第32話


馬車の動きが止まった。

どうやら、屋敷に着いたようだ。


「ご主人様屋敷に到着いたしました。

本日の予定はこれで全て終わりです。」


「うむ

それでは俺は部屋に戻っているから

食事の時に呼びに来い。」


そう言い残しおじさんは消えていった。

何も言われずに私は放置されその場で立ち尽くしていると


「君は新しくご主人様が買った奴隷かな?」


優しそうな執事服の男の人に話しかけられた。


「はい。私はサリーと言います。

よろしくお願いします。」


「私はサードといいます。

これからの事は私とメイドの中の教育係から説明させていただきます。

こちらへどうぞ。」


そう言ってサードさんは移動したので

慌ててついて行く。


屋敷の中に入ると、メイドさんや執事さんが何人かいた。


「サードさんその子は新人かしら?」


「はい。本日から奴隷で買われてきたサリーちゃんだそうです。」


私に気づくと少しぽっちゃりとしたメイドさんの一人が話しかけて来た。

サードさんに紹介されたので頭を下げてお辞儀する。


「サリーです。

よろしくお願いします。」


それからサードさんとメイド長のマーチさんに屋敷の事やルールとかの

説明を受けた。


この屋敷はテルマ子爵家の屋敷らしい。

テルマ子爵の現当主ミート・テルマが私を買った人だ。

ミートは奴隷を買って奴隷の一時譲渡の魔法を使って

奴隷の貸し出しなどをしているらしい。

この屋敷のルールはミートに絶対服従とミートをご主人様と呼ぶ。

主にこの二つだけらしい。

私の年齢はまだセーフだけど、大きくなれば夜伽の相手もさせられるらしい。

ちなみにマーチさんはミートへの夜伽で妊娠してしまったらしい。


「この屋敷についてはこれくらいかな?

これからよろしくねサリーちゃん。」


「サリーさん今日は疲れたでしょう少し早いですが、

休んで明日に備えてください。」


部屋に案内されて今日は休ませてもらった。


部屋に入ると安宿かってくらい小汚くて狭い部屋だった。

部屋の広さはベッドが一個と机が置いてあってそれ以外のものは

置くスペースもないくらいだった。


これからどうなるんだろう。

奴隷解放の条件を頑張って探さないと。

幸いミートの命令や、仕事がない時は比較的自由に動けるし

屋敷内の図書館とかも自由に使っていいそうなので

何か逃げるためのヒントを見つけられるかもしれない。


明日は朝から仕事を覚えないといけないし

早めに休もう。


おやすみシュガーちゃん

この場にいないシュガーに心の中で挨拶をして眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る