第38話 上野動物園

 先日、友人と都内で会った時、予定が変わり急に時間が余ってしまった。どこで時間を潰すか迷ったが、意外と犬猫以外の動物を見てないねと上野動物園に行くことにした。

 ランランとカンカンの頃以来だから、ほぼ半世紀ぶりだ。入園料はなんと600円。

 9月に2頭のパンダが中国に返還されたばかりだったので、今ってパンダいるの?というところからのスタート。案内所で園内地図をもらう。

 まだパンダはいた。シャオシャオとレイレイの2頭もいた。早速パンダの森へ向かう。平日の午後だったにもかかわらず、行列ができていた。

 一眼レフのカメラを下げている人がたくさんいる。40分待ちだったが列に並ぶ。ジグザグと進む中、遠くからでも時々パンダの姿がチラリと見える。両足を投げ出して笹を齧っているパンダは、やっぱりかわいい。

 昔と同じく20人位ずつロープで仕切られ、1分経つと音が鳴り次の枠に進まされる。目の前にパンダがいる時と岩の後ろに行ってしまった時とで、同じ1分なのには不公平さは感じたが、仕方ない。人気者に近付くには運も必要なのだ。

 その後、ゾウやトラやホッキョクグマの大きな動物の迫力に興奮し、レッサーパンダやプレーリードッグなどの小動物の愛らしさに癒され、思いの外楽しんだ。

 帰り際に、友人がポツリと呟いた。「癒されといてアレだけど、動物園の動物ってやっぱりなんかね」「言わないで…」

 動物園のもの悲しさは、秋の夕暮れ時のせいだったと思いたい。

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