深夜お笑いラジオについて語るだけのエッセイ

ぴとん

第1話 深夜お笑いラジオ


 テーマ真夜中ということで、今回は深夜お笑いラジオ好きな私のエッセイをここに綴らせていただきます。




 お耳に、いやお目めに合いましたら。


 私が深夜ラジオに興味を持ち始めたのは、有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMERからである。


 正確にはこの番組は20時から放送なので深夜ラジオとは言えない。


 しかし、その内容は、明るい時間帯には決して聴けないド下ネタのオンパレード。


 テレビでは観られないような、ディープな笑いに、思春期真っ只中な高校生だった私はすっかりのめり込んだ。


 なお、当ラジオはパーソナリティの有吉軍曹により、あまり聴いていることを他所へ口外しないほうがいいと伝令が下されているので、深掘りはせず、ここまでにしておく。


 興味を持った方はradikoプレミアムなど公式の視聴方法で聴いていただきたい。


 続いて私がハマったのが、ハライチのターンである。


 お笑い芸人ハライチといえば、国民の弟澤部氏がお茶の間に広く浸透している。


 「○○なヤーツ」のフレーズが印象的なノリボケ漫才も、正月のネタ番組などで一度は耳にしたことがあるひとも多いはずである。


 その、ハライチが担当するラジオ。どんなものを想像しただろうか。


 温いラジオを想像したなら大間違いである。


 このラジオの魅力は、完成されたフリートークであろう。


 もちろん、コーナーメールも面白いのだが、今回はフリートークに焦点を絞ってお話しさせていただきたい。


 テレビに数多く出ている澤部氏のフリートークは、やはり安定して面白い。既婚者なこともあり、子を持つ親のエピソードが多く、その生活を面白おかしく話す澤部氏の腕はさすがである。

 

 では、相方の岩井氏はどうか。


 彼のトークは、なんというか、すごい。


 急に語彙力のなくなった感想となってしまい申し訳ないが、いまからそれを説明する。


 岩井氏のフリートークは、「0から1を生み出す」のである。


 言ってしまえば、たまに彼は「嘘をつく」のである。


 一例をあげるなら、普段通らない道を歩いていたら、裏の世界に迷い込み、そのまま裏のスーパーマーケットで買い物をした話。


 あるいは、道を歩いていると、漫画とかでありがちな、異世界へと繋がる「光のゲート」を見つけた話……。


 架空の物語を、彼は堂々と今週あったこと、としてフリートークで話すのである。


 落語のようにスッキリとオチまで用意されてることもあり、彼は漫才の原型をラジオで披露しているところもある。


 ゆえに、トークが本ネタ並みにおもしろいのだ。


 ハライチのターンは構成が整っており、もしはじめて深夜ラジオを聴くならば、ぜひおすすめしたい番組である。岩井氏と澤部氏の仲のいい掛け合いは、ハマること間違いなしである。



 続いて紹介したいのが、マヂカルラブリー のANN0(オールナイトニッポン0)である。


 M-1グランプリ王者、マヂカルラブリーのことはご存知だろうか。彼らは、2020年のM-1グランプリ決勝にて、縦横無尽に床を転げ回る「吊り革」のネタを披露して、一躍有名になった。


 古参ぶるようで、気に触るかもしれないが、私はM-1以前に放送されていた「あらびき団」という深夜番組で、彼らのラッパーのネタを見て以来、すっかりマヂラブにハマってしまった。


 当時YouTubeにあがっていたマヂカルラブリー のネタはすべて見たのではないだろうか。(公式のものではないので、あまり声を大きくしては言えないが。お気に入りは「バイク王」のネタである。)


 彼らはM-1決勝の「吊り革」により、世間に「漫才か漫才でないか論争」を巻き起こした。


 この論争に関しては私にも自論があり、少々熱くなってしまうため、ここでは割愛するが、話題の渦中になったことにより、マヂラブは漫才師のなかでも「イロモノ」扱いを受けることになった。


 ただし、彼らの漫才をいくつも見てきた私はこう言いたい。


 マヂカルラブリー の真骨頂は「王道のしゃべくり漫才」である、と。


 彼らの掛け合いによる漫才は、きちんと面白いのである。動きだけが彼らではない。


 ラジオでのトークでも、巧みな話術が光る。とはいえ、気取って聞く必要はまったくない。


 マヂラブANN0でよくある流れは、野田のエピソードを、村上が少しずつ誘導をし、脱線に脱線を重ねて、そのうち大きなお笑いに昇華する。そういった流れである。


 彼らのトークは、くだらなく、深夜の冴えていない脳に、麻薬のように効く。なんでこんなことで笑ってんだろう、と冷静になってはいけない。それが深夜ラジオの醍醐味なのだから。


 野田クリスタル氏には、「くだらない夜のはじまり」というミュージカルネタがあるが、まさにマヂラブANN0とは、くだらない夜と言えよう。



 このほかにも、Yes怪奇どんぐりRPGや、真空ジェシカ、空気階段、蛙亭、トムブラウンなど、語りたいラジオはたくさんあるが、今回はここまでとする。あまりに文字数が多くなってしまいそうだからだ。



 最近ではradikoのほか、SpotifyやPodcast、GERAなどでもタイムフリー(リアルタイムではなく放送後)のラジオが聴ける。


 ラジオはぐっと身近になったのだ。


 ぜひ作業の合間に、あなたも深夜ラジオを聴いてみてはいかかだろうか。



 一緒に深夜の沼にどっぷりと浸かりましょう。




※なお、冒頭の「お耳に、いやお目に合いましたら」は、ラジオをテーマにしたドラマ「お耳に合いましたら」からである。こちらも興味をお持ちになった方はぜひご視聴いただきたい。

 

 

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