第2話

小学校にイレーヌちゃんといっしょに行っても、みんなに女の子のように見られているわ。ピンクのカバンで通学している。

体操服も女の子のを着ているの。

着替えも、いつも女の子といっしょにやってるのよ。

3年生くらいから、パリの小学校でも、めっちゃ走るの速くなってきちゃった。


イレーヌちゃんは、パリで今めっちゃ盛り上がってる日本アニメも大好き。日本料理など日本文化も大好きなの。

アニメのコスプレをよくやっていて、フランスの日本フェスに行ってるわ。日本に行きたいって、いつも言っている。

イレーヌちゃんのママは日本人だから、イレーヌちゃんは日本語もうまく話せるの。ボクとは、いつも日本語でしゃべってるのよね。


ボクは、小学4年生の時に愛媛県松山市の小学校に転校することになっちゃったの。

イレーヌちゃんは、めっちゃ羨ましがってて、「わたしもいっしょに日本行きたい~!」って言っているわ。

出発の日、空港にイレーヌちゃんも見送りに来てくれたの。

「いつか、わたしも日本にぜったい行くからね~!それまで待っててね!」って言って、ほっぺに、チュッてしてくれたわ。

「バイバ~イ!またね~!また会おうね~!大好きな日本で!」

空の上から見るパリの風景も、めっちゃきれいだったわよ。


松山の小学校は、坊っちゃんの舞台にもなった街だからか、転校生にも、めっちゃ優しくしてくれたわ。月組、雪組、花組っていう3クラスだったんだけど、ボクは4年雪組になったの。

転校のあいさつをしてても、他の月組、花組のみんなも、どんな転校生が来たのかなあ~っていって、雪組の教室まで、のぞきに来ていたわ。


松山の小学校でも、ボクは女の子みたいな体型だったし、女の子の服を着て行ってたし、カバンもピンクだったし、知らないと、女の子に見られてしまってる。

でも、松山の街って、この街に来る人に、みんな、あたたかいみたいで、女の子みたいなボクのことも、みんな、あたたかい目で見守ってくれているの。だから、めっちゃ嬉しく思えたし、松山の街も好きになったのよね。

松山の小学校でも、体操服は女の子用のを着ているわ。ここでも走るのめっちゃ速かったから、ボクと同じように走るの速い子と仲良くなれたわ。

プールで泳ぐのも大好きで、水着も女の子用のを着て泳いでるの。


美音ちゃんっていうめっちゃ可愛い女の子と特に仲良しになったわ。教室でも、いつもいっしょにいるの。パリも好きみたいで、ボクとよく、パリの話もしているよ。カバネルさんやブーグローさんの描いた「ヴィーナス誕生」の絵のことも話してあげたわ。ボクの好きな、これらの絵を、美音ちゃんも、好きになってくれたみたいなのよね。


美音ちゃんの実家は呉服屋さんで、将来は家のお店を継ぐような感じなの。パリのファッションも好きみたいね。ボクの着ている、女の子の服にも興味を持ってくれたわよ。松山の商店街とかに、美音ちゃんといっしょに、服を見に行くようになったわ。


美音ちゃんと商店街を歩いてたら、占いの館があって、ボクは水晶占いのお姉さんに、結婚相手は誰か聞いてみたら、「描いた絵をいっしょに並べてる人ですっ」って言われたの。美音ちゃんも、「誰だろう?」ってめっちゃ笑ってたわ。

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