第6話
俺はボロボロの服。
バックパックを破裂させそうになるほどうさぎ肉を入れ、手にうさぎ肉を持った状態でショップ地帯に来た。
1個のうさぎ肉がでかい。
運びにくい。
アイテムショップに入ろうとするとエリスが声をかけてきた。
「ボロボロじゃないか!普通そんなになるまで戦わないよ。入って」
「いや、うさぎ肉が邪魔で」
「うん、分かるよ。その事も含めて話をしよう」
エリスが俺の背中を押すが、胸もたまに当たる。
さすがエロゲの世界だ。
何よりエリスの押し方が優しい。
紋章ショップに入るとテーブルの上にうさぎ肉を置いて座る。
「早くうさぎ肉を売りたいんだけど?」
「それについては高く売れる当てがあるから僕が買うよ?」
「それとちょっとステータスの確認をしたい」
その時突発クエストで助けた女性がショップに入ってきた。
「良かった。居たんですね。お礼がしたくて」
「何かあったのかい?」
「この方にダンジョンでラビットの群れに襲われているのを助けてもらったんです!」
「かっこいいじゃないか」
「ボロボロになって死にかけたんだ。カッコよく勝っていない」
「ハヤトは死ぬかもしれないのに助けに入ったのかい?」
「そうなるな」
「カッコ良かったですよ。私の盾になって戦ってくれました!」
女性は目をキラキラさせて俺を見る。
「僕も見たかったよ」
「あ、あははははは」
褒められ慣れていない俺はどう答えたらいいか分からずごまかすように笑った。
「君の所でうさぎ肉が足りなくなっていたね?ハヤトがショップで売ろうとしていたけど僕が引きとめているんだ」
「買います!1つ800魔石でどうでしょう?」
価格としては高くないが、ショップより高い。
断る理由はない。
「分かった。3つで2400魔石だな」
今回のドロップ率は悪かった。
だが多くても運びきれない。
「ありがとうございます。所で先ほどのお礼もしたいです。この紋章カードを受け取ってください」
「これ、高いやつだよね?貰えない」
「必要ありませんか?」
「欲しいけど高いだろ?」
ストレージの紋章カード。
これを使う事でアイテムを異空間に保存できる。
でも高い。
1枚100万魔石の価値がある。
買えるならすぐに買って使っている。
高くて買えないから安いバックパックを買って使っていた。
「こういうふうに考えたらどうかな?ハヤトはこの紋章カードを借りて使う。必要なくなったら僕がカードに戻して返すんだ」
「それも助かるけど、100万魔石の価値があるものだろ?いいのか?」
「それでお願いします!お礼をしたいんです!ずっと使ってください。それにまたうさぎ肉を売ってください!」
それじゃ貰うのと変わらない。
余裕が出来たら返そう。
「決まりだね。それじゃあ今から胸に紋章を付けるよ」
ストレージの紋章は胸につける。
女性で言う胸の谷間の位置だ。
服の胸元が空いているのは仕様だ。
ストレージを付けてもらった後、俺はすぐに武具の耐久力を回復してもらった。
自然回復もするが、エリスに魔石を消費してもらう事ですぐ回復してもらう事も可能だ。
エリスに聞けばあの女性は宿屋うさぎ亭の娘だそうだ。
そういえばうさぎ肉クエストもあった。
トレイン娘のうさぎ肉だっけ?
「ちょっとステータスを確認させてほしい」
「分かったよ」
突発クエストで俺の固有スキルのLVは上がっているはずだ。
訓練のLVが2に上がっている。
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訓練:LV2
固有スキルの枠を3枠使用する。
レベルアップ時にレベルを1にリセットする。
ステータスポイントを0にリセットする。
スキルポイントを5ポイント取得する。
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スキルポイントのリセットが無くなった!
ゲームと同じだ。
レベルアップで5ポイントのスキルポイントのみ取得できるようになった!
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ハヤト 男
レベル:1
固有スキル 訓練:LV2 UP!
ジョブ:闇魔導士
体力:1+10
魔力:1+10
敏捷:7+10
技量:1+10
魅力:0
名声:0
スキル・体力アップ:LV1・魔力アップ:LV1・敏捷アップ:LV1・技量アップ:LV1・スタミナ自動回復:LV1 ・武器:初心者ナイフ:1 ・防具:初心者防具:3
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スキルのLV1から2に上げるとスキルポイント2ポイントを消費する。
LV2から3に上げるには3ポイントが必要となる。
最大LVは10だ。
ゲームとプレイ感覚は違うが、上げるスキルは決まった。
____________________
ハヤト 男
レベル:1
固有スキル 訓練:LV2
ジョブ:闇魔導士
体力:1+10
魔力:1+10
敏捷:7+40 UP!
技量:1+10
魅力:0
名声:0
スキル・体力アップ:LV1・魔力アップ:LV1・敏捷アップ:LV4 UP!・技量アップ:LV1・スタミナ自動回復:LV1 ・武器:初心者ナイフ:1 ・防具:初心者防具:3
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敏捷を上げた。
これでスタミナが増えて疲れにくくなった。
ストレージの紋章もかなり使える。
戦闘中は出し入れに時間がかかって使いにくいが容量が大きい。
うさぎ肉を持って歩くこともないだろう。
それにバックパックがいらなくなるのは楽だ。
バックパックは地味にスタミナが減りやすくなる。
後はポーションを買えるだけ買ってダンジョンに行く。
武具の耐久値が下がったら街に戻ってエリスに紋章を回復してもらう。
この繰り返しだ。
俺はステータスの確認が終わり、エリスの顔を見る。
エリスは優しい顔で俺を見ていた。
この顔、エリスの好感度が上がった時の顔だ。
ま、まさか!ゲーム開始前から好感度が上がっているのか!
確かめる必要がある。
ステータスの魅力を高めると、好感度が上がりやすくなる。
俺は残った1ポイントでスキルを取得した。
『魅力アップ、LV1を取得しました』
エリスが話しかけてくる。
「ハヤトがかっこよく見えるよ」
「それは、今そう思ったのか?それとも、うさぎ亭の娘の子を助けたからか?」
「どっちだろう?分からないよ」
魅力アップのスキルを取る前から俺の好感度は上がっていた。
うさぎ亭のトレイン娘を助けた事が大きいと思う。
この世界はゲームよりリアルに人間関係が移り変わっていくのかもしれない。
だが魅力アップの効果は分からない。
今は後にしよう。
今は戦闘力のアップを考えよう。
スタミナを使い切るまで魔物と闘ってスキルを取得し、スキルポイントを貯めて基本スキルを取得する。
ジョブスキルはまだ先だ。
固有スキルの訓練はレベルリセットを繰り返せば上がっていく。
「今日は何度も武具の耐久値を直して欲しい。いつもここに居るか?」
「大丈夫。僕は店を閉めるまでいるよ」
この世界では夜に店が閉まるのか。
いや、ゲームじゃないんだ。
それが普通か。
早くダンジョンに向かおう。
「ダンジョンに行って来る」
「さっきの子がうさぎ肉を欲しがっていたんだ。良かったらもっと取ってきて欲しいんだよ」
「分かった。取ってこよう」
「100ドロップ分欲しいって言ってたから後97ドロップ分だね」
うさぎ亭にうさぎ肉を100個納品……
ゲームのクエストと同じか。
俺はダンジョンに向かった。
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