第13話
「ご心配おかけして申し訳ございません。お父様。休暇室に向かおうとしたところ迷ってしまい、このようなこのような形となってしまいました」
怪しい男たちの会話や中庭での一件は先程ブリューゲル公爵が説明していたのでさっくりと説明する。
「だいたいはわかった。しかしスノウ今度からそういう事があった際必ず私に報告しなさい」
「わかりました」
ちゃんと報告しようとはしてたんだけど、迷ってたのでお父様のところにいく時間がなかったから今回は許して欲しい。
次からは絶対お父様のところに行く!
何があっても行くので安心してください!お父様!
「殿下、大変申し訳ございませんがそろそろ娘を解放してはいただけませんか?そろそろ自宅に帰らなければなりませぬゆえ」
「……」
お父様はやんわりと王太子様に伝えている。王太子様の反応はブリューゲル公爵の時と同じようになさそうだ。
たださっきと違う点はといえば、囲まれてる腕の拘束が少し緩んだことだ。
誰が話かけても言葉を返す代わりにギューギューと抱きついてきていたのに、今回は違った反応でこれで抜け出せるのではと私は喜んだ。
だけど喜んでいるのは私だけでお父様は頭を抱えていて、ブリューゲル公爵は遠い目をしている。
あれ?喜んでいるのは私だけ?
そっか私はくっついているから、わずかな変化をわかるけれど2人はわからないもんね。
「…ブリューゲル公爵…これはいつからこんな状態なのですか?」
「私が怪しい男を捕らえて戻ってきた時にはもうこんな状態でした」
「そうですか…」
さっきよりもお父様はガックリとしている。
なんかごめん。
娘が今こんな事になってるのがショックだよね。
「私の言うとこは全く聞かないので、もしかしたらご令嬢の父親なら反応があるのでは?と思っていたのですが無意味だったようですね」
「スノウを引っ張って2人を離すことは難しいですか?」
「…考えなかったわけではありませんが、無理に引き剥がして殿下が暴走してしまった場合を考えると、得策ではないような気がして…」
抱きついているだけなので、刺激を与えなければこれ以上悪化することはないと…
確かに王太子殿下に抱きつかれているが、それだけでそれ以上のことはされていない。
公爵様、ナイスです。
王太子様が暴走した場合私は耐えられない…
でも、さっきから耳元に届くと呼吸が寝息のように聞こえるのは気のせいかな?
腕の力も抜けてきてるし…たぶんちょっと引っ張ってもらえば簡単に抜け出せるかもしれない!
「あのー…、たぶん王太子様落ち着かれて寝てしまわれてます…」
「…本当ですか!?メイアール令嬢⁉︎」
ブリューゲル公爵は王太子様を刺激しないように近づいて顔を覗き込んでいる。
目の前で手を振ったり、軽く揺すったりしても微動だにしないことから完全にねむっていることを確認していた。
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