第3話
なんていうことだ。なんで今まで気づかなかったのだろう。
薄々この世界の記憶でないものがあるなぁとは思っていたけれど、今このタイミングで思い出すとは思わなかった。
今まで自分が転生したことに気づかなかったことにもびっくりなのに、まさか小説の中に転生しているとはね…ほんとびっくりだよ!
ユーフォ公爵の話をきいてこの世界が前世で読んでいた小説の世界だという衝撃で動揺が隠せないでいると
「スノウ嬢? 顔色が悪いようだが大丈夫ですかな?」
「お気遣いありがとうございます。お父様、気分が悪いので休憩室へいきたいのですが大丈夫でしょうか?」
「ああ、かまわんよ」
この動揺を押さえるために人のいない場所に行きたかったので、お父様に聞いてみた。あっさり承諾が得られたのでとっととその場から離れた。
離れる際にお父様が久しぶりのパーティだから人酔いではないかと言っていたがそれももちろんあるだろう。
私は近くにいた使用人に休憩室まで案内してもらい部屋の中に入った。
パーティは始まったばかりだったので休憩室には誰もいなかった。なので私はゆっくりと頭の中を整理することにした。
本当は紙とペンが欲しいところだが、今は我慢するしかない。
この世界は私が前世で読んでいた『公爵と初恋の花嫁』というタイトルだったはず…
公爵さま目線の小説だったから斬新で面白かったのを覚えている。
公爵さまのヘタレ具合とヒロインのさっぱりとした性格なので2人の掛け合いが良かったなぁ
ついつい読んでいて公爵さま負けないでって応援してたっけ…
小説の主人公とブリューゲル公爵は容姿が小説の公爵さまとそっくりだし、さっききいた設定と似ている。表紙や挿絵に書かれていたから間違えるはずがないだろう。
あのハイスペックだけれどヘタレとか他の方はどうかわからないけれど私はキュンキュンしちゃうね。
ユーフォ公爵がまだ婚約者がいないって言っていたから物語はまだ始まってないのだろう。始まる前に思い出してよかった!
やっぱり2人の出会いとか物語では詳しく書いていないところなど見たいもんね。
そろそろだとは思うんだけどいつごろかなぁ?
できれば社交の場になんて出たくはないけど、2人のことを見たり、公爵さまを応援するにはなるたけ出席しないとダメだよね?
じゃないと見れない!
見たいけれど、人見知りだからパーティや茶会などの人の集まるところは行きたくない。行きたくないけど2人の恋模様は見たい!
悩んだ結果、覚悟を決めた。
今まで避け続けた社交をこれから参加するって!
さすがにいきなり届いた招待カード全部に参加するのは無理だからブリューゲル公爵さまが参加しそうなものをピックアップして参加しよう!
私は拳をグッと握り決意を新たにする。
うん。頑張ろう!
まずは今日のパーティを乗り切ってからだね。
そうして私は休憩室を退室し会場へと戻った。
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