甘味は甘美
三日月黎
真夜中の爽やかパフェ
深夜2時、むくりとベッドから起き上がる。こんな時間に起き上がるのもなんだが、何か食べたい気分だった。
嗚呼、甘味。甘味を欲しているぞ、と。
少し背伸びをすると、何を食べようかと考える。ホットケーキ、アイスクリーム、大福。クッキー、ケーキにマフィン。それから、チョコレート、ゼリー、プリンetc。
何を食べても美味しそうなんだが……。
決めた! パフェを作ろう。
思い立ったが吉日、早速準備しよう。一階に下りて、料理の準備を始める。
今日は少し暑くて起きたから、後味スッキリする物を作りたい。
冷蔵庫から新品のマーマレードを用意する。ベースはこれにしよう。前もって、蜜柑、桃(缶詰)、キウイを切っておく。冷蔵庫に入れておいた過去の自分を褒めたい。
細いグラスを持ってきて、少量のマーマレードを入れる。さっぱりとしたオレンジの匂いが微かに夏を感じさせた。
その上にコーンフレーク。さくさくとした食感は満腹感を味わえて、もってこいだ。
それから、生クリーム。真夜中に甘くするのは禁じ手だけど、今日は特別だ。
また、その上にアイスクリーム。チョコアイスも良いが、あえて王道のバニラアイス(市販)にする。そして、美味しく見えるように生クリームを絞っていく。
またまたその上には蜜柑、桃、キウイだ。あまりゆっくりしていると生クリームが溶けてしまうので、手早く綺麗に盛り付けていく。
最後に、またマーマレードをかけて完成というわけだ。忘れた。爽やかにするなら、ミントだ。少しお洒落に見えるよう添える。
これで完成だ。我ながら、準備が良い。これについては突っ込まないでほしい。普段から甘党なのだ。
食べる時がもちろん、一番わくわくする。果たして、初めての爽やかパフェはいかに。
「いただきます」
スプーンでマーマレードが付いた蜜柑を掬って食べる。超・柑橘だった。ほんのりと甘いマーマレードに蜜柑の酸味。柑橘×柑橘のコンビネーションがまさに最高である。
キウイも程よい酸味で、桃はとても甘かった。生クリームもちょうど良くできたし、真夜中のスイーツはなかなかに美味だ。
そうこうしているうちに、バニラアイスに到達。バニラアイスを食べる。手早く作ったためか、まだ溶けずにヒンヤリとしていた。そう簡単に溶けられても困るため、ちょうど良い。一口食べると、とても美味しい。ミルクのスイートな味わいに思わずときめく。自分で作るのもオツだが、美味いからそれでよし。でも、バニラビーンズがあると、香りも楽しめるかもしれない。
あっという間に最後のコーンフレークとマーマレードだ。食べごたえのあるコーンフレークだが、苦手な人も多い。薄味だったりと、あまり普段食べることがないが、牛乳やジャムとは相性がいい。オプションがあると、食べ物はなんでも美味しくなるものだ。甘美で甘味な食事だった。
「ごちそうさまでした」
真っ昼間に食べるよりも、真夜中に食べた方が美味しく感じる。それはなぜか。
夜に食べるという行為の背徳感と、誰もいないから食べるという秘密の時間。
それが、真夜中に食べる時に感じる美味しさの秘訣なのかもしれない。
甘味は甘美 三日月黎 @ruelkuroneko
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