第59話
「俺もそのシェルファ大長老に会ってみたいな。何しろ同じ転生者だし…」
シリウスは、同じ転生者同士ならば話はしてくれるだろうと聞いていることから言ったのだ。
「そうだな。ただ、今はフリックをここに残したまま、出向くのはしたくないものだな…」
「俺は一度行った場所だし、瞬間移動魔法で行けるぞ?」
「それでもだ。それにあの森は色々と変わりやすいんだ」
常に新しいモノを取り入れるため、異世界に転生したエルフにアニメやゲーム、マンガといった娯楽をすぐに取り入れていることから、ネイサスは言った。
「そうか…。だからか。俺がつい最近まで前世で観ていたアニメなんかのグッズもあったんだな…」
「そういうことだ。早くて3日後には新しいモノが入っているからな…」
それだけ、あの森に転生するエルフは絶えないのだとルシウスは、ある意味合いでエルフ離れしているが故に溜め息を吐いて返したのである。
「とりあえず、今は現状が落ち着くまで待った方が良さそうだな…」
「そういうことだ。ラグーン王国内に囚われているエルフには申し訳ないがな…」
「じゃあ…俺もまだまだ本を見ながら魔物生成して体制も整えたいし、この大陸をスローライフ化したいからな…」
「魔物生成か…。どういう感じの本で生成しているんだ?」
「あー…それは…」
シリウスは、異空間に収納していた『魔物生成書~誰もが突っ込みたくなるかも知れないキャンペーン実施中!?因みに素材は召喚魔法及び自給自足で~』を取り出し、口で説明するよりも実際に見て貰った方が早いことから、本を取り出したのである。
「な、何か…凄いサブタイトルだね。ルシウス兄さん」
「そ、そうだな…」
思わずと吹きそうになったものの、ルシウスはシリウスに「まあ、見てくれよ」と言われるままに本を開いたのである。
「………………最初の数ページ以外、白紙だな」
「そういうこと。この本、自分で思ったことを思わない限りと自動的に執筆されない仕組みなんだ。さすがに俺の世界にあった娯楽のゲームのラスボス系の魔物というか魔族というかそういう系は、生成は出来ないみたいだけど…」
「ま、まあ…お前のその言っていることは分からないが、生成は頑張れよ?スライスみたいに人間へと擬態化が出来る魔物にした方がいいだろうけど」
何しろ、魔物は特にスライムは、少ししかマナを持たない人間でも、材料さえあれば、簡単に生成出来るが故にエルフ以上に酷い目に遭っていると聞く。表向きは人間のペットだが、裏ではもう想像を絶することを受けているとか。
「スライム以外に人間に擬態化が出来る魔物ねぇ…うーん」
「まあ、気長にゆっくりとすればいいですよ。それにそろそろ…昼食を作ろうと思うのですが」
「あー…城に人間の女の子がいる筈だから、その子の分も…」
「えっ!?人間がいたのか」
「あ、ああ。アーノルド連邦から来た子なんだ。ここから目と鼻の先にある所」
「あ、あの…廃墟当然の国に人間が住んでいたとは驚きだ…」
「そうなんだ。俺も見回りした際、人が住んでいるようには見えなかったが、普段は家の中に閉じ籠もっていたんだろうなぁ…」
そうシリウスは言った途端、ちょうど噂していたミレイが入って来たのだった。
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