第38話


普段であればご飯を食べたらすぐに眠くなるのに

昨日に続き今日も眠気はやってこなかった。


「ど、どういう事なの…。」


ご飯を運んできてくれる人が小声で何か言っている。


「あの、どうしたんですか…?」


「なんでもないわよぉ

それじゃあまた明日来るわねぇ」


男の人は動揺しながらも答えて部屋を出て行った。


一体どうしたのだろうか。

そんな事よりも早くここから逃げる方法を探さないと。


そう思いながら自分の現状を確認する。


体は椅子に縛られたままだ。

手も足も縛られているので逃げるのは難しそうだ。


部屋の中を見回してみても

出入口はいつものご飯を持ってきてくれる男の人が出入りしてるところ

だけみたいだ。

窓とかもないみたい。


「シュガーちゃん待っててね…!」


そう言いながらも必死に逃げる方法を考える。


スキップの効果でスキル取得までの過程をスキップって言ってたな…。

どんなスキルでも覚えられるなら逃げられそうだけど…

そんな簡単にスキルを覚えられるスキルなら

きっとOスキルにはなってないだろうな。


明日ご飯を持ってきた時に少し話してみよう。


side白衣の男


どういうことだ。


今日の食事にも普段と同じ量の麻酔と睡眠薬が入っている。


いつもであれば一口食べた時点で薬の効き目が出てすぐに

眠っていたはずなのに、

今日は眠るどころか完食した。


その後も眠そうな素振りは見せていなかった。


これはミートに報告しないと。


そう思い立って俺はミートの執務室に行くことにした。


「俺はミート様のところにいくから部屋の監視頼むぞ。」


部下にそう言い残してミートの元へ向かう。


「ミート様、トーマスです。

実験の事でお話が…。」


ミートの執務室に着きノックしながらそういうと中から

入れと返事が来たので部屋に入り扉をしめる。


「実験の事って事はあの奴隷の事か?」



「はい。

あの奴隷に毎日同じ量の薬を食事に混ぜて眠らせてから

実験をしているのですが、今日は食事を食べた後も眠る気配が

無かったのでご報告に来ました。」


「実験の方はどこまで進んでいるんだ?」


「はい。実験の方は7割完成しております。」


実験とはサリーでしている人体実験だ。

内容はサリーの体を切り刻んで再生できる薬を作る。

というものだ。


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