第4話 人気者?

1限目が終わった俺は危機的状況に陥っていた。


「光一くんはどこ出身?」「ねぇ、好きな人とかいるの?」

「なんでギア二つ着けてるの?」「やっぱりBLが至高よね!」


俺はクラスの女子に囲まれていた。


助けて....


隣の桜井さんにアピールしてみるが、


「ふんっ!」


顔をそらされる。俺なんかしたか?


「まあまあ、皆落ち着いて。定月君も困ってるから。それより、次は実習だろ?早く着替えないと遅れるぞ?」


割って入ってきた男に言われると、囲んでいた輪が素直に崩れる。


「ありがとう、助かったよ。えっと、」


「落合 守、学級委員長だ。よろしく」


「よろしく、落合。」


まもるでいいよ。」


二人で更衣室へと向かう。


「うちのクラス、女子多くないか?というかほとんど女子だぞ?」


「たまたまだよ。最近は何故か女性の適合者が増えてるし、うちの戦闘科の希望者も女子が増えてるけど、たまたま俺たちの年が極端に女子が多いだけだよ。他の科や学年は半々か男子がすこし少ないくらいだ。」


「そうなのか」


更衣室に入り自分のロッカーを開ける。


「聞きたいことがあるんだが....」


「何だ?」


「俺の隣の桜井さんなんだが、気難しい人なのか?なんか嫌われてる気がするんだが?」


「あぁ、彼女はあれが普通なんだ。」


桜井 楓、17歳、有名な桜井家の一人娘。父親は元軍人で現在は剣術の指南役として道場を開いている。母親も軍人だったが、戦死したそうだ。


「父親は軍にいた頃、准将まで昇っている凄い人だ。だが娘があれだからなぁ、きっと父親も堅物なんだろうな。」


「ふ~ん」


専用のスーツに着替えた俺たちはグラウンドへ出る。


もうみんな着替えて待っていた。


「遅かったじゃねえか、守。」


男子生徒がこちらに手を振ってくる。そしてその後ろにも2人、男子生徒がいた。きっと守を待っていたのだろう。


「すまんすまん、こいつと話ししてたんだ。」


「なんだ?もう転入生と仲良くなったのか?」


「うちのクラスで数少ない男だ、俺たちも仲良くしてくれよな!」


三人それぞれと握手を交わす。


「あぁ、よろしく」


間もなく授業が始まるので列に並ぶ。


にしても、目のやり場に困る。この専用のスーツ、露出は少な目であるものの、体に密着しているので体のラインがどうしても分かってしまう。


「自分も着ていたけど、周りには人がいたことが無いからなぁ。慣れないと...」


チャイムが鳴り、同じくスーツを着た金村先生が姿をあらわした。


「それでは、ギアの運用実習を始めましょう!」

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