第39話 長女、謎のアレルギー発症

 仕事帰りの長女から「顔がヤバい。めっちゃ痒くて赤くなってる」とLINEが来た。今までも疲れている時に、何回か蕁麻疹が出たことがあるので、今回もそうかなと思った。

 しばらくして帰ってきた長女の顔は「ヤバい」が正しいほど腫れていた。蕁麻疹とは違う気がして夜間救急に行かせた。結果は、たまにあるらしい謎のアレルギー。

 翌朝、更に腫れていた。かかりつけの内科に行くと、そのまま総合病院を紹介された。内科と皮膚科を回るが、やはり謎のアレルギー。採血して薬をもらって帰って来た。

 鏡を見るたびにポロポロと泣いて食事も喉を通らない。家の中でも帽子を目深に被り眼鏡とマスクをつけて、鼻を啜っている。悲嘆にくれる芸能人か、とツッコミを入れる空気ではない。

 目も開かないほどの腫れは一向に引かず、翌日また検査結果を聞きに病院へ行った。1時間ほどして長女から電話がきた。

「このまま入院だって」

 腫れが引かず原因も分からないので、入院して経過観察するという。入院は可哀想だが、病院にいる方が安心だ。

 入院の支度をしていると、次女がちょっとニヤついて言った。

「可哀想だけどさ…顔認証ってできんのかな」「やめなさい…」

 みんなうっすら思ったけども。

 血液検査もアレルギー検査も何も出ず、原因不明のまま腫れは引き、1週間後、無事退院した。そして、次女より先に聞いてしまった。

「顔認証ってできた?」

「3日目まではダメだった!」

 元に戻って、本当に良かった。

 

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