第39話

実験はかなり進んでいて、

すでに7割は完成している。


サリーの傷に関しては毎日万能薬で直しているので

本人は自分の体が切り刻まれていることに気づいていないだろう。


「ふむ、そうか。

で、実験に使ってる奴隷が薬が効かなかったということだな?」


「はい。薬は普段と同じ量だったのですが…。

明日から普段より多く薬を混ぜようと思っていますが、

薬を多くすると実験に支障が出る可能性がありましたので…。」


「ほう。であれば、明日から薬の量を増やして実験を続けろ。

また近いうちに新しい実験体を用意する。」


「はい。ありがとうございます。

失礼します。」


全くあいつは人をなんだと思ってるんだ。

まあこんな実験をしてる俺の言える事じゃないけどな。


早く実験を完成させて報酬を貰ってこんなところとおさらばしないとな。

この実験が終われば俺はかなりの大金がもらえることになっている。

その大金で後生遊んで暮らしても問題ないくらいの額だ。


まあそれだけ人に見つかったりしたらやばい実験なんだけどな。


実験室に戻るとサリーは未だに起きているようだ。

一体なんで急に薬が効かなくなったのか。


まあ今日の実験は中止だな。


「今日は実験できそうにないな。

明日から薬の量を1.5倍にするからな

今日は帰っていいぞ。」


部下にそう声をかけて俺も私室に戻る。


sideサリー


長い時間起きてるのに動けないってつらいな。

どうにかして早く逃げたいけど。


せめてシュガーちゃんと話せれば…。


そう思った時にスキルの取得に関して思い出す。

スキルは祝福で授かるものの他に長い年月をかけて

修行して身に着けることが出来る。


スキルの中に念話ってあったよね…。


念話は遠く離れた場所に居ても話が出来るようになるスキルだったはずだ。

心の中で話す感じだと以前読んだ本に書いてあった。


もし本当にスキル取得までの過程をスキップできるなら…。

そう思い立ち心の中でシュガーちゃんに呼びかけることにした。


『シュガーちゃん!サリーだよ

聞こえたら返事して!』


とひたすら心の中で念じ続ける。


ー----------------------

スキル:スキップの効果が発動しました。

スキップの効果によりスキル:念話を取得するまでに

必要な過程をスキップしました。

ー------------------ー----


心の中で念じ始めてからかなりの時間が経った頃

とうとう覚えられた。

本当に覚えられるとは思ってなかったけど覚えられた…。

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