第5話
「スノウよく逃げ出さずに最後まで出来たな。偉かったぞ」
「ありがとうございます。お父様」
怒涛の挨拶回りが終わりほっと一息ついた頃にお父様に褒められてしまった。
もう16歳にもなるのに褒めるところがおかしい気がするけど、今までなんだかんだいって挨拶周りの途中で抜け出していたので、仕方ない。
自分でも頑張ったと思う。
もう帰ってもいいかなぁと思ったけれど、わたしにはブリューゲル公爵の恋路を見守るという義務があるので、もうしばらくは会場の雰囲気を味わうことにした。
あたりを見回してみるとおのおのパートナーを見つけて話したり、仕事関係の話やこんなこといったらあれだけどコネクション作りに精をだしている。
大事だもんね人脈づくり。
『お嬢様はここ数年社交界どころかお茶会もあまり参加せずにいられたので人脈作りの大切さを語るのは些か早いとおもいますよ』
心の中でブランが呟いたような気がしたが、気づかなかったことにした。
そんなことはわかってるもん。友人が少ないってことは!
今まで人脈作りもらしていなかったから、お父様から解放されたはいいけれど、私の友人たちの姿はみつけられない。みんなどこにいるのだろ?
人見知りなのですでに出来上がっているグループに話しかけるということは選択肢は私にはない。
キョロキョロしても見つからないので、私はいつもの定位置の壁へと移動していった。
壁の花と私はなるのだ。
壁の花となりつつも友人とブリューゲル公爵を探すことにしたのだが、今回私が選んだ壁はブッフェが近い。
料理よりも歓談が大事なのかブッフェに近寄る人はいないので私は絡まれる事もなく友人探しができるけど、少し遠いんだよなぁ
今のところ友人もブリューゲル公爵も見つからないし、せっかくだから王宮の料理を堪能しながら探そう。
二度目の王宮だもん。楽しまなきゃ。
そこで私はまず見たこともない料理のお皿を取って食べはじめた。
料理はどれもさすが王宮という料理で品もあり繊細な味がして美味しかった。
この料理を食べないなんて損してるね。
この料理は今日のパーティのためにコック達がまごころを込めて作ったものなのに悲しいなぁ。
料理人にとって作ったものを食べてもらえないって何か寂しさを感じるよね。
少しセンチメンタルな気分になっていると友人ではなくブリューゲル公爵が会場を出ていくのが見えた。
これはヒロインとの出会いイベント発生では?
とわたしは後を追いかけたのはいいのだが、すぐに見失ってしまい尾行失敗。
というか角を曲がってすぐにはもう見失っていたから尾行にすらなっていないね。それでも諦めず近くにいるのではと前進したのが悪かった。
どうしよう!?ここがどこだかわからん!?
王宮にあまり来たこともないのに無闇に出ていくんじゃなかった!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます