第133話
「これより1年生クラス入れ替え試験を開始する!」
壇上より学園長が1年生に向けて試験を開始する宣言を出した。
俺達は1年生ではほとんど立ち入ることが無い大規模演習場に集合していた。
学園長に続いて壇上に上がって来たのはコレットさんだった。
「これより試験内容を発表します。試験内容は魔法による的当てになります。詳しいルールはこちらをご覧下さい。」
コレットさんがそう言うと魔道具が発動してスクリーンが空中に表示された。
・制限時間は5分。
・制限時間内にどれだけ数多く的を魔法にて破壊できたかによる試験。
・的の破壊数によりクラス入れ替えが決定。
・同数の場合は上位クラス担任によりメンバーが決定される。
・他人への妨害は魔法障壁により行えないようになっている。
・試験は10人同時に行う。
・破壊数ランキングはこのスクリーンにて表示される。
さらにランキングはリアルタイムで入れ替わりが行われる。
試験の順番はランダム。
名前が表示されたら目の前の試験場所へと移動すること。
「以上となります。なお、クラス入れ替えによる寮の引っ越しなどがありますので、明日より3日間は学園がお休みとなります。寮を移動する方は試験終了後に引っ越しのスケジュールの発表を行いますのでこの場に集合をお願いします。」
3日間の休みか。
流石に面倒だから引っ越しなんてしたくないしな。
「それではこれより試験を開始します。スクリーンに注目して下さい。」
生徒達の顔がスクリーンへと向けられる。
・1 白組 サト
・2 白組 ミント
・3 青組 ホイ
・4 白組 イッス
・5 白組 マカタ
・6 黒組 ハヒハ
・7 銀組 デカンタ
・8 黒組 ワミマ
・9 青組 フッタ
・10 白組 コラン
名前が表示された生徒達が前に進むと魔道具が起動する。
するとそれぞれの生徒達の前に1~10までの番号が表示された魔法陣が出現した。
それぞれ自分達の魔法陣に乗る。
すると試験を受ける生徒達の前に文字が浮かび上がってきた。
試験スタートまで
5 4 3 2 1 スタート!
スタートの表示と共に5メートルほど先に複数の的が出現する。
すぐに生徒達は詠唱を開始する。
「火のたみゃになりて貫き焼きちゅくせ、ファイアー
ボール」
2番の白組の生徒が焦って詠唱したせいで上手く発動出来ずに暴発する。
ボン!
詠唱を失敗した生徒が暴発した魔法により後ろに吹き飛ぶ。
両隣の生徒には魔法障壁により守られていたので被害は無かった。
だが……
「火の球になりて貫き、キャッ!」
「風よ、敵を吹き飛ば、うぉっ!」
1番、3番の生徒が2番が魔法を暴発させた音に驚き詠唱を中断させてしまう。
ボン、ボン。
2人も魔法を暴発させてしまい吹き飛ぶ。
同時に暴発させた音は凄まじく、他の場所で試験を行っていた生徒達も動揺してしまい次々と魔法の発動を失敗する。
ボン、ボン、ボン!
『何だこの修羅場……動揺し過ぎて次々と暴発させて行くとか……」
ラグナ達特級組も違う意味で驚いていた。
『こんなんで詠唱失敗するなんて……』
『ふっ……』
あまりにも低レベルな失敗に驚いていた。
修羅場の中でも淡々と魔法を発動している生徒が1人いた。
「土よ、敵を打つ飛礫となれ!アースショット!」
バコン 2ポイント
「土よ、敵を打つ飛礫となれ!アースショット!」
バコン 3ポイント
『うーん、安定して魔法を発動させてるけど……遅い……』
白組の生徒達は暴発させた回数も併せて1~3回で
魔力が尽きたのか時間前に試験を終了させていた。
黒組の生徒も同じ。
青組の生徒は最初つられて暴発させてしまったものの直ぐに立ち上がり試験に打ち込んでいた。
まぁそれでも6回は魔法を発動させた時点で魔力切れになり試験終了。
そして銀組の生徒だけが制限時間まで魔法を放っていた。
『パンパカパーン 試験終了! 13ポイントだよ!』
試験終了と共に魔道具からふざけた感じの若い女性の声が発せられた。
「何だ、今の声。」
皆もわからなくて首を振る。
周りの生徒達もガヤガヤ騒いでいる。
『試験の結果、ランキングはこうなったよ!』
1 銀組 デカンタ 13ポイント
2 青組 ホイ 5ポイント
3 黒組 ワミマ 4ポイント
3 青組 フッタ 4ポイント
5 黒組 ハヒハ 3ポイント
6 白組 コラン 2ポイント
6 白組 マカタ 2ポイント
8 白組 イッス 1ポイント
8 白組 サト 1ポイント
10 白組 ミント 0ポイント
「おー、青組と黒組のポイントが同数だね。」
「最初に魔法暴発させた子はそのまま意識を失って運ばれちゃったしね……」
こんな感じで次々と試験が行われていく。
「嘘だー!!」
「ヨッシャー!!」
俺達の名前が誰1人として呼ばれないまま、生徒達の半年間の運命が次々と決まっていく。
そしてランキング上位は銀組の生徒達で埋め尽くされていく。
未だに名前が表示されないまま俺達以外の生徒達の試験が終了した。
「クックックッ。見物ですねぇ。特級組だか引きこもり組だかわかりませんが今日でそのお立場も終わりですから。」
俺達をわざと煽るように銀組の担任が俺達に向けて言い放つ。
それを聞いた他のクラスの生徒達も笑い出す。
「はやく同じクラスになろうぜー!」
「半年間は楽しかったかー?」
生徒達のヤジも次々と飛んでくる。
これはあれだな。
俺達だけが最後まで残るように何かしら細工したな。
そんな状態の中、俺達の担任であるフィオナ先生はボーッとしながら水タバコを咥えていた。
「あれは二日酔いだな。」
「あぁ。絶対二日酔いでダルいから反抗しないだけだな。」
銀組の担任が俺達の視線に気がついて視線を向けると明らかに怠そうにしているフィオナが視界に入ってきた。
「あなたの立場も今日で終わりだ!」
そう言い放つもフィオナ先生は手をペッペッと振るとさっさと始めろと手で合図する。
「舐めやがって……」
顔を真っ赤にしながら銀組の担任が引き下がっていく。
そしてスクリーンに俺達の名前が表示される。
俺達の試験がいよいよ始まるのであった。
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