第13話
簡単な朝食を済ませる。装備のチェックをする。再度、隊長の所に集まった。
「各自配置につけ。赤い花火が上がり次第、攻撃を開始する。確認するぞ。相手は籠城作戦はやらない。攻めてこない限り、同じ所をグルグルと回る。まず初めに、城下街の占拠。そこから、魔王城に突入する」
オルス達は、新品の棍棒を渡された。なんども握りを確認する。
「狙う箇所を思い出せ。最初は弱い敵だ。だが、段々と強くなっていくぞ」
オルスは言われた通り、配置につく。正門からだった。門は開いている。跳ね橋も降りている。魔物は気づき、ずっとこちらを見ている。だが、動かない。
二つの砦から、赤い花火が至る所から打ちあがった。
作戦開始。
オルス達、軽装兵が切り込んでいった。中に入ると、想定された位置に、ガイコツ兵がいた。相手が構えるよりも早く、棍棒で叩き潰していく。
オルスは、胸の鼓動が平常である事を確認した。視界も両脇がちゃんと見えている。
次々と、ガイコツ兵がオルスの姿を捕らえた。剣を構えようとしていた。
オルスは低い姿勢で、右ひざを狙って打ち砕く。ガイコツ兵は、バランスを崩した。すかさず、顔面も打ち砕く。すぐに一歩引く。
襲い掛かってくる気配は感じなかった。視界には、味方が次々とガイコツ兵を倒していく姿が見られる。
「どんどん前に進め。それだけ、俺たちが有利になる!」
隊長が叫んでいた。オルスは魔王城に向かって駆けていく。
前方に、槍を持った二体のガイコツ兵がいた。オルスに向かって走ってくる。槍の矛先が引いていく。オルスは立ち止まり、二体のガイコツ兵を見ながら、腰に装着してある短剣を引き抜き、一体に向かって投げた。
ガイコツ兵の顔に、短剣が顔に当たる。顔が上がる。その隙に、もう一体のガイコツ兵に一気に詰め寄った。
槍が突き出してきた。左に避ける。両手を砕く。
もう一体が、体を右に回転させ、突き刺そうとしてきた。だが、目の前に両手を砕かれたガイコツ兵がいて、邪魔になっている。
オルスは両手が砕かれたガイコツ兵の腹に、前蹴りを喰らわす。二体とも後ろに吹っ飛んだ。オルスは高く飛んだ。両足で一体のガイコツ兵の顔面を砕き、もう一体はグラブで破壊した。すぐに周りを見た。
劣勢になっている仲間の所へ向かおうとした。
「ウッ!」
目の前で、仲間が倒れる。後ろの首に、矢が刺さっていた。振り返り、見上げる。城壁上の通路に、一定の間隔でガイコツ弓兵が現れていた。
「弓兵に気をつけろ!」
「だれか、あいつらを倒してこい!」
東、西門から入ってきた兵士たちも同様に、弓兵に苦戦している。
「あそこにいるなんて」
すぐに重装兵が入ってきた。
「軽装兵、ただちに弓兵を倒してこい!」
オルスは、一気に近くの門まで下がる。運良く階段を見つけた。らせん状になっている。人が一人通れる程度だった。すぐに行こうとした仲間を、オルスは止めた。
「だめだ。槍兵がいたら、殺される」
「オルス!」
テッドが盾を放り投げる。それは氷だった。
「氷の盾だ。すぐに仲間を集める。それまで、それで耐えてくれ」
「行くぞ!」
オルスを先頭に、氷の盾で攻めていく。前が見える。目の前に、槍を持ったガイコツ兵が現れた。オルスは構わず突進をしていく。
ガイコツ兵が槍を突き刺してきた。氷の盾が弾く。オルスは突進していく。ガイコツ槍兵が後ろに飛ばされ、踏み潰された。
城壁上の通路に出た。等間隔で、ガイコツ兵が熱心に弓矢を放っている。すぐ近くの敵が気づいた。弓をこちらに向ける。オルスは突進した。
矢が放たれる。氷の盾が弾いた。同時に砕けた。棍棒でガイコツ兵の頭部を殴る。魔物は下へと落ちていった。仲間が遅れてやってきた。
「そっちを頼む!」
オルスは敵の膝をめがけて壊していく。後ろにいる仲間が、頭部を破壊していた。視界の隅の方では、同じように、東門から来た仲間が、ガイコツ弓兵と戦っている。
「オルス、伏せろ。サンダー!」
テッドの両手から、稲妻が勢いよく放たれる。列をなしていたガイコツ兵が次々と破壊されていった。
「おい、撃つな!」
反対側から、仲間が走ってくる。
「全部倒したな」
城下街を見る。大勢の仲間が、倒れているが分かった。
「ここにいるなんて……あいつら、知っていたのか」
悔しい顔をするテッド。
「おい、門が開くぞ」
魔王城の門がゆっくりと開いた。城下街にいる仲間たちは、気づいていない。
「ガイコツ騎士の軍団だ!」
門からは、綺麗に一列に並んだガイコツ騎士が現れた。
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