第2話

校門に着くと、男の人が立っていた。「風兄、、、」と、3人は言うと、風兄は、「悪かったな、うちのアホがまたドジやっちまって」と言うなり、空太の頭をポカリと叩いた。「迎えにきたんだ。お前たちどうする?家まで来るか?」と聞くと「あ、あのならいいよ。俺たちは二人で帰るから」とこたえると「そうか、じゃあな」と言うと背を向け歩き出した。空太は、黙って後ろをついて歩き出した。振り返ることもなく。

彼方は「まるで見えない鎖がくくってあるようだな」と言うと心路は「それは言うなよ。空太がかわいそうだ」と言うと「そうだな。俺たちは、道草食いながら帰るとするか」と言い空太たちと逆の方向に足を向け歩き出した。「今日も長くなるな、家に着くの」と彼方は言ったが、そこから先の道はなかった。「あああ、まただ。適当に足を動かすか、そのうちなんとかなるだろう」と言いながら歩いていた。

風兄は二人が遠ざかるのを確認すると「空太ぁ〜びっくりしたよぉ〜いきなり倒れるんだもん、気が気じゃなかったんだよぉ〜どこだ?どこ怪我したんだい?ここかい?」と頬を触ると「痛い!」と叫ぶと「おおそうか、ここかぁ痛かったなぁ」と言いながらきつく両頬を撫でくりまわした。「だからそこだって、痛いからよしてよ」と空太は言ったが、なんか違う気がした。「あれ、サッカーボールで?」とうる覚えになってることに気づくが、それ以上思い出せなかった。


ただ、「風兄、何でいつもわかるの?僕のこと何で知ってるの?」と、ふと疑問に思った気持ちは、無意識に言葉になり口から出ていた。

しかし風兄は、何も聴こえてないようだった。空太は「ああ良かった、僕は言わなかったんだ」とホッとして風兄の横を同じ足並みで歩いていた。しかし、風兄は歩幅が広く空太は大股にならなければならず、いつも必死に歩かないといけなかった。

風兄は、すらっと背の高い中肉中背の男だった。歳はまだ20歳になったばかりのあどけなさは残るが、顔立ちは凛々しい方で喋り方さえ気をつければモテるタイプだった。一方空太は少し痩せ気味の身長も高いとは言えない小柄な男の子だった。ただ、空太は母性本能をくすぐるような甘い可愛らしい顔立ちだった。

幼馴染の四季や、心路や彼方は空太が身体が弱い事を理解していた。だから空太が運動部に憧れ校庭の端から見ている事を気にしていた。

今日も、サッカー部に所属していた彼方はボールがオーバーして空太に直撃した瞬間を目撃して急いで駆けつけた。心路は陸上部で彼方が急いで木の方にかけて行ったのに気づいて、自分も駆けつけた。四季は、走り高跳びを中断して向かっていた。

四季は彼方から聞いて、急いで保健室に氷をもらいに行くと空太のオデコにあてて介抱していた、なかなか意識が戻らない空太に不安になり、内心はかなり動揺していた。

やっと意識が戻って安堵すると、サッカーボールで気を失ったのが許せずいつもの癖で叩いてしまった。四季の性格から、抱きつきたくてもプライドが許せなくて、部活に戻って行ったが、四季は平常心を取り戻し、走り高跳びに集中することが出来た。

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deep sleep @amigajapan

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