第13話 ふでん7

 街に来てから一年。

 暮らしぶりも安定してきた。僕は冬場に作った毛糸製品が評価されて、材料を融通して貰えている。糸を紡いて編み物をするのは楽しい。これで収入が得られるのだから。

 街の外でも冬場に良い素材を見つけた。越冬中の蛾の魔物の営巣地を見つけたのだ。拳大の繭が沢山手に入った。これをスキル持ちの人間が紡げば高級品だ。興奮してその日から夢中で糸を紡いでいた。愛用の鍵棒以外にも裁縫道具を買ってしまった。

 編み物をしながら寝落ちして、起きたら作業。そんな事を数日して全ての繭を製糸した。そこから数日同じ様に今度は糸を材料に精品を作る。最初に作ったのは縁にレースとフリルをあしらった割烹着の前掛けだ。エプロンとも言う。


「これはキリにね。街に来てまだ僕が収入無い時に支えてくれたり、最近は僕が作業で家事できない時にやってくれてるお礼。」

「そんな高価な物は着られません。聖水も貰っているのに。」

「これだけはキリに使ってほしいな。まだ糸は沢山あるし、そっちは全部売り物にするから。」


 そんなやり取りをして、キリに受け取ってもらった。普段はキリの分の服まで作れていないので、たまには彼女にも良いものを着てもらいたい。


 その後、羊毛を融通してくれる商人さんに毛糸と糸を纏めて持ち込んだ。

 これが良い現金収入になった。

 なので少し暇を貰い、身の回りの物の品質の改善を図る。

 先ずは自分の服だ。前の町で買った布から作った服だが。少し良いものにする。

 休みの間はキリが働く食堂で昼食を取るようにした。仕事の邪魔にならないように注文を取って静かに食べる。そして、この街でのキリの働きぶりを見守る。

 良い働きぶりだし、お客からも可愛がられている様だし。他の給仕さんとも親しげだ。


 自分の服が出来たら次はキリの服だ。いつまでも孤児院で配られた服のままとはいかない。

 先に送ったエプロンを付けた姿を思いながら長袖でスカートの丈も長いワンピースを作る。ちょっと布が足りない。材料が揃う前に肌着も用意する。流石に下に何も無いのは宜しく無い。


 そうして、少し仕事から離れていた。それが良くなかった。


「おい、お前がキリを働かせているのか?」


 昼食を終えて帰ろうと店を出た所で道を塞ぐように3人の少年達が現れた。


「そうだよ。彼女の主人は僕だね。」


 彼等の意図が読めず、返事も雑だ。


「お前は働かず、彼女に稼がせて服も新しくしたのか。」

「俺達と変わらない歳なのに、奴隷を持って良い身分じゃねえかよ。」

「お前みたいな奴が将来人を騙すような犯罪者になるのだろうな。」


 まぁ、なんだ。あらぬ誤解をしている様子だ。前の町で絡んできた孤児達を思い出した。またあの時の様になるのは御免だ。僕からは手を出さない。言うだけ言わせておこう。

 聞き流して気の無い返事をして帰る。この事はキリには黙っていよう。余計な心配をかけるものでは無い。

 それからもキリの服を作っていた。片手間に作った下着を、商人の所に持っていくと、思ったより値がついた。

 更に以前納品した魔物から取った生糸の加工を依頼された。任せられるスキル持ちの職人が手一杯で、猫の手でも借りたい所らしい。高価な糸を扱わせるには、スキル持ちとしても実績不足だが、今回はその糸の発見納品をしたのが僕だという事もあり、任せて見ようという話だ。

 型と素材を預かる事になった。

 それにより、僕が露店やギルドの依頼で収入を得る機会は減っていった。


 ある時、キリに食堂の店主から僕に話があると言われて、昼下がりの客足の少ない時間まで、食後も残る事になった。

 店内も空いてきて、作業も一段落した所で店主の男に呼ばれ、店の奥に入る。


「今日は、いつもキリがお世話になっています。」

「ああ、こちらこそ彼女には助けられてるよ。」


 簡単な挨拶も交わして話を聞く。

 どうにも最近、店に関して良くない噂を立てる者が居るらしい。スキル持ちのキリを奴隷として安く酷使しているだの、店主の男の下の世話をしているだのと。


「いや、キリはまだ子供ですよ。」

「お前さんもな。」


 まだ子供とはいえ、幼さは抜けて来ている。この世界の美的感覚で見れば、キリは街の食堂で看板娘と持て囃される程度には、見た目は整っている。そうした人気からくる部分もあるだろう言うのが店主の考えだ。


「それでだ、態々来てもらったわけだが、彼女の主人としてのお前さんに確認したいんだが。あの子を奴隷から開放するには幾ら必要なんだ?申し訳無いが街の決まりで奴隷としての給金しか渡せてねえが、それ以上の働きはしてもらってる。あの子の身分を買い戻す一助になる位は蓄えたつもりだ。」


 この人の店にキリを預けたのは正解だったとしみじみ思った。彼女を安く使う事を考えず、キチンと人間として見てくれている。信頼と好感度が大きく増した。この人には事情を話しておこう。

 キリを呼んで貰い、同席させた上で彼女の焼印を見てもらい、これの解除の為に僕が商人とのやり取りで得た収入を殆ど教会に渡している事を話す。

 店主の男は真剣に話を聞いてくれた。教会での聖水の値段に関しては青ざめた顔になっていた。それも当然で彼がキリの為に貯めていた金額では、僕が月に教会に払う額にすら届いて居ていなかったのだ。

 通常の子供が借金で売られたり、盗み等で奴隷に落ちだだけならそれでも足りる額なのだが、如何せんキリの場合は事情が異なる。本来は使われる事無い焼印の奴隷術式。死罪かそれに代わる終身刑の一種で使われる様な、解除を前提としない物だ。


「教会も、いやあの神父か。胡散臭い感じはする奴だが、聖水の価格は十分の一も取ってねえ。それでも高過ぎるが。」

「出来る限りの譲歩はされていると思います。」

「そりゃあわかるさ。街に来て何年もしてない、しかも子供相手にここまでしている。だから何も言えねえ。」


 もどかしそうな顔だ。


「それで、サグ。お前はキリちゃんの事を開放するつもりでいるのはわかった。それが何年も先だが見通しも立っている事もな。」

「出来れば成人する頃には済ませたいですね。」

「後二年か3年か?」

「3年です。今の調子だと間に合わなさそうだから、もっと頑張らないと。」

「それで、キリちゃんの方もその為に働いてるわけだ。どうりで男に働かされてるとか悪い噂が立っても平然としてるわけだ。」


 店主が振り返り後ろにドアに向かって声を掛ける。


「だそうだ。ちゃんと聞いてたか?」


 声の後にドアが開き女将さんが顔を出した。気配あったので知っていた。

 どうやら女将さんはキリの事を大層気に入ったいるらしく、また店主との間に子供も恵まれ無かった事から、僕の様子次第ではキリを引き取り養子にするつもりでいたらしい。

 今の顔を見る限り、そうした話にはならなさそうだ。


「キリちゃん、この人の事を手放すんじゃないよ。」


 と、僕の隣座るキリに声を掛けるし、キリもそれに明るく返事してる。

 こうした個人間の狭い人間関係は結構順調に回っていた。




 狭い範囲はうまく言ってると言った。では広い範囲ではと言うと、別けて話している時点でお察したが、芳しく無い。

 街に来た当初は僕に収入が無く、キリの紐扱いだった事と、最近になって巷に流れ出した噂等が良い例だ。店主の男、リチョウさんがキリにさせているという噂。

 加えて僕がその対価で働かずに贅沢していると。

 この噂は僕の商品を買ってくれる商家の耳にも入っているらしい。何時も応対してくれる商人に心配されてしまった。彼も僕とキリの事や教会との事は知っている。噂の出所を探ってくれているそうだ。商品の仕入先が不当に貶められるのは彼の利益にも影響する。それも仕入を取り仕切る彼の仕事だということだ。


 やがて、僕とキリの寝泊まりする部屋の2つ隣に住む下働きの若者が、季節外れの退去となり、彼が噂の出所だと報告を受けた。

 リチョウさんの食堂に謝罪にも行かせたらしい。

 だが、僕に関する噂を広めているのは彼だけでは無い様で、その後も陰口を叩かれる事は減らなかった。

 そして、先日僕に絡んでいた三人組がそれからも街なかでたまに絡んできた。彼等は人通りのある所でキリの開放を求めたり、僕が非道な扱いをしていないかと問いただす。これも変な噂を広める手法なのだろう。

 何度反論や返答しても彼等は聞く耳を持たない。人前で言えない事をしてきるこら都合のよい内容しか話せないだろうと、最初からこちらを嘘つき呼ばわりだ。黙って去ろうものなら、逃げたと更に盛り上がる。

 キリの開放が済んだら、マレクさんの店に戻ろうと思う位にはウザったい存在だった。

 この事はキリには相談せずにいる。

 大人達はわかってくれている。そう考えていた。



 人の噂は何日だったか?

 魔物糸で作った製品を納品した所で、暫く取引を控えると告げられた。僕との取引があるからと、店の方に不買を呼びかける者が出て来たり、抗議ともとれる強い口調で店員に問い正す者も現れたという。

 噂が時事無根であることは知っているので、熱りが冷めるまで間を置きたいとの事だ。事前に聞いていたより多めの金額を受け取り、そんな事もあるかと、キリの働く食堂へ行く。

 中に入ると店内の空気が少しおかしい。みんなが僕に視線を向けている。そして、その中に幾つか知った顔も見える。

 急に一人が膝をつき、僕に頭を下げて謝罪の言葉を叫んだ。

 その男は以前2つ隣の部屋に住んでいて、僕の噂を広めていた男だ。


「何度も訪ねて謝罪をしようと思ったが、取り合ってもらえないので、彼女に協力を仰ぎ場を作ってもらった。本当に申し訳なかった。このとおりだ。」


 何を言っているのかわからないな。


「あくまで君と私とで、周りを巻き込みたくという君の気持ちも理解できるが、私の立場も考えて欲しい。頼むこのとおりだ。」


 先ず、彼等は自分が何に付いて謝っているのかを口にしていない。謝られる本人には心当たりはあっても、衆目には解らない。

 何より、彼と話すのはこれが初めてだ。訪ねて来た事など一度もない。


「俺達からも頼む。」


 そう言って話に入って来たのは、いつもの3人だ。今頭を下げている男と一緒に何度も訪ねてきたという設定らしい。

 実にくだらない。たが困った事にこの場で僕の弁明は通らないだろう。


「あの、サグ。アタシの立場でお願い出来る事では無いけれど。」


 そんな顔をしないでくれ。


「好きにしなよ。」


 それだけ漸く絞り出した。

 謝罪を受け入れたと判断したのか少年達は色めき立ち、食堂の空気も一変する。キリも含めて皆安堵の表情を浮かべている。


「この空気は苦手だ。今日は他所で食べるよ。」


 キリにそう伝えて店を出る。



 間違った事をしたとは思っていない。後々事実が明るみに出れば。

 それはいつだ?

 明るみになったとして、全員がそれを知りえるのか?

 今後も間違った情報を信じて僕に関わる奴は出てくるのではないか?


 考えれば考えるほど脱力していく。

 それでも腹は減る。ギルドの食堂で軽食を頼む。

 この時間は皆仕事に出ていて空いている。気晴らしに何か外に出る仕事は無いかと視線を泳がせる。


 そんな僕に軽薄な表情の男が声を掛けてきた。名前は知らないが知った顔だ。


「やぁ、少年!今日は何だか元気が無いな。この時間にギルドに来るのも珍しい。」


 空元気とでも言うのだろうか。妙に緊張している様子だ。


「まあ、そんな気分なので。」

「そうかそうか。まぁ、君はその年でかなり稼いでいると聞くし、そういう事もあるだろう。」


 稼ぎとか関係あるのか?話し始めて二言目だぞ。


「貴方はお金に困って居そうですね。」

「わかるかね。」

「普段の評判と今ここに居ることから。」


 男が押し黙る。彼の能力の評価は低い。不真面目な訳では無いのだが、集中力が低く、物事も深く考えない。


「何かありましたか?少なくとも生活に困る程、金に困っていたとは聞いていませんが。」


 気まぐれに話を聞いてみる。


「こんな子供に気を使われる。それが私の器か。」

「やめてくださいよ。そんなこと言い出すの。」


 こちらも暗い気持ちなので余計に暗くなる。


「すまないな。少し私も落ち込んでいる。君も同じ様な空気だったので。声をかけてしまった。」

「それはお気遣いどうも。奢りますよ。」

「いや、そこまでは。」


 一度断ろうとして、何か思い直した様だ。


「すまない。ここの支払いより高いが。」

「良いですよ。金で直ぐに解決するなら。いくらです?」

「そんな君、事情も聞かないで。それに君の収入には、奴隷の働いた分もあるのだろう?」

「それ知ってて、金の相談しようとしたのは貴方からでしょう。わかりましたよ。事情は聞きましょう。」


 男の事情を聞く。

 聞くまでも無い話ではあった。近くの村で見知らぬ行商のから、他所で転売すれば高く売れると言われた商品を買い、ギルドの買い取りに持ってきたが、赤字だったらしい。

 取り敢えず、買値とそれ程変わらない商品は売ったが、一番買値が高かった品が赤字で頭を抱えているらしい。


「やっと金貨に出来る程の貯金が出来て、嬉しくて持ち歩いて居たのが間違いだった。」


 大金を手に持ち歩きたくなったらしい。気も大きくなっていたそうだ。


「それで、何が売れなかったのですか?」

「ああ、コレなんだ。」


 そう言って、足元の背嚢から取り出されたのは石版だ。白く濁った水晶の様な物に読めない文字らしき記号が彫り込まれている。

 見ているだけで魔力を感じる。一見高価な物に見える。


「召喚魔石なんだ。かなり上質な。」

「召喚ですか。」

「うん、それも使い捨てじゃなくてね。」


 低品質の召喚石は一度使うと魔物を召喚使役し、時間がくると魔物と共に消失する。しかし眼の前のこれは違うらしい。


「何度も呼び出したり戻したり出来るらしいよ。時間制限もなくて、呼び出した魔物が傷付いても、即死で無ければ石版に戻って暫くすると回復してまた呼び出されるみたい。」

「石版がある限り不死って奴ですね。迷宮産のかなり上質な奴ですよね。」

「そうだね召喚石の品質だけなら、現存するものの最上級に少し劣るくらいらしいよ。中の魔物も経験を積んで成長させられる品質だね。」

「おいくらてした?」


値段を聞いて唸る。決して安くは無い。しかし召喚石の品質の割には高すぎもしない。


「これが空の石ならとても僕には買えなかったね。」

「もう中に魔物がいるのですね。」

「そうだよ。封じられるのは一匹だけで変更出来ない。」

「因みに何が居るのですか?下級の魔物でも成長させれば将来は活用出来るのでは?」

「それが良くわからなくてね。ヤディクって魔物に似てるけど違うらしいんだ。」

「召喚したのを見ても?」

「一度召喚すると、術者が死ぬまで他の人には召喚出来なくなるよ。」


 この召喚石がそこまで高くもならない原因がわかった。

 召喚石にも色々とある。一つで複数の種類や個体数を出せる物や、誰でも魔力を通せば使える物。召喚出来る魔物を交換出来るもの。

 この召喚石は中の魔物を成長させるし、保護もしてくれてそれらの単体での機能は優秀なのだが、あまり融通は効かない様だ。しかも、既に魔物が入っている。


「そのヤディクというのはどんな魔物何ですか?」

「高い山にいる毛の長い牛に似た魔物らしいよ。凄く丈夫な毛皮で身を包んで居てワイバーンの牙も通さないらしい。ただ気性は温厚で、敵に合うと逃げ出すか、逃げられないなら蹲って丈夫な毛で防御姿勢を取るらしい。」


 戦闘には不向きらしい。でも家畜として考えるなら優秀そうな気がする。牛一頭の値段として考えると。高いな。


「ギルドの鑑定だとヒメヤディクっていう亜種らしいけど、資料が無くて値段が暫定の物しかつかないんだ。」

「成る程、まあ何とか使ってみますよ」


 そう言って、金貨を数枚机に置く。


「良いのかい?」

「良いですよ。寧ろ長く使える召喚石ですし、そのうち元が取れそうですけどね。」

「僕はその内じゃ駄目なんだ。直ぐにお金が必要でね。」


 恥ずかしながらと、話す彼の事情。元々彼の貯金は近くの村で農業を営む幼馴染を嫁に貰うための結納金の様な物だったらしい。街で単身稼いで幾ら用意したら娘をやると、そういう約束で頑張って来たらしい。

 幼馴染も婚期を逃しそうな今の年齢迄待ってくれている。これ以上待たせるわけには行かないのだと。

 アンタ、そんな金持ってプロポーズしに行った先でこんな買い物をしたのか。この人が能力の評価が低いのはまあ、こういう所だ。


「この金を持って今すぐ、いや不安だ。一緒に行きましょう。その村に。」

「良いのかい?」

「話を聞いていたら心配で、今夜眠れそうも無いです。是非一緒に行かせて下さい。」


 こうして二人、着の身着のまま街から出た。


 街の外に出て早速召喚石から魔獣を召喚する。


 現れたのは確かに毛の長い牛の様な姿の魔物だ。デカい。ただ角が毛に埋もれて見えない程に短く小さい。頭を撫でると瘤の様な感触があるだけだ。

 出てきて早々に道端の草を食べ始める。

 召喚時に、意志の繋がりを感じた。取り敢えず指示は出せそうな感じだな。戻るように念じると粘土細工の様に変形縮小して石版の姿に戻った。繋がりは感じたままだ。

 再度召喚し僕たちと並んで歩くように指示するとそれに従う。

 特に指示がければ勝手に過ごし、指示があると従う。よく躾けられた家畜って感じだな。

これは案外良い買い物だったかも。

 同行する男性。リクタンさんの手を借りてヒメヤディクの背に乗ってみる。毛皮が柔らかく手触りが良い。鞍も鐙も無いので不安定だが、揺れは少なく乗り心地は悪く無さそう。リクタンさんも乗っても軽々と進める。速度としては成人の速歩き程度が標準みたいだ。走ればもっと速いだろうが、走ると曲がるのは苦手なもよう。


 昼過ぎに街を出て、日没の間際には何とかリクタンの村へ到着出来た。そのままリクタンは幼馴染の家に向かう。

 僕は暗くなってきた入口から眺めながら生まれた村を思い出していた。前世の自分の記憶は大分薄らいでいる。

 違うな元々あまり記憶がない、断片的に知識がある感覚で、自分の記憶というものが曖昧だ。生まれながらに変な記憶のある子供。そう表現するのが良いかもしれない。


 基本的に作者としては、魔法などがある世界の文化圏において、作者の住む世界や価値観との対比、日本でのアレに相当する、異世界のソレといった表現や、感性に於いて共感しやすい人物を作るための道具として、異世界転生や転移の設定を使用して居ます。

 この手法は空想世界を描く上で、キャラの心情等が非常に楽に深堀り出来るので、テンプレの出来た昨今、多様されると言うか、標準装備になった感覚があります。

 車で例えると投稿サイトがオートマ車で、なろうテンプレは一種のカーナビでしょうか。

 オートマの登場で運転技能の低い人が路上に増え、カーナビが同じ経路に誘導する為、一部道路が渋滞している。

 現在大衆小説の業界に起きているのはそんな現象だと作者は愚考します。

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