、捕獲されるので絶対にしないように。」
『流石、魔道具の本場だよ。』
ヒノハバラとは全く違う雰囲気の町並み。
商人の数が半端なく多い。
ヒノハバラの王都ではある程度身分により区分けされ城壁によって街を区切っていたが、マリンルーにはそんな物がない。
しかし、街を歩いていると違和感を感じる。
『なんだ……?気のせいかと思ったけど、街に入ってから視線のような物を感じるな。』
怪しまれない程度に周囲を警戒するが、それらしき人物は見当たらない。
『どこだ……?どこから見られてる……?』
商店の中に入り商品を物色しているフリをするが、相変わらずどこからか見られているように感じたまま。
衛兵より商業ギルドの場所を教わっていたので、やや早歩きで向かう。
商業ギルドに到着するまでの間もずっと誰かに見られていた気がする。
商業ギルドに入ると視線を感じなくなった。
『はぁ……何だったんだ……?誰が見ていたのか全然わからない。』
商業ギルド内の受付へと並ぶ。
「水の都マリンルーへようこそ。初めてのお客さんだね?ご両親は一緒じゃないのかな?」
普通に考えれば確かにラグナのような子供が商業ギルドへと1人で来ることなど考えられない。
受付の反応は当たり前だった。
「私1人です。ギルド会員証はこちらになります。」
「それは失礼いたしました。まさかその歳で商いとは立派ですね。」
受付の女性がギルド会員証を魔道具にかざす。
「ラグナ様でいらっしゃいますね?本日はどの様なご用件でしょうか?」
「商業ギルド神殿へと向かいたいのですが、行くことは可能でしょうか?」
「商業ギルド神殿ですか……?あぁ、他の街から来られたらそうなりますよね。王都マリンルーの商業ギルド神殿は別の建物になっております。他の街のように商業ギルドの上には無いんですよ~。少々お待ち下さい。街の案内図を用意いたします。」
マリンルーの商業ギルドと商業ギルド神殿は別館になっているらしい。
「お待たせしました。地図は読めますでしょうか?」
「はい。大丈夫です。」
「現在いる場所がここ。マリオン様の神殿はここになります。」
「えっ!?」
ここと受付の人が指を指した場所は王城の隣。
「わが国ではマリオン様の神殿は王城に隣接しているのです。」
ラグナは驚きつつも受付の人にお礼を伝えると、マリオン様の神殿へと向かうのであった。
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