002・キャラクタークリエイト
体が少し浮いたような感覚と共に見渡す限り真っ白な無機質な世界へと降り立った。
自分の体ではなくちょっと発光してる球体として。
「……色々言いたいことはあるが、流石は第6世代と言うところかな」
そんなことを言っているとよくある例の画面が出てきた。
「これをイジってキャラを作るのかな?」
まだ何も設定されていない画面を操作する。
「えっと、まずは種族を選ばないといけないのか」
【ユグドラシルの秘宝鍵】で最初から選べるのは【人間】【獣人】【森人】【山人】だけだ。
「【森人】がいわゆるエルフっていうので【山人】がドワーフなのか」
少々ドワーフの当て字がひどいような気がするが放っておくことにする。きっと誰かが運営に文句を言ってくれるだろう。
「【獣人】も面白そうだけど基本物理型だから魔法が使えないし【森人】はDEX・INT特化だけど近接戦闘向きじゃないからステゴロみたいなことができないしかと言って【人間】は面白味がない」
どうしようかと悩んでいると突然画面に【ランダム】というテンプレが表示された。
「……まあ【ランダム】でいっか。」
【ランダム】をタップする。
『選ばれたのは【高貴吸血鬼】でした!!』
「綾○?」
運営が遊んでいるとしか思えない定型文だ。
『世界で初めて【吸血鬼】になりました。エクストラスキルを一つ獲得できます』
『世界で初めてエクストラ種族が選択されました。エクストラスキルを一つ獲得できます』
「なんかすごいことになったかな」
色々とありそうだが取り敢えず種族のことは放っておく。
「次がステ振りか。【高貴吸血鬼】の種族特性はINTとSTRが極端に高くて次点でAGIが高いのか。初期ステータスポイントは20。……INTに極振りだな。STRとAGIは装備補正でどうとでもなりそうだし」
INTに20ポイント全部振った。
「へーHPとMPはレベルアップで上昇か。種族特性的にHPの上昇がすごい無駄なんだけど。……あれ?これ上昇するステータスもう一つこっちで決めれるじゃん。しかも上昇値を半分に割って二つのステータスに振れれるし」
【高貴吸血鬼】の種族特性は不死である。いささかゲーム的ではあるが、HPが尽きてもMPさえ残っていれば生きていられるのだ。というかHPが尽きてからが本番だったりする。
そのためHPに振るよりもMPに振ったほうが無駄にならない。
「HPの上昇を取ってMPに全部と……もう一つの上昇を二つに割ってSTRとAGIに入れる」
こうしてステ振りを終った。
「次に職業の設定か」
職業。いわゆるジョブだ。これを設定しないと無職になる。ゲームでもニートをするなら構わないが。
「これも【ランダム】があるけど流石に職業でやるのは博打すぎる。シナリオ専用の職業もあるみたいだし」
就職可能職業の一覧をスクロールしていくと種族限定職業を見つけた。
「……【血界魔導師】ねぇ。これが【高貴吸血鬼】限定職業か」
【血界魔導師】の職業補正はINTが2倍、STRとAGIが1.5倍で職業スキルで【固有領域】というどう考えても最初から持っていていい職業ではない。
余談だが通常職筆頭の【剣士】でもSTRとAGIの補正は1.2倍だ。
なのにも関わらず、【血界魔導師】とかいう職業は魔法系なのに近接系のステータス補正が【剣士】よりも高いというある種の理不尽が起きている。
「これを選ばないゲーマーはゲーマーではないでしょ(偏見)」
「その次がスキル選択か」
初期スキルは【種族スキル】と【職業スキル】を除いて【通常スキル】を10個選択できる。
「今僕はエクストラスキルを二つ獲得できるからそれを除いた8個を選べばいいわけね」
サクサクっと選んでしまう。
選んだのは上から順に、
【初級剣術】
【初級体術】
【火属性魔術】
【風属性魔術】
【治療魔術】
【初級錬金術】
【魔力操作】
【MP自動回復】
の8個だ。
どんなスキルかは文字を見ればわかる。
「で、問題のエクストラスキルだよ」
エクストラスキルの一覧を見ていく。
エクストラスキルと言ってもピンからキリまででとんでもないスキルもあれば何に使えばいいのかわからないスキルもある。
その中で一番気に入ったスキルを選んだ。
そのスキルは
【切断魔術】
【行動発芽】
の二つである。
【切断魔術】は何でも切り裂くことが出来る魔術でリーチの問題がなく不可視の斬撃を放つことができる。
【行動発芽】は簡単に言うとこれからのゲームプレイの内容や行動でエクストラスキルの中身が変わるご都合主義スキルだ。つまり今持ってるスキルの中で一番使えないスキルである。
「最後にアバターとプレイヤーネームを決めれば終わりだな」
アバター作成のボタンをタップする。
「せっかく【高貴吸血鬼】なんていう種族になったんだから最っ高に厨ニなアバターにしてやろう」
まだ真っ白なアバターをイジっていく。
「髪は膝上3センチ位まで伸ばして銀髪。目の色は右眼が金色で左眼が鮮紅色のオッドアイ。身体は185センチの細マッチョで少しSっ気のある感じで……」
そしていかにもなアバターが出来上がった。
「ネームは自分の名前をドイツ語にしたやつにして……よし!ネームは【ヴァイオレッタ・フルーリングシュトルム】で決定!!」
以外と時間が掛かったようでサービスが開始されていた。
☆topic☆
【ユグドラシルの秘宝鍵】
第6世代と言われる作中時点で最高のVRMMO。
人間とほぼ変わらない知性を持つNPCと交流し世界の秘密を解き明かし世界を超えて隠された14の秘宝子鍵と星界鍵を見つけ出し、【星界樹ユグドラシル】へと至るのを目的としたゲーム。
高い自由度が売り。
【第6世代】
VRMMOの6つ目の大きな転換点。
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