第22話 強強チートしたいな!イキリ散らしたい

 まぁ、説明したした通りだよ。魂の転生それ自体に意味がある。外来種の持ち込みによる現環境の破壊が目的なんだ。君を送るのはこの世界だね。世界の選別にも理由があるんだ。君達の世界を作る前の世界はね君達の世界にも干渉しているんだ。

 君達が読む小説や漫画、ゲームの世界のような形で君達との世界とつながっている。

 アレはね世界間の資源輸送の痕跡なのさ。君達の世界は様々な世界に資源を流しているからね。

 そうさ、最初は資源そのものを融通していたんだ。ある時、ほんの些細な事故というかね。まぁ君達の世界で負の因子が生まれた事があってさ。それを世界に残しておくと折角よい状態で調和していた世界が乱れるから。別の世界に移動したんだ。その時に色々わかってね。

廃棄世界に送ったのだけど、君達の世界の負の因子は反作用を起こしてね移動時に手を加えると負の因子を特定の世界に対応した正の因子に変換出来る事がわかったんだ。しかも、移動先に元からある因子まで連鎖的に転換させてね。

 それが始まりだよ。

 まぁ、わかるよね。転生者の選別方法。

 元の魔法の無い世界で負の因子を持ってしまい世界から排除されるもの。

 そして転生先は負の因子が反転する世界だね。元の世界で触れた物語、つまり、資源の移動の痕跡に触れた事がある世界がそうした現象が起きやすい傾向にある。


 これで伝わる?伝わる筈だよね。君にはそういう適性があるから。じゃあ選んでおくれ。


 ああ、心配してるね。転生して宿る身体が、自分に魂を乗っ取られる形にならないか。最初の彼もそれを心配していたよ。その為に元あった魂を保護していて、最後は自分の魂と精神を資源の制御装置の様にして、そして元あった魂に吸収されるよう消えてしまった。

 まぁ、因子自体はちゃんと反転させていたし資源も沢山回収出来たし、意図せずに廃棄した結果から得られた知見としては素晴らしかったね。

 ただ、効率的では無いんだ。もっと前世からの知識や柵に縛られて活動的になってくれると世界への影響が大きいほど望ましい。

 だからね、様々な転生する魂への配慮はしてあるよ。

 自ずと強い力を持つけれど、それを形にしやすくしたり、最初からある程度形にしてわたしたり、転生先の器についても考えているさ。

 生まれる前に死んだ肉体。もしくは幼くして死ぬ肉体さ。体に傷は無くとも魂が死ぬ、運命と言えば良いかな。その死んだ瞬間に君が後を引き継ぐのさ。

 大丈夫、君が入らなければ死ぬだけだ。未来は確定している。確認済みさ。

 おいおい、時を戻すだなんだって、僕を何だと思っているんだい?君達の言うところに神だよ。そのくらいできて当たり前じゃないか。

 映画を巻き戻して、死ぬだけだった先の内容を書き換えるそれだけの事さ。十分弱のエンドクレジットが、続編に差し替わるだけじゃないか。


 そうそう。いいね、その調子だよ。

 わかってるねえ。たしかに僕らが関与した個体、ユニークとかネームドにはなれない。マップを切り替えると復活するモブかあ、いいねえそういう認識ね。

 おお、選んでるねえ。物語後半の強くなった?ふんふん、行き先の世界に関しては君のほうが詳しいのかもね。僕には細かい事はわからないから。いちいちエキストラ全員の名前まで暗記してる監督なんて少数派でしょ?


 よしきたそれにしたんだ。へえ、物語が進む連れて変化するのと違って最初から出て来て。

 ソレが、空いてたんだ。

 決まったね

 それで?ある程度能力を形にして上げるよ。といっても元々強い器だから、君をそれに適合させるだけでも結構使っちゃうね。まぁ、平均的な個体より育ちやすいね。え、そんな事をしたいの?いいねえわかったよ。そういう欲求。好きだよ。その調子で今の世界の均衡を破壊してくれ。

 その為に送り込むんだからさ。






 自分は死んだらしい。まぁ、それっぽい心当たりはある。色々と面倒になっていたのもある。死にたかったわけじゃないけど。多分事故だ。

 最後の記憶。急な案件で予定外作業の指揮を取ることになって、残業して。少し気が立って居たのでコンビニで度数の高い缶チューハイを飲んで。

 終電間際だからな駅の階段を駆け下りて、急に足の力が抜けて。


 それで気が付いたら先程の声の主とやり取りしていたのさ。

 扱いは侵略的外来種だねえ。何か魚でいたなぁ、在来種と交雑して、それで元の環境壊しちゃう奴。そんな環境破壊を声の主はご所望の様だ。

 それなら転生先はオオクチバスとかじゃなくてアリゲーターガーみたいな、水域の食物連鎖上位を選びたいね。

 転生先の世界は僕に縁があると言われたが成程、昔の夢中になったゲームの世界に近いのか。元々そういう世界が先にあって、その影響で物語が出来るんだっけか。

 詳しいことは良いかな。

 取り敢えず、攻略本をよみこんて何度もクリアしたRPGに似た世界だ。

 色々と世界の仕組みが頭に入ってくる。この知識は転生したら消えるものだともわかる。転生出来るのは現地の生き物なら殆ど何でもありか。虫でも植物でも。

 多分、酒場で雇える仲間とかそういうモブとか雑魚モンスターに転生するのを推奨してる感じか。傭兵キャラかあ。強い種族なら選択肢だな。

 あとはモンスターか。

 ゲームでは序盤のマップの敵は弱くて後半のマップは強かった。でも後半は話が進んで世界の環境が激変した後だからな。

 あ、でもいるなあ。後半に環境が変化し地形が変わることで行けるようになる地域のモンスター。その地域自体は序盤でも表示されるし、その地域のモンスターが出る所にはバグを使えば入れはする。

 当然、敵に勝てるわけもなく、一度入ると戻れないのでバグを使って入る意味はない。

 そんな地域のモンスターが転生先にある。これは間違いなく貯水池のアリゲーターガー足り得る存在だ。見た目も好きで経験値も多かったので、終盤のレベル上げて沢山戦った覚えがある。こいつにしよう。


 さて、色々と思い出していた来た。

 確か、後半に雇えるようになる傭兵の中にはモンスターが人の姿で社会に溶け込んていて者で、戦闘中に変身するなんてキャラがいたな。

 アレをやりたい。

 そう言うと声の主は、気軽に承認してくれた。人化術を覚えて、少し能力の強化などの調整が入り。

 転生と相成った。





 次に気が付いた時、水の中に居るような感覚だった。呼吸はしている。いや、していない。前世の知識にある呼吸では無い。目に見えない何かを吸って何かを吐いてはいるが、好気呼吸とは異なるものだ。周囲を見渡す。その景色は思った物と違う。

 転生したモンスターの生息地は周囲を高い山に囲まれた高原地帯。その中心に湖があり、それを中心に拡がる独自の生態系。高い知性を持つが強過ぎる身体能力故に文化を形成しない種族。高山を軽々超えて、外から宝物を集めて戻って来る。その程度の文化。

 よく言うドラゴンって種族の営巣地だ。その中でも原始的とされる空を飛ぶ大蛇な姿をした種類。ウィルムやワイアームなんて呼ばれ方をする者達の住処だ。

 この高原に住むのはその中でも特殊でルビーウィルムやサファイアウィルムという名前のモンスターで宝石の鱗を纏い、蛇の体に前肢を持つ。腕の付け根や鬣が結晶体が生えていえ非常に力強くも華やかな見た目だ。

 終盤に入れる様になる地域で、特にゲーム攻略上訪れる必要は無い。雑魚敵として出現する龍のモンスター達は経験値が多く、ドロップアイテムも換金性が高く、強力な装備や薬の材料になる。

 一応、ボスがいるだけのダンジョンがあり、ボスの守る強力な装備を手に入れる目的や育成目的で訪れる所だ。


 そんな場所に居ると思っていた。しかし周囲の景色は明らかに屋内。それも生活感のある部屋の中だ。棚には沢山の瓶や、乾燥した植物等が並び、部屋の真ん中には大きな鍋。物語の魔女が済んで居そうなそんな部屋。ゲームの記憶にこんな場所は無かった。


 転生したのは先に少し名前の出たサファイアウィルムというモンスターだ。

 その地域の雑魚モンスターとして出現するモンスターで、通常エンカウントで遭遇するモンスターとしては強力な個体だ。

 この地域のモンスターは通常エンカウントでも非常に強力な物が出現する。しかし、単体でしか出現しないので、普通にストーリーを進めて来たなら、集中砲火で直ぐに倒すことで、さして苦戦せずに倒すことが出来る。

 サファイアウィルムのゲームでの性能は戦闘面しかわからないが、2回攻撃で麻痺の追加効果のある通常攻撃。これは強力な前肢による引っかきである。

 ついて長い体の下部をムチの様にふるい広範囲を薙ぎ払う攻撃、巨体を活かした体当たり。更には魔法で雨や落雷での攻撃を得意としていた。

 少なくとも、こんな人の部屋の様なところに居る存在では無い。

 更に周囲を主に自分の周りに目を向ける。水の中にいる感覚。何か縦長の卵型の容器の中に居るようだ。外に出ようとしてみるが弾力のある殻に阻まれて出られない。

 そうこうしていると、部屋の扉が開き老人が入って来た。その老人と目が合う。耳が長い。普通に人間では無さそう。老人が驚愕の表情で歩み寄り、ボクの居る場所の下に手を伸ばす。

 視点が上昇する。どうやら杖か何かの先端にボクの入っている玉が取り付けられている様だ。

 顔を近づけて何か喋っているが良く聞こえない。

 転生して最初はそんな感じだった。

 数日経つと体は目に見えて大きくなっていき、殻の中は狭く感じた頃。体が外に出られる様になった。しかし、完全に玉からは離れられず、腹に抱える様な状態になる。虫やトカゲが卵の中身を体につけて孵化する時の姿を彷彿とさせる。多分似たような状態だ。

 この状態になると、外の空気の感覚等を感じられるようになる。つまりは毎日話しかけていた老人の言葉が聞こえるようになった。と言っても言語はわからない。

 それでも老人は毎日僕に話しかけた。時に絵を使い何かを伝えようとしていた。そしてこれは種族的な特性なのか、その状態で更に数日立つことで老人の言葉が何となくわかってきた。

 老人は複数の言語でこちらに話しかけていた。それがわかったのが最初だ。そして、同じ頃に一種のテレパシーの様な物が使えることがわかった。

 と言っても細かい意思疎通が出来るわけでは無い。肯定と否定の意思とその強さを伝える程度だ。それでも最初は充分だった。老人はそれ以降、より積極的に僕に話しかけてきた。


 ある日、僕の取り付いた宝石の付いた杖を持って外出して良いかと聞かれたので、強く肯定の意思を伝える。

 その意思を受けてから老人は杖が揺れない様に固定して持つためのベルトを付けて杖を持ち歩く様になった。外出はしても家の周囲を回る程度だ。話を聞く中で老人の経歴もわかってくる。

 ロフレンと言うなのその老人は、エルフだそうな。まぁ耳の形でそうだと思った。齢800を超えている。700年前の動乱の時に住んでいた森を出て人と共に生きて来たそうだ。動乱とは魔族と呼ばれる種族と人類やエルフの連合との戦争の時代だ。その時に原始の龍の地で僕の抱える宝石を手に入れ、この杖を作り戦場を駆け抜けてきたそうだ。


「藍玉の杖が、今になってこんな。」


 龍達の魔力の源となる宝玉かと思っていたらしい。その考えは間違っていない。これはまだ生まれる前のサファイアウィルムの宝玉なのだろう。そして、中の幼体は肉体を構築する事無くその生を終えていた。強い生命力を持つ種族故に、死に切れずに何百年も経過していたのだ。そこに僕が入り込んだ。それで予想とは異なる場所に転生していたのだ。

 宝玉を媒介にして使う魔法は精度も効果も向上するらしく、もとより魔法の扱い長けたエルフという種族のロフレンには非常に有用だったらしい。

 試しに魔法を使って貰う。僕の抱える宝石に魔力が流れ、形になっていく。水の塊を生み出す魔法だった。何となく宝石に起きた事を真似して再現してみると、同じ魔法が発動した。ロフレンがこの杖を媒介に魔法を使えば、それを僕も使える様になることが理解できた。

 ロフレンもそれを察した様で顔色が変わる。


 翌日からロフレンは何時もと違う、高価そうなローブや装飾品を身に纏い、覇気に満ちた顔で杖を握る様になった。

 そして、自分の扱えるあらゆる魔法を杖を介して使用する。そして、その都度僕が再現し習得する。一つ魔法を使う度、ロフレンはその魔法に付いて説明と思い出を語る。その瞳に宿る光は、消える寸前の灯火の様に見えた。

 魔法を一つ覚える度に、ロフレンが小さくなっていく。そんな錯覚を覚えた。

 ロフレンの魔法を習得したが、人化の術は使えなかった。それは何と無くたが、原因はわかっている。宝石を抱えた状態の自分は人間で言うなら未だ母体の中で臍の緒が繋がった状態なのだ。人化すれば生きてはいられないだろう。それ故に発動しない。


 そんな暮らしの中で季節が数度回った。身体は更に大きくなり、宝石を抱える必要も無くなった。この頃から自由に移動が出来る様になった。

 自由にとは、本当に自由にだ。地上を這うのと同じ感覚で空中を這う。這うというのか?取り敢えず重力に縛られる事無く、本当に自由に動き回れる。少し集中すると、水中や地中すら同様に移動できる。

 そうなると杖が邪魔になる。ロフレンは何も言わず杖を解体して、宝石を取り外してくれた。

 その頃にはロフレンの使える魔法は全て一度は使用した後だった。

 前世の知識からわかることだが、ロフレンは偉大な魔法使いだ。ゲームに出て来た凡そ全ての魔法を習得している。それこそ、複数人で扱う前提の魔法まで単独で行使出来る個人である。かつては名誉をほしいままにしていたろう。今は隠居して、人里離れた山奥に暮らしている。長く生きて多くの短命の友との別れを経て、疲れてしまったようだ。

 今住む森でひっそりと余勢を過ごすつもりだった様だ。今いる森は大昔に魔族に焼き払われた彼の故郷の森だ。依るべき神木も失い、生き残ったエルフは他所の森へと移った。

 それに従わず、魔族への復讐心から別の道を選んだ彼は、時と共に蘇った森で静かに暮らしていたのだ。そんな余生を騒がせてしまった事を少し申し訳無く思うが、それを伝えると、否定の言葉が返ってくる。最後に刺激的な毎日を送れて楽しめていると、もう少し長生きしたいと思ったのは100年ぶりだと。

 そんな彼から魔法以外にも様々なことを学んだ。今後彼が居なくても生きていける術を、そして、ロフレンが生きて積み上げた物を引き継ぐ様に、多くの事を教わった。そうして時は過ぎていき、体の全長がロフレンより長くなった頃、人化の術が使える感覚があった。

 早速試してみる。人の姿を思い浮かべる。ここ数年、目にした人の姿はロフレンのみだ。あとは彼の持ち物にある肖像画。ロフレンに似た顔立ちの幼いエルフが今より若いロフレンと共に描かれている。

 変化するのは幼子の姿だ。その姿にしか今はなれない。

 自身の幼い頃と、最近見ていたロフレンの面影に容姿は影響される。その特徴を持ち作り物の様に整った容姿の姿へ変化する。

 上半身のみ。胸に藍玉が埋っており、少し露出している。


「ああ、ああ。」


 口が上手く回らない。そんな声に反応してロフレンが様子を見に来て、最初に出会った時と同じ表情を浮かべる。


「ろぉふれん」


 指を指し名前を呼ぶと、顔を緩め頭を撫でてくれた。この人がこちらの世界での僕の父であり祖父だ。やっとその名を呼ぶことが出来て少し自分も嬉しかった。


 人化できたのは上半身のみだ。それでも表情や仕草でよりロフレンと意思疎通ができるようになった。


「ロフレン、名前付けて。」


 この世界での呼び名それをこの人につけて欲しい。そう思った。


「名前か。そうだな。ミ・ナハスこの名前を贈ろう。古い名前だ。かつてはこの地にあったエルフの里の名前。私の故郷の名だ。そしてエルフにとっての家名ともいえる。ミ・ナハス・ロウフレンそれが嘗てと私の名前だ。今はただのロフレンだ。」



 この名前に込められた意味は伝わった。本来の僕がいるへき土地から連れ出したロフレンが彼の故郷の名を贈った。失われた名前。


「ナハス、私は他のエルフ達と違い弓は苦手だ。魔法なら誰にも並ぶ者無しといえるが、他は人に教えられるものではない。だが、お主は既にワシの全ての術を得ている。お主が龍の姿のままであったならこのままこの森で暮らすのも悪くなかったが、その姿を得たならそれは望むまい。」


「技能が学びたい。」


 技能。前世のそれとは意味が違う。ゲーム内で使われた言葉だ。簡単に言うと魔法以外の理外の現象を引き起こす術を纏めて技能と呼ぶ。その中でも剣術等、戦いに使うものを戦技と呼ぶ。ロフレンは技能については、秀でているというわけでも無いらしい。

 ただ、戦闘に関しては経験豊富で魔法使いとしての立ち回りを、魔法を授けたあとは教えてくれた。それでも技能に関しては何もなかった。

 魔法で戦う事しか出来無いのだと彼は自嘲していた。

 ロフレンの使う魔法は水と風の魔法が主だ。特に得意なのは水と風の魔法を併用し雷雨を生み出し雷による攻撃だ。彼の魔法はサファイアウィルムである自分には相性が良く使いやすかった。また、サファイアウィルムは同族の中では魔法攻撃と守りに寄った種族だ。ゲームでもHPは低めだが防御力が高く耐性の優秀だった。同族の中では腕力は下から2番目だが、それでもモンスター全体で見れば高いほうだ。

 耐性面の優秀さを説明するなら先ず魔法は全て無効化か効果が半減。一部を反射か吸収する。また全ての状態異常に耐性があり、状態異常にならないし、弱体化もしない。

 物理に置いては打撃以外は全て半減する。打撃のみ通常の耐性だ。

 ゲーム中では打撃武器に防御力無視の効果を持つものが多くあり、高い防御は意味を成さず低いHP故に狩りやすい獲物とされていた。特に終盤は多段HITする技にカンスト以上のダメージをだされ瞬殺される程だ。転生時に少し強化されているとは言え、この世界でも注意すべきだ。

 森に出る小型の魔物や動物を狩りながら、新たな姿での動きに慣れていった。


「もう少ししたら、ラミア族の村へお前を連れて行こうと思う。あそこの者達は私に恩がある。お前に良くしてくれるだろう。」


 今の自分の姿はラミアに近い。ラミア人の上半身と蛇の下半身を持つ種族。


「ナハス、お主は男だから珍しいがられるやもしれんな。案外言い寄られて、直ぐに馴染むかもしれん。」


 冗談めかしたロフレンの言葉。実際、ラミア族は女性の出生率が非常に高い。

 他の人族の男の交わっても生まれるのはラミア族になるらしい。更に今は他種族との交わりを無くしても同族の女性同士で受胎出来る方法も確率されているそうだ。

 過去の、ロフレンが魔族と戦って居た頃は、その姿からは魔族の一種として扱われ、同時に魔族にもラミア族と同じ半人半蛇の一族が居た事もあり、迫害を受けた歴史がある。その為、他の種族に対して強い排斥思考が根付いている。そこに根差すのは他の種族、とくに外見的な違いのえる種族への恐怖である。


「鱗と長い尾を持つ蜥蜴人達とは、それなりに交流もあり、彼等を通して他の種族共に最低限の交流はあるがそれ以上積極的に関わろうとはしない者達だ。だが基本的な能力は高い種族でもある。魔法にしろ技能にしろ個人の才覚や技量は高い。技能を学びたいなら適任であろう。」


 そう話すロフレンの言葉は、涸れがそう遠くない内に遠い旅路に出る事を示唆していて、とても寂しい言葉だった。

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