第34話


その日から何日経ったのか。

まだ椅子に繋がれたままだ。

毎日白衣を着た男の人が来る。

その人はご飯を持ってきてくれる人

ご飯をくれるだけで会話はない。

ご飯は硬いパン。


パンを食べるとなぜか記憶があいまいになって

またすぐ男の人がくる。


「今日はサリーがここに入って10日目になりますぅ

ここの部屋では10日に一回食事が豪華になるんですよぉ!

今日は豪華な食事ですよぉ!

しっかり食べてまた頑張ってくださいねぇ」


今まで一回も聞いたことなかったけど独特な喋り方をする人だ。


「ぁ…いが……す。」


10日間もまともに喋ってなかったからなのか

お礼を言おうとしてもちゃんと話すことが出来なかった。


「いいんですよぉ

これも私の仕事だからねぇ」


そう言いながらとても豪華な食事を目の前においてくれた。

凄くでかいお肉、柔らかそうなパン、具沢山のスープ

美味しそう…。

早く、早く食べたい…。

その一心で食事に向かって顔を伸ばす。


「はいはぁい

慌てなくてもちゃんと上げますからねぇ」


そう言われて私は少し落ち着いて

食事がもらえるまで待った。


「はぁい

じゃあ、スープから食べましょうねぇ」


スープを一口食べたところで意識がなくなった。

覚えてるのはとても美味しかった事だけ。


「はぁい

今日もお食事ですよぉ」


毎日何もせずに椅子に座ってるだけなのに

時間が短い。

気が付くと次の食事になっている。

いつまでこんなことが続くんだろう。

食事を食べ始めるとやっぱり意識が朦朧としてくる。


ー--------------------------

side白衣の男


この奴隷がこの部屋に入ってからすでに

3か月経過している。

毎日麻酔と睡眠薬の入った食事を与えてから

実験に入る。


ミートの命令でこの奴隷の体を使って人体実験をしている。

実験のためにかなり酷い事をしてるけど

この奴隷は麻酔と睡眠薬のせいでなにが起きてるか

全くわかってないだろうな。

可哀想に。


後半年もすれば実験が成功するか成功しなくても

この奴隷は死ぬだろう。

まあ、実験に失敗してもかなりいい記録が取れるし

気にすることも無いか。


そんな事を考えながら俺は奴隷の右手の指を一本ずつ切り落としていく。

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