第7話

「ダンジョンの1階に来たけど、クエストが気になる」


 うさぎ肉100個の納品はゲームのクエストと同じだ。

 ゲームのように分かりやすく表示されないが、ゲームと同じなら色々出来るかもしれない。

 人と話をするのも大事なのか?

 いや、今はスキル取得の魔物狩りをしよう。


 後にする予定だったけど、ラビットがよく出る地点に向かおう。

 それに、その地域は魔物の出没率が高い。


 俺はラビットの出没地点へと向かった。

 ラビットの特徴はその素早さだ。

 俺は口角を釣り上げた。


 だが俺は敏捷を優先して上げた。

 俊敏の上昇でスタミナだけでなく、俺の動く速度が上昇した。

 速さ依存のナイフの攻撃力も増している。


 攻撃を直撃させればラビットは1発で倒せる。

 更に速度の上昇で討伐スピードも増した。

 俺はラビットに囲まれる前に倒す事で、1対1の状況に持ち込んで戦える。


 1階の敵なら包囲さえされなければ恐れることは無い。

 1対1なら負けはしない。

 さっきの突発クエストで危ない思いをした俺とは違う。


 囲まれなければ余裕で勝つ!




 そう思っていた時期がありました。

 最初だけは順調だった。

 順調にラビットを倒してスキルをゲットしていた。

 でも、奴が現れた。


「助けてーー!誰かーーーーー!」


 突発クエスト、トレイン2だ!

 1回目よりラビットの数が多いのはゲームと同じ。



 結果勝った。

 でも、武具の耐久力がもうやばい。

 服はボロボロでナイフの耐久力はもう限界に近い。

 

「重ね重ね助けていただきありがとうございます」


「……すぐに戻ろう。武具の耐久力がもうきつい」


 俺は即エリスの所に戻った。




「……それは災難だったね」


 エリスはトレイン娘をジト目で見ながら言う。


「すいませんすいません!でも、うちの宿屋で人気のうさぎ肉のシチューはすぐ売り切れちゃうんです」


「うさぎ肉なら俺が持って行くから大丈夫だ」

「わあ、ありがとうございます」


「それと、うさぎ亭の部屋は空いてる?」

「空いてますよ」


「予約を入れたいんだ」

「分かりました。お部屋は空けておきますね」

「食事も出来るかな?」

「はい。大丈夫です」

「そっか、夕食もよろしく」

「分かりました」


「紋章のチャージを頼む」

「まだ行くのかい!?チャージ料金も馬鹿にならないんだよ?」

「ラスト1回」


 

 その後ダンジョンで魔物を狩り、宿屋うさぎ亭に向かった。



 うさぎ亭に入ると店は繁盛していた。

 木に囲まれた場所にうさぎ亭があり、隠れ家のような雰囲気があったが、人は多い。


 トレイン娘が俺に気づいて近寄る。


「お泊り頂きありがとうございます」


 そう言って頭を下げる。


「来てよかったのか?繁盛しているみたいだけど?」

「家はうさぎ肉のシチューは人気ですが、泊る部屋は空いてるんですよ」

「安心した。うさぎ肉はいつ渡せばいいかな?」

「今下さい」


 即決だった。


 俺はストレージから25個のうさぎ肉を取り出した。


「ありがとう!助かるよ!」

「まあ、いっぱい取れたのねぇ!」

「これで今日の分は足りるね」


 厨房のみんなが喜ぶ。


 すぐに肉にハーブと塩をで処理がされていく。


 すぐ無くなるのか。

 店の客はほとんどの人がシチューを頼んでいた。

 大鍋でシチューを作ってるし、うさぎ肉が無くなるのは早いのかもしれない。


「本当にありがとうございました」

「こちらこそ、宿が見つかって助かったよ」

「今は食事の席が満席です。お風呂の用意は出来ていますよ」


「最初に風呂に入りたい」

「案内しますね」


 俺は風呂に案内される。

 左手の紋章に意識を集中し、装備を解除する。


 お湯で体を流して湯船に浸かる。

 今までの人生で1番気持ちいい風呂だ。

 目を閉じて頭までつかる。

 最高だ。


 今日はいろんなことがあった。

 学校の休憩時間に突然転移して追放された。

 その後はこの世界がエロゲと同じだと知ってダンジョンで戦った。


 手の甲の紋章を見つめる。

 俺はまだ弱い。

 俺の固有スキルとジョブは最初は最弱だ。

 マイナスからのスタートと言った方がしっくりくる。


 もっと強くなろう。

 ステータスを開いた。



____________________

 ハヤト 男

 レベル:1

 固有スキル 訓練:LV2

 ジョブ:闇魔導士

 体力:1+40   UP!

 魔力:1+40   UP!

 敏捷:7+100  UP!

 技量:1+40   UP!

 魅力:0+50   UP!

 名声:0

 スキル・体力アップ:LV4UP!・魔力アップ:LV4UP!・敏捷アップ:LV10UP!・技量アップ:LV4UP!・魅力アップ:LV5UP!・スタミナ自動回復:LV1 ・武器:初心者ナイフ:1 ・防具:初心者防具:3

____________________


 スキルポイントを全部使った。


 スタミナ切れの問題はしばらくは気にしなくていい。


 問題は武器と防具だ。

 耐久力がすぐ下がる。

 ランクの低い武器は耐久力も低い。


 だが、金がない。

 ゲームでは学園からお金を貰う事が出来たが、学園に入学できるのはまだ先だ。

 ……入学できるかどうかすら怪しい。


 ダンジョンで地道にやって行くしかないか。

 目標は50万の初心者卒業セットだ。


 このゲームはスキル枠問題もある。

 たくさんのスキルを取得してもセットできる枠に上限がある。

 その対策のために早くスキルを取りたい。

 明日は固有スキルのレベルアップを目指そう。


 装備を整えてスキルを取れば黒魔導士用のスキルを取得できる。

 【殴り魔】セットを早く使いたい。



 おし!

 明日が楽しみだ!





 






 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る