Ⅲ
つまりこの仮想空間自体が現実世界になってしまったというわけだ。
……ははは、そんなわけがない。痛み、血、それを現在の技術でそこまでリアルに再現できるはずがない。
それ以外に何かないか画面の中身を操作する。
画面内は、MOBと全く一緒だ。
表示されていたのは、いつものステータス画面である。
後変な隠しウィンドはないよな?
と何度も探すが、不可解なところは見つからない。
「おかしい。エラー表記など、どこにもない」
ログアウト表示ボタンが消えた以外の大したことはなかった。
魔法は普通に使えることもあれば、剣も扱える。どうしてこうなったのか、不思議なくらいだ。
「レベル86って高いのか、低いのかも分からないな……」
このMOBの最新バージョンの最高レベルが予想できない。
名前は、自分の名前ではなく、自分のアバター名、ロイとなっている。
ま、ゲーム名での名前なら本名バレしないだろう。
「データがロストしていなかっただけでも良しとするか……」
俺の安心度が、平常値へと下がる。
後は、情報収集のみだ。
と言っても、周りは草原だらけで何もない。
それから結構な時間を歩いたが大した手掛かりは見つからない。
しかし、マップ上では街に近づいていることだけは分かった。
この世界で生きていくためには自分を信じるしかない。
もうこれはただのゲームではない。命を懸けた本当のゲームだ。
レベルはともかく、HPがあるってところは、ゲームって感じがする。
すると、マップの画面上に何か表示されていた。
これはプレイヤーの表示だ。
モンスターではない。
表示されているのはプレイヤー、たった一人。
画面に映し出されている表示を見ながら、俺は、もしかすると、何か情報を持っているかもしれないと思った。
ちっ、これがはずれだったらどうする?
待ち伏せでもするか?
いや、一応、やばい奴だったらのために装備は強化しておこう。
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