第3話 1日目
ガブリエルと名乗る天使の言う事はこうだ
肉体の死が訪れると体から魂が離れる
しかし、今まで肉体と密接につながっていた魂はすぐに霊界に行くことが出来ない・・・純粋な魂だけになるまでは人間界と霊界の間(はざま)を彷徨う期間がある
その日数“49日間”
この49日間は、肉体でも魂でもない中間的な立ち位置なので、時には物質界に深く関与し、影響をもたらす場合もあると言う
そしてその期間会いたい人を七人選ぶことが出来ると言うこと
しかし、これにはいくつかルールがある
1、49日間を7回に分け、7日間を一回とする
2、7日間選んだ人のそばにいることを許される
3、七人を選ぶこと
4、生者のみを対象とする
“分かった!何でもいいから早くあの子のところへ行きたいの!”
ヨシノは自分のお腹の中にいる我が子のことが気がかりで冷静ではなかった
ヨシノはまず子供を最初に会いたい人にに選び、すぐに病院へと向かった
病院に着くとそこはまるで戦場のようになっていた
どうやら巻き込まれたのはヨシノだけのようでは無かったようだ
しかし、ヨシノは他のことを考える余裕は無かったまず自分を探さなければ
そんなことを考えていた時に、ヨシノの横をものすごい勢いで走る抜けた男性がいた
“あっ拓也だ・・・”
それはヨシノの旦那であり、子供の父親である白石拓也だった
拓也は文字通り顔面蒼白だった、警察から何と連絡が来たかは分からないが恐らく聞いた時は想像を絶するショックだっただろう
ヨシノは拓也の後を追った
そこは救急治療室の目の前だった
拓也は近くにいた看護師に掴みかかるように声を上げている
いつも穏やかで優しい拓也が別人のようにただ同じ言葉を発していた
『妻は、、妻と子供は無事なんですよね?助かりますよね?今どう言う状態なんですか?お願いします教えてください!!』
ヨシノはいても立ってもいられず、拓也に駆け寄った
“拓也!落ち着いて!!大丈夫だよ!きっと先生が何とかしてくれるから!”
出来る限り大きな声で、拓也に届くように叫んだ
そして、拓也に抱きつこうとした時
ヨシノの体は拓也を通り過ぎた
ヨシノは天を仰いだ
愛おし人が私のせいで泣いてる
そんな時に私はなぜ何もできないのだろう
自分がどれほど無力なのか痛感した
ヨシノは静かに涙を流し救急治療室へと入っていった・・・
そこにいたのは血まみれになっていたヨシノだった
先生が慌ただしく指示を出し処置している
機械音が鳴り響く
うるさい
『お腹に子どもがいる!母親はもう息がない・・・何としても子供だけでも助けるぞ!』
先生の必死の声が聞こえた
ありがとう
ありがとう先生・・・
もう私は本当にダメなんだな・・・
でもこの子だけでも助かるなら
先生・・・お願いこの子を助けて
それからどのくらいの時間がっただろう
何時間も経ったような、もしかしらまだ1時間も経ってはいないのではないか?
そんな短くも永遠に長い時間のような時が流れた
もうすぐ日が変わろうとしていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます