第9話
「んっ?インターホン…?さっきまで周囲に気配は何も無かったんだが」
さすがにこのまま外へと出る訳にはいかないので、俺はサッと異世界に見合った服へと着替えた。
さっき召喚魔法で『異世界の村人風の服』ってホントに魔法は一通り処か普通に使えるみたいだ。
魔法全般ってことは、あながち…間違っていないようだ。
転生特典の中に魔法全般ってそのままの意味なんだなぁ。
何たって俺、裸のままだったことを今更ながらと気付いたんだよな。
マジで遅すぎだっての。
「はい?どちら様で?」
俺はインターホン越しで、聞いてみた。
画面では、どうやらコボルトっぽいな。
「お届けモノっす」
「は、はい。今すぐ行きます」
届け物?何だろ…と俺は思いつつ、外へと出たのである。
ガチャリと俺は鍵が掛かっていないことにも不思議に思いつつ、ドアを開けた。
「転生女神様からお届けモノを届けに来たっす。まず始めにお名前の確認をお願いするっす」
転生女神?
ああ…あの抽選会場にいた、顔がぼやけていまいちと分からなかった人か。
名前確認…?転生名は、確か…シリウス・リノベイションだったかな。
何だか魔王代々とリノベイションが付いていたんだが、名字ってことなんだよな。
うん。名前は間違っていないようだ。
で、その下って前世の名前が書かれているんだが…?
前世の名前は、山田爽太郎…間違ってはいないな。
「ああ…間違っていないな」
「ありがとっす。こちらにサインを宜しくお願いするっす」
羽ペンらしきモノを取り出しながら、転生女神の所からやって来たというコボルトのポックと名乗った青年は言った。
「名前か…。転生名でいいのか?」
「はい。それでいいっす」
この世界の文字は日本語なのか?それとも、わざわざ日本語表記しているだけなのか?と思いながら、俺はサインしたのである。
「ありがとっす。これからの人生、楽しんでくださいっす」
「あっ!ちょっと待ってくれ!」
「何すか?」
「ちょっと聞きたいことがあるんが…」
「聞きたいことっすか?いいっすよ」
どうやら俺の聞きたいことに応じてくれるようだとこの場は何とか引き留めつつ、俺は聞いてみた。
「ここって…異世界ソルディア・カオスティック・マジフィニクッス・ピースト…なんだよな?」
「そうっすよ。5万年前までソルディア・カオスティック・マジフィニクッスって名前だったんすけど、魔法使いフォルナと僧侶フィルカによって、何万年も続いた魔王との戦いに終止符を討ったっす。それで、平和を意味してピーストが加わったっす」
「そうか。それなのに俺、大魔王として転生させたって何なんだ?」
「それは知らないっす。平和になった世界にあるあるだと女神様は言ってたっす」
「…そうか。平和になった世界にあるある…か。悪いな。引き留めてしまって」
「別にいいっすよ。本はスッゲー重いみたいなんで、気を付けて扱ってくださいっす」
ここまで持って来るだけで、やっとだったことからポックは箱入りのモノを置きながら言うと、転生女神の所へとテレポート魔法で帰ってしまったのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます