君はもうすぐ電話をかける

ナガレカワ

第1話

ああ、もうすぐ来るな。

ブルルルル

スマホのバイブ音が真夜中に響く。

画面を見ると君の名前が表示されている。やっぱりね。スライドさせ電話に出ると君は必ず、

「ごめん。また電話しちゃった。なんだか眠れなくて」

という。いいよ、電話できるの嬉しいしと僕が言うと君は必ず泣き出して

「ごめんね、ごめんね、嫌いにならないで」

と言う。そんなこと気にすることないのに。だって僕は君のことが大好きなんだから。


君はいつだって僕に連絡をくれるし、何度も好きだと言ってくれる。それに僕との遊びをSNSにのせてとても楽しかったことを感じさせてくれる。


それなのに僕の友達は、10秒とまたずに怒涛に連絡してくるなんておかしいってと言い、好きと同じくらい別れる!もう嫌いって言われてるだろ?目覚ませよと怒鳴る。挙句には、君があげているストーリーを見て、こういうストーリー上げてるやつをメンヘラって言うんだよ!可愛いとか言ってる場合じゃないってと悪口を言われる。


彼らは君のいいところを知らないのさ。僕は知ってるよ。君が僕と付き合ってから、元彼との写真やもらった物を全て燃やし、僕の写真をテレビの横に飾ってくれていること。僕があげたプレゼントを本棚に飾り、クマのぬいぐるみを抱きしめて寝ていること。こんなにかわいいことをする君のことを誰が嫌いになるだろうか。


それに君は電話をかける前に友達に連絡を取るよね。また電話してもいいかな、迷惑かな、嫌われちゃうかなって。そういう心遣いができるところも大好きなんだ。真夜中に電話をかけることを躊躇するけどでもやっぱり夜の不安になる空気に勝てず電話をかけてしまう君、僕のストーリーに映る女の子を見て誰なんだろうと探しまくりその女の子のSNSを過去から遡って見てしまう君、僕のあげたぬいぐるみを抱き罪悪感から泣いてしまう君も好きさ。


よし、ストーリー上げるか。あ、もうまた。ふふ、早いね。探す?探す?あ、やっぱり探すよね。映ってるもんね、君が知らない女の子。見てる見てる。友達にも連絡取ってるね、あ電話もするの?

また女の子が映ってる、私より可愛いしっていやいや、君の方が可愛いに決まってるじゃないか。当たり前でしょ。泣き顔もかわいいね。

電話はもう終わり?僕に電話してくるかな?まだか。ぬいぐるみに話しかけてる。あ、電話かけようか迷ってるね。いいんだよ、かけてきて。


ブルルルル

バイブ音がなる。

「もしもし、どうしたの?」

と僕が聞くとまた君は少し泣いている。ごめんね、またかけちゃった。不安になってきちゃってって…。あぁ、なんて愛おしいんだ。

僕らは学校の話や友人の話、好きな芸能人の話を眠たくなるまでした。

そしてもう夜も更けてきたねと僕が言うと君は少し恥ずかしながら、

「今度、家に来ない?お母さんに紹介したいな」

と言った。

僕は喜び、

「もちろん、楽しみだな。家に行くのは初めてだしすこし緊張するな。何を持っていこうかな」

と言うと、君はくすくすと笑い、手土産とかいらないよという。じゃあまた明日、遊びに来てくれるの楽しみ、と君は電話を切った。


ああ、今日も楽しかった。君と付き合ってからは毎日が楽しい。特に君との電話が楽しいんだ。君は毎回僕に電話をかけることを躊躇し罪悪感を抱いているようだけど全く気にする必要はないさ。


僕は君の全てを知りたいんだから。

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君はもうすぐ電話をかける ナガレカワ @naga_rekawa

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