Ⅲ
俺がモンスターのいるところに指差す先を彼女が振り向くと、そこにはダークウルフが三体ほど向かってきった。
「ガルルルル!」
「こ、これってダークウルフじゃあないですか! それもレベルが30ですよ!」
「落ち着いて、相手をよく見て。君のレベルだったら大丈夫。暗殺者【アサシン】の特性をしっかり生かすんだ」
複数のダークウルフが叫び、牙をむき出しにこちらに駆け寄ってくる。リーシャはそれに落ち着いた様子で背中に携えた剣を引き抜くと、間合いを取る。
彼女の抜いた黒の刃。何一つ、他の色は入れておらずシンプルな美しい刃がそこにあった。
それと対になるように装備は、紫色に施されている。
「ふぅ……」
「いい呼吸だ。いけるか?」
「はい」
その刃に見とれていたが、リーシャは、何食わぬ顔で向かってくるダークウルフをはじき返す。
そのまま一匹目を切り裂く。
「うん。これはいい動きだ」
リーシャは次に襲い掛かってくる攻撃を暗殺者【アサシン】の特性である反射神経で軽々とよける。
俺は、念のために万が一、何かあった場合のために魔法を準備しておく。
リーシャは、呼吸をしながらもう一体のダークウルフも倒した。
「後、少しだ。ダークウルフは、レベルはそこそこだが集団攻撃になると、脅威になるぞ」
俺の助言に彼女がこちらを見て確認する。
そして、今まで相手の攻撃を捌きながら後から攻撃していたリーシャが自分から動き出した。
レベルが圧倒的に上である俺には、その動作がよく見えたが、どんどんスピードを上げていくリーシャを真剣に見ていた。
残りのダークウルフも一体だけになる。
ダークウルフの死体は、その後、発光し、アイテムドロップなどに変換する。
「いい動きだ……」
「ガルルルル……」
俺は、リーシャの動きの良さに感動していた。
無駄のない動きは、レベル53でもそれ以上の動きに見えた。
……それでいい。
残り一体のダークウルフは、仲間が殺されたことに殺気が増している。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます