【5千字版】一時炳現

シカンタザ(AI使用)

【5千字版】一時炳現

「うわーっ!!」

世界のあらゆるものがいっぺんに輝き現れた。そしてまた消えていった。ぼくは目を開けてみた。目の前には、あの美しい女が立っていた。その背後には、輝く星々があった。この世のものとは思えないほど美しかった。ぼくはこの光景を一生忘れることはないと思った。彼女は両手で何かを抱えていた。それは赤ん坊だった。ぼくは彼女の胸元から顔を出している赤ん坊を見た瞬間、自分が誰なのかを思い出した。

「ああ、ぼくだ……」

そうつぶやいた途端、意識を失った。

気がつくと、そこは病院のベッドの上だった。隣りを見ると、妻と娘がいた。

「あなた! 目が覚めたのね」

妻は涙を浮かべていた。

「どうしたんだ?」

「覚えていないの? あなたは駅の階段で倒れているところを発見されたのよ」

ぼくは妻の腕の中にいる赤ん坊を見て言った。

「これはぼくの子どもじゃないよ」

「え?何を言っているの……?」

思いがけない言葉に妻は驚いた。

「じゃあこのおなかの子は……?」

妻が大きくなったおなかを見せる。そこには確かに小さな命が宿っていた。

「どうしてだろうなぁ……。ぼくは君と結婚する前に別の女性と結婚していたことを思いだしたんだよ。でも、そんなことは関係ない。今は君のことしか愛していないし、これからもずっと愛すると思うよ」

「はぁ……。じゃあこの子は?」

妻は腕の中の赤ん坊をぼくに近づけた。ぼくはその子を抱いてみた。するとその子の顔が見えた。それは紛れもなく自分の息子だった。しかし、不思議とその子が自分の息子であるという確信を持てなかった。まるで他人のように思えたのだ。それでもぼくの息子であることに変わりはない。

「不思議なこともあるものだなぁ。まあいいか」

それから退院するまでの間、家族三人で過ごした。妻は仕事を辞めて育児に専念した。やがて生まれる我が子を楽しみにした。そして生まれたわが子の名前は、なんとも奇妙なものだった。

『三太郎』

ぼくたちはこの名前について話し合った。

「なぜこんな名前をつけたんだい?」

「あなたの好きな小説の主人公の名前よ」

「なるほどねぇ。それで、この子の将来はどんな子に育つのか見当もつかんわけか。まあ、いいんじゃないか……」

「うわーっ!!」

また世界のあらゆるものがいっぺんに輝き現れた。そして消えていった。ぼくは目を開けてみた。目の前には、あの美しい女が立っていた。その背後にある星々は輝いていた。ぼくはこの光景を一生忘れることはないと思った。彼女は両手で何かを抱えていた。それは小さな箱だった。それをぼくに向かって差し出した。「なんだいこれ?」

「誕生日プレゼントよ」

「ありがとう!」

ぼくはその箱を受け取った。

「開けてもかまわないかい?」

「もちろんよ」

ぼくはゆっくりとその箱を開いた。中に入っていたものは指輪だった。銀色に輝く指輪が入っていた。ぼくはそれを指につけてみた。よく見ると、内側に文字が刻まれていた。

「M・K……?」

「うわーっ!!」

またまた世界のあらゆるものがいっぺんに輝き現れた。そして消えていった。ぼくは目を開けた。目の前には、あの美しい女が立っていた。その背後の星々は輝いている。そして、その手に持っているものをぼくに差し出していた。

「なんだいそれ?」

「手紙よ」

ぼくはそれを受け取り読んでみる。それは妻からのメッセージだった。

「親愛なる夫へ。わたしたち夫婦の間には、これまでいろいろなことがありましたね。ケンカしたり仲直りしたりと忙しい毎日を過ごしていましたね。今こうしてあなたと一緒にいられるのも、神様のおかげかもしれません。これから先の人生においても様々なことがあるでしょう。辛いこともたくさんあると思います。ですが、二人で力を合わせて乗り越えていきましょう。お互いの幸せのためにがんばりましょう。いつもあなたを愛しています。いつまでも一緒にいましょう」

読み終わって気が付くと、自室のベッドの上だった。

「あれは何だったんだろう?」

ぼくはベッドから起き上がって窓の外を見た。外はもうすっかり暗くなっていた。明かりをつけてふと見ると机の上に何かがあるのに気付いた。それは小さな紙切れだった。ぼくは手にとって広げた。そこにはこう書かれていた。

「誕生日おめでとうございます」

その紙には見覚えがあった。それはさっき見た夢の中にあったものと同じものだった。机の上には更に妻が書いたと思われる一冊のノートが置かれていた。

「夢日記」と書かれた表紙には、妻の名前が記されていた。ページを開くと、そこには今日の日付が記されており、次のようなことが書いてあった。

「今日はとても不思議な日でした。まず、わたしはなぜか見知らぬ部屋の中で目が覚めます。そこには夫がいて、彼は何かの機械のようなものを操作しているのです。しばらく見ていると、その機械から煙が出てきます。わたしは驚きのあまり声を上げてしまいますが、夫は慌てる様子もなく落ち着いています。すると今度は地面が揺れ始め、天井が割れてそこから光が差し込んでくるではありませんか! これはいったい何が起きたのかわかりませんでした。その後、夫の話を聞くうちに、彼がこの世界を救う救世主であることに気付きました。彼の話では、この世界に危機が迫っているというのです。そこでわたしは、彼を手助けすることにしました。そうすることで、彼もわたしのことを信頼してくれるようになったのです。そしてついに、わたしたちの愛の力で世界を救えることになりました。とても嬉しかったです。彼と一つになれたような気がして……。でもこれで終わりではありませんでした……。この後、恐ろしいことが起きてしまったのです……。わたしは、あの機械を使って、この世界で起こっていることをすべて知ることができました。この世界の人たちは、あの機械の使い方を知らなかったようですね。それで、彼らは自分たちの生活を豊かにするために、あの機械を勝手に使っていました。それは、世界の均衡を保つために必要なことだったらしいのです。しかし、それを知った者たちがいたんです。それが魔王と呼ばれる存在でした。その者は、世界の秩序を守るために、彼らに罰を与えようとしたのです。そのやり方があまりにも非情なものだったので、人々は恐怖を抱きました。その結果、わたしたちが暮らすこの国では、たくさんの人々が殺されていくことになったのです。わたしは彼に助けを求めました。すると、彼はあの機械の力を使い、魔王と戦うことになりました。そして見事勝利することができたのです。その後、わたしたちは二人で旅に出ることにしました。これから先、どんな困難が待ち受けていようとも、二人ならきっと乗り越えられると信じています」

ぼくは困惑した。

「なんだ、これは……?一体どういうことなんだ?」

そして気付いた。

「ああ、そういうことだったのか……」

ぼくはすべてを理解した。

「夢じゃない。あれは現実に起こったことだ」

ぼくは急いで階段を駆け下りると玄関を開けて外に出た。夜空を見上げると星が輝いていた。その光に照らされて、大きな月が見えた。ぼくはその月に呼びかける。

「聞いてくれ!」

返事はない。それでもかまわずに続けた。

「ぼくはこの世界の人間ではないんだ。別の世界の人間なんだ。その証拠に、きみがぼくにくれたプレゼントを覚えているかい?」

やはり返事はなかった。だが気にせず続ける。

「あの指輪は『ムーン・リング』というものだ。これは月の力が込められた魔法のアイテムだ。そして、その力を使うことができるのは選ばれた者だけなんだ。ぼくは選ばれたんだよ。この世界に危難が訪れようとしていることを知ったぼくは、この世界を救いにやってきた。そして今、その使命を果たしたところだよ」

相変わらず返事はないが、ぼくは語り続けた。

「ぼくはね、この世界を救うために、自分を犠牲にすることにしたんだ。つまり、自分の命と引き換えにして、この世界を救おうとしていた。だけど、それじゃあ意味がないと思ったんだ。だってそうだろ? 誰か一人の命だけで世界が救われたってしょうがないじゃないか。だからぼくは、自分が犠牲になることをやめることにしたんだ」

ぼくはもう一度言った。

「ぼくはね、この世界のために死ぬんじゃない。この世界に住む人たちのために生きることにしたんだ」

ぼくは続けて言う。

「ぼくは、この世界を愛している。この世界に存在するすべてのものが好きだ。ぼくにとってはみんな大切なものなんだよ。この世界は素晴らしい場所だと思うよ。こんなにも美しい景色を見ることができるなんて信じられなかった。でもそれだけじゃないんだ。ここには、ぼくの好きな人がたくさんいる。ぼくの愛する家族がいる。そんな素敵な世界を、放っておくわけにはいかないだろう」

ぼくは最後にこう告げた。

「さようなら」

ぼくはゆっくりと目を閉じた。

「ありがとう。幸せだったよ」

朝が来た。今日もまた新しい一日が始まる。ぼくは大きく伸びをした。

「うーん!よく寝た!」

ぼくはベッドから起き上がると窓を開けた。

「いい天気になりそうでよかった」

部屋の中が一気に明るくなった。窓の外には青い空が広がっている。

「今日もいい日になるといいけど」

そのとき、ドアの向こうで声がした。妻の声がする。

「あなた、もう起きているの?早くしないと遅刻しちゃいますよ」

妻が呼んでいる。

「はい、ただいま参ります」

ぼくは部屋を出ると一階に向かった。

リビングに入ると、テーブルの上に朝食が用意されており、妻の姿が見えた。

「おはよう」

妻は微笑むと言った。

「おはよう」そして、いつものように食事を始める。

「今日のパンも美味しいですね」

ぼくも笑顔で答える。

「うん、おいしいよね」

こうして、また一日が始まった。

ピカピカピカ!!!!!

「「うわーっ!!」」

またまた世界のあらゆるものがいっぺんに輝き現れた。今度はいったいなにが起きるのだろうか……?

二人とは別の遠く離れた場所で……。

「おい、見ろ! この石ころを!」

「まぁすごい綺麗な色ねぇ。まるで宝石みたい。」

「こっちの石なんか凄く珍しいやつだぞ!」

「本当!? あら~、ほんとにすてきな形してるぅ。」

ここはとある町の商店街。買い物客で賑わう人通りの多い道。

「お、おじさん。この石いくらだい?」

「へぇ、こいつはなかなかの値打ちもんでして、2万6000円でどうです?」

「買った!」

「毎度ありぃ。」

商人が商品を渡してお金を受け取る。その瞬間だった。

パァッ!!!!

「うおっ眩しいっ!!」

「きゃあっ!!」

二人の目の前が真っ白になったかと思うと、そこにはなんとも奇妙な光景が広がっていた。

「…………」

二人は無言のまま立ち尽くしていた。しかし、しばらくして先に口を開いたのは若い男の方であった。

「これは……いったいどういうことなんだ……」

周りを見渡すとそこは見たこともない景色が広がっていたのだ。道路は石でできていて建物は全てレンガ造りのものばかり。馬車のような乗り物が走り回り、人々の服装は現代とはかけ離れているものであった。

「おい、あんた。」

「え? あ、はい。」

「ここがどこか分かるかい?」

「いえ、私にも何がなんだかさっぱり分かりません。」

「だよなぁ……。」

彼はしばらく考え込むように黙っていたが、やがて顔を上げるとこう言った。

「よし、まずは情報収集だな。」

「はい。」

「じゃあ行くぜ!」

彼は歩き出した。

「どこに行くんです?」

「酒場だよ。情報を集めるならそこが一番だ。」

「なるほど、確かにそうですね。」

彼らは町の中心部にある大きな建物の中に入って行った。すると中にはたくさんの人で賑わっていた。

「おぉ、すげぇ賑わいだな。」

「そうね、それにとても活気があるわ。」

その時、一人の男が彼らに話しかけてきた。

「ようこそ旅人さん達! この町は初めてですかな?」

「はい。そうなんですよ。」

男は親切にいろいろ教えてくれた。

この国は『ロテス王国』というらしい。この町の名前は『ルビスの町』と言うようだ。他にもいろいろなことを話してくれた。そして最後にこう付け加えた。

「ところで、この国には面白い伝承がありましてね。なんでも勇者様の伝説が語り継がれているのです。」

「勇者伝説……それは興味深いですね。」

町の中央に行くと勇者の像があった。

「機械の力とムーン・リングによって魔王を倒した勇者の像」と彫られていた。

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