第8話

一方その頃ブリューゲル公爵は怪しい男を追いかけていた。

幸いにも今日は会場にいても挨拶まわりが多くゆっくりと飲み物を飲む機会がなかったので、足は軽快に動いている。


相手の逃げ足が早くなかなか追いつけそうにないが。早く捕まえて戻らないと女の方も仲間だった場合シャルル殿下が危険だ。


迷路みたいな生垣を颯爽と抜けていく。そのまま城内に入られてしまえば、見えずらく、追いかけることが困難になってしまう。それまでになんとしても捕まえたい。


近くに衛兵もいないので、待ち伏せして追い込む事もできないため公爵は慌てていた。


全く。衛兵は何をやっているんだ。


生垣は高めに作られており、大人が隠れる事も可能だ。視界が遮られるため衛兵は常にいるはずなのだが、今日は見当たらない。


王族主催のパーティだから会場に普段よりも多く配属されるのは当然だけれど、いなさすぎる。


実はスノウが目撃したもう1人の怪しい奴が関わっているのだが、ブリューゲル公爵は知らないことである。


生垣をスイスイと走っていく怪しい奴はもうそろそろ生垣を抜けるところだった。


このままではマズイと羽織っていたジャケットを脱ぎ逃走者目掛けて投げつけた。

装飾品が着いているので重みがあるものなので、見事に逃走者にあたって逃走者はよろめいている。

運の悪い事に裾の長いところが足に絡まり、走るスピードが落ちて行く。


グングンと距離を縮め、ブリューゲル公爵は怪しい男を捕らえる事ができた。


「くそぅ!こんなはずじゃなかった!ジャケットを使うなんて聞いてないぞ!」

「このままお前に逃げられるわけにはいかないからな。悪いが使わせてもらった。」


縛りあげる紐も当然ながら持っていなく、ジャケットで代用する。

不恰好だが逃げられるよりはマシだ。


「言え!なぜ逃げた」

「あそこで見つかる予定ではなかったんだよっ!あの女が突然現れたせいで予定が狂った!」

「ということはあの女性は仲間ではないのか?」

「ちげぇよ!」


ふむ。あの女性は仲間ではなさそうだ。

しかし、なぜワインが危険だと知ってたのだろうか?


「本当だろうな?」

「本当だって!だったらなんで飛び出してきたんだよ!あのタイミングはおかしいと思うぜ」

それにお俺もワインの秘密がなんで漏れたか知りてぇ…


怪しい男は嘘をついているように見えなく、俺と同じところに疑問を持っているようだった。

女性に話を聞くにも一度戻ることが必要で、怪しい奴を衛兵に渡そうにも近くにいない。

なので、危険かとは思うが怪しい男ととも中庭の奥の方へ戻る事にした。


もといた場所に戻ると何故か殿下が乱入してきた女性に抱きついており、女性は涙目で赤い顔をしており、助けてくださいと訴えているように私の目には見えた。


「あっ、俺間違えた薬つかったかも…」

「なに⁉︎」


拘束した男の言ったことは今は置いておくとして

殿下、なにをやっているのですか⁉︎

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