第6話

ブリューゲル公爵を追いかけて会場から出たもののすぐに見失って尾行に失敗し迷子になってしまった私、スノウです。


使用人も連れずに出てきてしまったので、現在自分がどこにいるのかわからない。


私の鈍臭さに呆れるしかなね。というか原作知ってるならその場所で見張っていればよかったのでは?


2人の出会いはさっくりとしか書いてなかったけれど、パーティのどこで会ったのかだけは書いてあったんだからさ。その場所に行けばよかったんだよね。


私のバカバカ!なんで気づかなかったの⁉︎

料理を堪能している場合ではなかったんだよ⁉︎


嘆いたところで今の状況は変わらないので、とりあえず近くに人はいないか探してみたけど、誰もいない。

来た道を戻りながら人が通らないか聞き耳をたてたが、あたりは閑散としていて、人が歩く音も音楽も聞こえなかった。


もうしばらく歩いてみよう。来た道をもどればきっと大丈夫だと言い聞かせながら進んでいく。


しばらく歩いて行くと私は人影を発見したので、やっと会場に戻れると人影が見えた所へ行った。


「…だから、これをあの王子に……」

「わかってるって」


声は聞こえて来たけど何やら不穏な会話が聞こえてきたのでピタッと近づくのを止めた。この人たちに近づいたらマズイ気がする。


王子さま?この国の王子様は王太子様のことだよね?

この人たち王太子さまに何かするつもりなの?


怪しい2人は私の事に気づかず去っていったので私は安心した。やっぱり声をかけるのを辞めて正解だった。


それよりも何かすごいことを聞いてしまった!

どうしよう!?

お父様に相談すべきかもしれない。このままじゃ王太子様の身に何か起こるかも!?


そしてはたと気づく、私って今迷子だったってことに。


……八方塞がりだわ。

私は頭を抱えたけれど、どうすることも出来ないので怪しい2人が居ないことを確認し前に進んだ。


しばらくすると見覚えのある回廊まできたので私は安心することができた。

中庭まで来ることができれば道は分かる。

なんたってさっき休憩室に行った時に通ったもの。


よかった。これで会場まで戻れると少し安心したのだが、先程の怪しい2人組の1人がワインを片手に中庭の方にはいっていったので相談する暇はないかもと追いかけた。


あまり知らない人の前にでたくないけど、見て見ぬふりも出来ないもんね。


さっきは暗くてよくわからなかったけれど格好は給仕の格好をしていて、中庭にいても違和感がなかった。


しばらく歩いていくと王太子とブリューゲル公爵がしゃべっている姿が見えてきた。

怪しい男は2人に近づいていき持っていたワインをすすめていた。

2人は疑いもなくワインを手にとったので、


「そのワインを飲んではダメです!」


頭で悩むより身体が先に動いていた。






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