俺がモンスターのいるところに指差す先を彼女が振り向くと、そこにはダークウルフが三体ほど向かってきった。

「ガルルルル!」

「こ、これってダークウルフじゃあないですか! それもレベルが30ですよ!」

「落ち着いて、相手をよく見て。君のレベルだったら大丈夫。暗殺者【アサシン】の特性をしっかり生かすんだ」

 複数のダークウルフが叫び、牙をむき出しにこちらに駆け寄ってくる。リーシャはそれに落ち着いた様子で背中に携えた剣を引き抜くと、間合いを取る。

 彼女の抜いた黒の刃。何一つ、他の色は入れておらずシンプルな美しい刃がそこにあった。

 それと対になるように装備は、紫色に施されている。

「ふぅ……」

「いい呼吸だ。いけるか?」

「はい」

 その刃に見とれていたが、リーシャは、何食わぬ顔で向かってくるダークウルフをはじき返す。

 そのまま一匹目を切り裂く。

「うん。これはいい動きだ」

 リーシャは次に襲い掛かってくる攻撃を暗殺者【アサシン】の特性である反射神経で軽々とよける。

 俺は、念のために万が一、何かあった場合のために魔法を準備しておく。

 リーシャは、呼吸をしながらもう一体のダークウルフも倒した。

「後、少しだ。ダークウルフは、レベルはそこそこだが集団攻撃になると、脅威になるぞ」

 俺の助言に彼女がこちらを見て確認する。

 そして、今まで相手の攻撃を捌きながら後から攻撃していたリーシャが自分から動き出した。

 レベルが圧倒的に上である俺には、その動作がよく見えたが、どんどんスピードを上げていくリーシャを真剣に見ていた。

 残りのダークウルフも一体だけになる。

 ダークウルフの死体は、その後、発光し、アイテムドロップなどに変換する。

「いい動きだ……」

「ガルルルル……」

 俺は、リーシャの動きの良さに感動していた。

 無駄のない動きは、レベル53でもそれ以上の動きに見えた。

 ……それでいい。

 残り一体のダークウルフは、仲間が殺されたことに殺気が増している。

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