第60話
「シリウスさん。何だかプラント畑に知らない人がいるんだけど…あっ!すみません」
ノックもそこそこにしながら、ミレイは部屋に入るものの、まだ話の途中であったことから詫びたのである。
「気にしなくて良い。我々は今日からこちらで厄介になった者だから…」
「で、ミレイ。知らないヤツって…?」
「う、うん。何だか歌っているんだ…。気になって魔法の修行が出来なくて」
「そうか…分かった。え、えっと…ルシウス」
「我々に構わずに行ってくれ」
「あ、ああ…」
シリウスは、プラント畑に知らない人がいるということで、ミレイに言われるままに向かったのである。
「ふふーん!いっえーいだぜい!」
絶好調でプラント畑の横で野菜畑として、ゴボウを誰かが歌いながら育てていた。
「な、何だ…。人面樹じゃないか」
「えっ!?そ、そうなの?アレ…人だったの?」
「一応、人間形態になるみたいだな…」
そうシリウスは言うと、それに気付いたのか、元・人面樹がやって来たのである。
「シリウスの旦那じゃないですかい!いつ、お戻りになったんだぜい!?」
「あ、ああ…。ついさっきだ。お前…人間になることが出来たんだな」
「そうだぜい!どうだぜい?オレ様の人間、どうだぜい?」
人面樹はそう言うものの、くるっと回りながら言ったのである。
正直、人面樹だった時の面影がない。
あるといえば、口調だけだ。
頭は禿げ頭だし、顔つきはどういう訳なのかさ?
あの男○豆腐のパッケージの絵に似ているんだよな…。
体型は、まあ…普通って所だな。
で、服は…残念だな。なんで、布で合わせた感じの村人系の服なんだろ。
「禿げ頭じゃん!人面樹の時、ふさふさだったのに!」
「禿げ頭のオレ様もイケてるだろ?ミレイ君」
「う、うーん…。シリウスさんは?」
「あ、ああ…人面樹の時は髪というか葉はあったよな…。なんで、人間になると無いんだ?」
「アレはアレだぜい。それに人間の方が何よりも美味いモノが食えるんだぜい」
「そ、そうか。そういえば、そろそろお昼時だったな…。今日からハイエルフ・シルヴァンエルフも一緒だし、今日の昼はラーメンにするかな」
あの子も食べられると良いんだけど…と心に負った傷が気になりながら、シリウスは言ったのである。
「フリックの面倒を看て貰って悪いな…」
ルシウスは、昼食が出来るまでの間、フリックの様子が気になって来るなり言った。
「いえいえ。生成されてすぐ僕自身、エルフ問題に起きていることは知っていたものの、結局は何も出来なくてすみません」
「いや。こうして…シリウス殿が俺たちの大事な妹だけでも助け出してくれたからな…」
つくづくと人間は、欲深いモノだとルシウスは、熱が出ているフリックにそっと頭を撫でながら言ったのである。
「…そうですね。何も人間が全て悪い訳では無いでしょう」
「ああ…。ミレイのような人間もいるからな…」
ルシウスはそう呟くと共にフリックはやっと起きたのだった。
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