第9話 事件のその後

 死神と牧野が学校の屋上から飛び降りた後、仁科は応援要請を出していた。学校の校門には複数のパトカーが止まっており、校舎の一角にはブルーシートが覆われていた。この日が日曜日とあって、生徒は誰もいない。


「仁科さん!」


 報告をしていた仁科の背後から、桜井が声を掛けてきた。


「飛び降りたんですか?」


「あぁ」


 仁科は短く答えた。仁科と牧野、二人は頭を強く打ち付け即死。今まで起きた一連の事件は、被疑者死亡という最悪の結末で幕を閉じた。


 死神の弟の部屋からは日記が発見された。生前にいじめ被害に遭っていた悲痛な気持ちが伝わってくる日記だった。日記の後半は死神が言った通り、涙に濡れているせいで文字が滲み、読めなくなっていた。


 警察署に戻ってきた仁科たちは、テレビのニュースを見ていた。ニュースではこの事件が話題となり、いじめ撲滅の為に教育委員会が動き出していると報じている。


「これでよかったんですかね?」


 仁科の隣に座ってる桜井が、ニュースを見ながら言葉にした。


「言い訳ないだろ。後味が悪すぎる」


 そう言って、コーヒーを啜る仁科。更に言葉を続ける。


「もうこんな事件は懲り懲りだ」


 しかし三年後、ある男によって再び起こされる事件を、この時の仁科たちは知らない。

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復讐者 sho-ta @ishimori

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