第7話
私の突然の突入により男は慌てて逃げていった。
逃げるなんて怪しい。普通のワインならその場で弁明したらいいのに。
ワインに何か入ってるなんてこの段階では彼しかわからない。私もさっきの怪しい男だと思ったから追いかけワインに何か入ってるのではと勝手に思ったのに。
これでは中に入ってますと言っているようではないか。
「待ちなさい!」
私が追いかけるより早くブリューゲル公爵が逃げた男をワインを放り捨てて追いかけていった。
逃げ足が早くあっという間に2人は居なくなってしまった。
そのワインを飲んではダメです!
と叫んだはいいもののそのあとの事を考えてなく、私は王太子と2人っきりになってしまった。
気まずい…。
お父様以外の異性と2人っきりになったことがないからこういう時って何を話したらいいのかな?
世間話?
……いや、こういう状況だし余計な話しない方がいいかも……
とりあえず少し今より距離を取ろうと相手の位置を確認しようとした時、背後から暖かく包み込まれた。
えっ!?
さっきの2人組の1人が失敗したのがわかって私を取り押さえにきたのかとおもったのだが、包み込んでいる服装をみて王太子様でした。
どっ
どういうことなの!?
さっき父と挨拶した時は、興味なさそうだったのに何が起こっているの!?
男性にこういうことされたことないから私の顔はみるみる赤くなってくる。
というか免疫すらなかった。
こういう時の対処法を誰か教えて!?
背後からは王太子様の熱い吐息がかかっている。抵抗しようにもやり方によっては不敬だなんだのとなってしまう恐れがあるので、無駄に抵抗できない。
でも、ここは中庭だ。
わりと奥の方で周りには生垣があるから人目にはつかなさそうだが、このような状況はマズイということはわかる。
王太子様は現在、正常に判断出来そうな状態ではなさそうなんで、ブリューゲル公爵の帰りを待つしかないが、私だって突然現れた怪しいやつ②なんだから発言が虚偽だった場合捕まってもおかしくない。
下手したら仲間だって判断されかねないし…
もうっ、どうしたらいいの?
ここは言葉で伝えてみる?
「…あの…?放してはいただけませんか?」
ちょっと横を向いて伝えてみるが、思ったより声はでず震えてしまったけどなんとか伝える事ができた。
「…かわいい…」
息を飲むような音が聞こえ、包み込まれた腕が強くなった。
あれ?
私、“放して”って言ったのに…
どうしてー!?
スノウは知らなかったのだ。自分がどういう顔をして言ったのかなんて。
ブリューゲル公爵早く帰ってきてー!
この状況をなんとかして!
ブリューゲル公爵が戻ってくるのをスノウは待つしかなかった。
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