真夜中☆カレーハーレム

戸森鈴子(とらんぽりんまる)

真夜中☆カレーハーレム!可愛い義妹双子と美人幼馴染に囲まれてカレーを作る話


 社会人一年生の俺は、もちろん相当なストレスが溜まるわけで。

 爆発しそうになると、真夜中クッキングを始めてしまう。


 月から金まで働いて、今日は二十五日の給料日で金曜日。

 数日前にネット通販で注文した肉と野菜、スパイスが届いている。


 そして俺はカレーを作り始めるのだ。


 玉ねぎをみじん切りにし……香草や薬味を刻みすり下ろす。

 鶏もも肉もしっかり下ごしらえするのだ。


 鶏皮をメリメリと剥ぐ。

 この時は無心、いや、ムカつく上司を思い浮かべて……なんてね。


 そしてカレーベースを作るんだ。

 スパイスを炒めていく……俺の秘蔵のスパイスレシピ……。

 と、後ろに二つの気配。


こめお兄ちゃん~☆」


米兄こめにいま~た上司に怒られたの?」


「……ひよこ、うずら……邪魔しに来るなよ~」


 台所に現れたのは、俺の双子の妹のひよことうずらだ。

 二人は町でも評判の美人双子。

 でかくてキラキラした茶色の瞳に艶のある茶色の髪。

 ひよこはボブカットで、うずらはロングヘア。


「ねぇ~私スパイス混ぜるの手伝ってあげるよ☆」


「いや、大丈夫」


「じゃあ私はターメリックライス作る? それともナン?」


「今日はもう五穀米を炊いてあるから……」


「「うふふ楽しみ~」」


 ひよこは俺を後ろから抱き締めてくる。

 う……Tシャツだから、柔らかいおっぱいが押し付けられて俺の広背筋にダイレクトアタック……!

 うずらは俺の左腕を抱き締めてくる、こっちもおっぱい……右胸だけでも圧倒的な巨乳が俺の上腕二頭筋と上腕三頭筋をむにゅむにゅしてくる!!


 双子だから同じおっぱいの大きさと柔らかさ……!


 む、むにゅむにゅ……っ!


「や、やめろ!! 混ぜにくいっ! 離れなさいっ!!」


 俺は肩をガタガタさせて二人を振り払う。


「だって~……」


「金曜日の夜だよぉ? 楽しみたいじゃん」


「お前達は、兄ちゃんの少しの安らぎを見守ってくれんのかっ!」


「「じゃあ明日デートしてぇ?」」


 後ろからハモる声。


「あ、明日は夕方まで寝るっ!」


「「ええええ!!」」


「お前達は、もう寝なさいっ!」


「「やだぁ!!」」


 くっつきはしないが、二人の手が俺の背中や腕を撫で回してくる……ゾクッ。


「やーめなさいっ! 焦がしちゃうでしょうがぁ!」


「だって~お兄ちゃんがぁ~冷たいんだもん」


「じゃあ明日の夜にぃ~三人でお風呂入ろうよ」


 なんちゅー提案だよ!


「お、俺は……サウナに行くっ!」


「なにそれ! 米兄の穴狙われちゃうよー!?」


「お兄ちゃんの穴は私達が守るー!」


「変な事を言うのはやめなさいっ!」


 ドタバタしてると、リビングの庭に面した掃き出し窓がガラッと開いた。


「こんばんは、米太郎。うん、いい香りだ。今日のカレーは何カレー?」


 黒髪ショートカットでモデル並みの長身。手足はしっかりと筋肉がついてスレンダー美女。

 俺の幼馴染のつぐみがリビングに入ってくる。


「おじゃまします」


「つぐみ……こら、お前達窓に鍵かけないと駄目だろ」


「だって、つぐみお姉ちゃんも来ると思ったし」


「開けといたの☆」


「ふふ、良い子たち」


「「きゃああ~つぐ姉大好き~!!」」


 密度が酷い台所にまた一人入ってきて双子を抱き締める。

 キャッキャキャッキャうるさいなぁ。


「チキンカレーか楽しみだ。地ビールとラッシーを持ってきたよ」


 つぐみが手提げ袋に入ったビールを俺に見せてきてカチンと瓶の音がした。


「それは嬉しいけど……あ~俺もう家、出ようかな……」


「よぉし。じゃあ一緒に住もうか」


 つぐみは当然のように俺に言う。

 長身でショートヘアが似合うつぐみは学校でも王子様と呼ばれ女の子にモテモテだったし、もちろん男からもクールビューティーだと人気は絶大。


 なのに、なんでかずーっと俺にかまってくるんだよな。

 あ~なんだかんだでカレーの匂いを嗅ぎながらお前も抱きついてくるのか……。

 筋肉質なしっかり固めのおっぱいが俺の僧帽筋に当たる。あああ。


「いい匂いだね」


「そ、そっか」


「米兄! 学校近くの一戸建てが売りに出てたよ~家を出るならそこがいいんじゃない?」


「一番大きな部屋にダブルベッド二個置いて、みんなで寝ようね」


「それはいい、米太郎の隣は日替わりだな」


「だから! どうしてそうなるんだよぉ……」


 まぁつぐみは、親友同士な感覚で俺にかまってくるだけだとは思ってるんだけど……つぐみと俺なんか最強に不釣り合いだしな。


 鶏肉を加えてスパイスの良い香りが立って、カレーは出来上がっていく。

 まぁ結局俺も四人前作ってしまっているのは認めます。


 真夜中のカレーハーレム。

 可愛いくて美人の女の子三人が俺の前でカレーを美味しそうに頬張る。


 俺もカレー作るのが楽しいのか、こいつらと食べるのが楽しいのか、わからなくなってきた。


「美味しい☆」

「スパイス効いてる~」

「うん、最高だ」


 うん、今日のカレーも最高だ。

 スパイスは抜群に香って、辛さで汗が滲む。

 とろみがないシャバシャバ系のスープなので硬めに炊いた五穀米が絶妙な噛みごたえで絡みが抜群。

 下ごしらえをしっかりした鶏肉は柔らかくジューシー。

 隠し味にマンゴーのドライフルーツを入れてたのが……うん……深い……。


 あぁ涙が出るほどに美味い。

 汗と一緒にストレスが流れていくようだ……。


「「「「やっぱカレーは最高~~!!」」」」


 キャッキャと皆でカレーに舌鼓を打つ。


「でねでね」

「きゃはは」

「それは面白いね」


 女子トークも花が咲いてんな……。


 ひよことうずらは、本当は血が繋がってない。義理の妹。

 これは俺しか知らないはずなのに、こうやって好き好き~ってベタベタしてくるから俺も冷静にならんと! っていっつも大変なんだよ。


 だから彼女くらい作らないと……と思ってた。

 実は昨日、会社の先輩に告白されてオッケーしちゃったんだよな。


 日曜日は初デート。


 俺はまだ、この時は知らなかったんだ。

 双子が俺をGPSで追跡している事を――。


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真夜中☆カレーハーレム 戸森鈴子(とらんぽりんまる) @ZANSETU

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