第3話

就活も無事に終わり、その後無事に高校も卒業。


そして社会人デビュー。


就職した会社は元はスポーツ用品の総合販売会社。


その中の一部でキャンプ用品を販売していたけど、ここ数年のキャンプブームによってキャンプ用品専門店として新しく開店する店舗に配属された。


それはもう素晴らしいの一言。


憧れのキャンプギアから庶民の懐に優しい価格帯の商品まで選り取り見取り。


それに社内教育の環境も素晴らしい。


本当に就職出来てよかった。


「そういえば翔弥君ってこれだけキャンプギアに詳しいけどよくキャンプ行くの?」


うっ…


「実は小学校卒業時に父と2人で行ったのが最後なんですよねぇ…」


「そうなの?こんだけ詳しいからよく行くのかと思ってたよ。」


「中学生にもなって父と2人でキャンプってのに抵抗が出来てしまいまして。」


「あぁ…あれか。思春期ってやつだねぇ。確かにその頃の年頃って親と出掛けるのに恥ずかしくなるよね~。」


「とりあえず働いてお金貯めて自分の欲しいキャンプギアを揃えたらソロキャンプデビューしようと思ってますよ。」


そう。あの動画を見て憧れたソロキャンプ。


そして初めてソロキャンプに行くなら富士山が見えるキャンプ場。


有名な所は人がたくさんいるので穴場的なキャンプ場はチェック済み。


「それじゃあ、なんでそんなにキャンプギアに詳しくなったの?知識だけは豊富でソロキャン未経験で経験が足りない翔弥君。」


「なんか言い方にトゲがありますね…詳しくなったきっかけはキャンプ動画ですよ。」


「キャンプ動画ってもしかしてあの有名な芸人さんの?」


「そうですよ。あの人の動画を見てキャンプに対する意識がガラッと変わりました。」


「あの人の動画いいよね~。キャンプ行けなくても動画で癒されるし。そうかぁ。翔弥君もかぁ。」


キャンプを始めるきっかけは人それぞれだと思う。


でもあの人の動画をみてキャンプに興味が出て始めたのは、かなりの人数になると思う。


それくらい影響力が凄かった。


まさかキャンプギアが人気でこんなにも手に入りにくくなるなんて思ってもいなかった。


「最近は100均でもキャンプギア出てるからねぇ。しかもそれがなかなかの曲者で。うちの値段見て高すぎるって文句言ってくるお客さんも何人か居るからねぇ。翔弥君は熱くならないように気を付けてね!」


「わかってますよ。自分も100均には会社帰りに覗いては新製品チェックしたり購入してますから。いい所も悪いところも把握済みです。」


「さっすがぁ。『知識だけは』豊富だもんねぇ」


「あと半年我慢して秋くらいにはソロキャンプデビューする予定ですから!それまで優しく教えて下さいね!どうせ半年後も彼氏居ないですよね?セ ン パ イ!」


「彼氏居ないんじゃなくて作らないだけですー!半年もあればその気になれば余裕ですー!」


こんな感じでとても働きやすい仕事場だった。


そして半年後。


給料の大半をつぎ込みキャンプギアを一通り揃えることが出来た。


いよいよソロキャンプデビューに向けて準備は完了した。

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