第10話

「本…か。コレがあの例の『魔物生成書~誰もが突っ込みたくなるかも知れないキャンペーン実施中!?因みに素材は召喚魔法及び自給自足で~』という本…か」

確かに言われてみれば、スッゲー重いな。

まあ、モンスターっていったら…ザッと100種類は超えているし、生成となるとかなり大変な作業だし、仕方ないかも知れないな。

とりあえず、コレは中に入れるとしよう。

何とか《浮遊魔法》でモノを浮かすことは出来るようだと思いながら、俺は本を一先ずと食事する場へと持って行くことにしたのである。



「ふむ…ここが台所か。どこぞのキッチンだと言いたくなる場所だな」

というか…料理専門学校の台所って感じだな。

ホールは、どっかの貴族か城にあるような食事の場だったけど。

ん…?何か文字がある。

『調理室はご自由にお使いください。byヴァレス・リノベイション(田中爽助)』

魔王の始祖か。って普通、前世の名前を異世界に残すかな?

それだけ前世への心残りがあったというのだろうか。

うーん。分からないな。

まあいいか。ご自由にお使いくださいってことから、好きに使わせてもらうかな。

さすがに冷蔵庫の中は………あるじゃん。

「えーっと…賞味期限は…やっぱな。切れているよな」

5万年だもんな。

切れてて当然だよな。

つーか…なんで入れっ放しの割には、普通に冷蔵庫は稼働しているんだろう。

エレベーターといい、冷蔵庫といい、普通は使えなくなっている筈だ。

まさかと思うけど、本当に魔石ってモノを使っているってことなのかな。

魔石ならば、期限次第だろうし…うーん。

その辺は突っ込むなってことなんだろうな。多分。

仕方ない。卵とベーコンとサラダを召喚魔法で出すとしよう。

召喚魔法ってどこから召喚されているのか分からないけど、いちいちとキリは無いだろうし。

《出でよ…卵とベーコンとサラダ》

何となくマンガで読んだ、召喚魔法をイメージしてみた。

いや、さっきは何の掛け声も村人風の服を無いまま出してみたけど、やっぱりとあるといいよね。

それにしても、この服。

異世界ではあるあるの村人の服なんだな。

布をあり合わせて作ったって感じだな。

後でもう少しマシな服を召喚しよう。

あのポックは、大して気にしていない感じだったけど。

まあ、元々は転生関係の仕事をしているみたいだし、気にしない性格なのかも。

っと思っていたら、イメージ通りの卵とベーコンとサラダが出て来たのである。

卵は…俺のいた世界の卵だな。

特に深いイメージはしなかったけど、パッケージ入りだったし。

ベーコンも同様だ。

サラダは特にイメージしなかったんで、パプリカとレタスのサラダのようだ。


「とりあえず…ベーコンエッグを作るとするか」

その間にパンも召喚しておくかなと俺は思ったのである。

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