第5話 実習開始
「それでは始めます。まずは、ペアを作ってください。」
ペアか....守は―——
『すまん、光一。おまえの男子のペア、いねぇから』
『はあ?!』
ジェスチャーで謝られても困る。
だが仕方がない。このクラスで男子は5人、そして俺は今日転入して来たばかり.....。
「そりゃあ余るか.....」
と独り言ちている間に、
「光一君、あたしと組まない?」「いいえ、私と組も!」
「駄目よ、あんたギアの使い方下手でしょ!」「そうよ駄目よ!光一君は他の男子と組まないとおいしく無いでしょ!」
まずい....囲まれてしまった。
どうしようか困っていると、
「定月さん。」
輪の外から声が掛かる。
「私と組んでいただけませんか?」
そう言って分け入って来た彼女は、金髪で可愛らしい顔立ちで、瞳は澄んだ青色。スーツも瞳と同じ青に染められ、動きやすいようにか布面積(せめて胸元は隠してほしかった)を削り、専用にカスタマイズされていた。
「いいですけど、お名前は......」
「エリーゼ。エリーゼ・ロイナーよ!よろしく、転入生さん?」
「よ、よろしく」
すぐさま腕をつかまれる。
「「「「いいなぁ」」」」
「せこいよ、エリー。」
「ごめんなさいね。また今度で♡」
囲んでいた女子たちにウインクをして見せる。
「さ、行きましょ?」
「あ、お....おう」
ブーブー言っている女子たちを尻目に、俺たちは動きやすい位置に移動する。
「エリーゼさんは――—」
「エリーって呼んで。」
「エリーさんは―――」
「さん?」
「.......エリーはどこ出身なんだ?」
「アメリカよ?と言うか、もしかして私の名前を聞いてピンと来ない?」
「え?」
エリーゼ・ロイナー?........ロイナー........。
「あ、もしかして国防長官の!」
「そ、娘よ。留学でこっちに来てるの。」
「一人で?」
「そうよ?」
「すごいな!住むとことかどうしてるんだ?」
「別荘的なのもあるし、いざとなったら大使館に住むことは出来るけど、基本ここの寮よ?それに関しては在籍生徒のほとんどはそうだし、一部の教員も当てはまるけど......あなたは違うの?」
「いや俺も、だけど」
「そう。なら、いつでも会えるわね♡」
「そ、そうだな。ハハハ.....」
「皆さーん、ペア作れましたかー」
他愛もない話をしていると金村先生が声を上げた。
「それではーギアを展開してくださーい」
それに応じて次々と展開し始める。
「スタートアップ」
横のエリーゼも起動する。
全身から光の粒が現れ、体に密着していく。次第に粒は体を包み、弾けたかと思えばすでにスーツの上にメカメカしい装甲が装着され展開を終えていた。
「どうしたの?」
「いや、何でもない。」
訓練用ギアの本体横、小さなボタンを押す。すると、自動的に魔力を使い同じように少しづつ展開していく。
「重い.....」
やはり、専用にチューニングしていないので違和感がある。
「そういえば、なんで訓練用なの?」
やばい。言い訳を考えて無かった。
「えっと、それは....、あれだ。その...」
「皆さん展開しましたねー。それでは、今から言う動きをやってみてくださーい。」
「ま、また今度話すよ。」
危なかった....
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