第63話

「また、寝てしまったな…」

半分近くと昼食のラーメンをフリックは食べたものの、また、三度目となって寝てしまったのだ。

「仕方ないさ。それにフリックは、人間年齢で言うとまだ4歳前後だからな…」

「とりあえず、フリックを…え、えっと…何階だっけ?僕たちの部屋」

「700階の700室です。案内しましょうか?」

エリオスはフリックを抱き上げると、スライスに案内されるままにホールを後にしたのである。

「それにしても、この城って無駄に高いし部屋数も多いよね…」

ミレイは、シリウスが留守の間、スライスと共に城の中を確認して思ったことを言った。

「そうだよな。個人的に2~100階は、レジャー施設にしようかどうか考えている所なんだよなぁ…」

「レジャー施設?何それ?」

「あー…今は部屋に簡易のシャワーしかないだろ?大きな温泉として公衆浴場は勿論、雑貨屋、魔導具、武器、防具、ファッション等などの施設を作りたいなと思っているんだ」

勿論、このラーメンみたいな食べ物系統を扱う店も考えているのだとシリウスは言った。

「それならば、ドナルト共和国のドワーフに協力を頼んでみては?彼らは手先が器用なので、色々と頼りになると思いますよ」

「そうか。まあ、魔物の生成も一段落してから行ってみるのも悪くないかも知れないな。何しろさっきも言ったように、魔物の数は少なくてさ…」

「そうだぜい。オレ様とスライスの旦那とプラントのお嬢しかいないんだぜい」

「…そういうこと。なんで、ルシウスは何する?何かやりたいことがあるならやってもいいんだけど?」

「そうだな…。その辺に転がっている魔石を使ってペンダントとか作ってみるか。本当は今すぐにもラグーン王国を滅ぼしたい気持ちで一杯だけどな…」

囚われているエルフのことを思うと、下手すれば、巻き込んでしまうかも知れないが故に今すぐには動けないことから、ルシウスは言った。

「僕は服かな。色合いはセンスないけど、色々と服は作れるし…」

「それなら…」

色のセンスは最悪だと言うクレイスにシリウスは、カラーコーディネートを始めとする色のデザインに関する本を召喚魔法で出したのである。

「この手の本を良く読んで勉強するといいさ…」

「そうだな。クレイス兄貴の色のセンスは最悪だとフリックに言われているからな」

「レイオス…!ま、まあ…本当のことだから仕方ないけど」

「みんな…いいなぁ。あたしなんか全然出来ないよ…」

「ミレイはゆっくりとやりたいことを見付ければいいのでは?」

「う、うん。そうだね…」

魔法以外でやってみたいことなんて、考えたことは無かったミレイは、何か自分でも出来ることを模索し始めたのだった。






「やっぱり…南の大陸は大量ですね」

カーツは、馬車の中でギュウギュウに閉じ込めている、ハイエルフを見ながら言った。

「ああ。南は森ばかりで、エルフにとって絶好の住処なんだろう。しかし、あのガキ。マジでどこに行きやがったんだか」

「…そうですね」

あのような体で、どうやって脱獄したのか、自らの平和ボケが原因であることを、彼らは知る由も無かったのである。







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