第31話

私はオークションが終わって買い手がついたので

別室に移動させられた。

この部屋で私を買ったおじさんと顔合わせをしたり

奴隷契約をしたりするらしい。


そんな説明を受けてしばらく待っていると

オークションの関係者に連れられておじさんが部屋に入ってきた。


「こちらがお客様がご購入された奴隷でございます。」


「よし確かに確認したぞ。

早く奴隷契約を進めろ」


おじさんは偉そうな態度で奴隷商を急かしている。


「畏まりました。

ですがその前に購入代金の方を頂戴いたします。」


おじさんはそう言われるとめんどくさそうにしながら

懐から小袋を取り出してテーブルの上に放り投げた。


「確認させていただきます。

はい。ピッタリ確認できました。

それでは奴隷契約の方を進めていきますね。」


私は部屋の隅に立ってジッと逃げる機会を探っていたけど

逃げる暇はなく奴隷契約になってしまった。


人間の奴隷契約はシュガーちゃんの時と違うみたいで

黒いインク?でお腹の上に文字をかかれた。


「はい、それではお客様こちらの紙に承諾のサインをお願いします。」


おじさんがサインすると黒いインクで書かれた場所に急に

痛みが走った。


「うっ…」


私が苦し気な声を上げたらおじさんはこっちを見て

ニタニタと気持ちの悪い笑みを浮かべていた。

キモチワルイ。


「これでお前は俺の所有物だ。」


「お客様今回もありがとうございました。

またのご利用をお待ちしておりますね。」


やっぱりこのおじさんは何回も来ている常連だったようだ。

私はオークションの前によくしてくれた人に挨拶もできず、

私を買ったおじさんの名前も知らぬまま連れ出されて行った。


おじさんに連れられてオークション会場を出ると

少し大きな馬車に乗せられた。


「おい、早く乗れ。

今日から俺の事はご主人様と呼べ。

屋敷についてからのルールは他の奴隷に聞け。」


頷いて返事をすると急に視界が変わった。

おじさんの足元に倒れているようだ。


「わかりました。ご主人様。じゃないのか?」


手を振り上げていつでも殴れるようにしながら

そういわれる。


「わかりました…ご主人様…」


小さく返事をするとおじさんは満足したようで

手をおろして椅子に座りなおした。


馬車に乗ってからどれだけの時間が経っただろうか。

何か気に食わない事をする度に殴られるので

緊張感ですごく時間が長く感じた。


これから毎日こんな生活が続くんだろうか…

早く冒険者に戻りたいな…

シュガーちゃんはどうしてるかな。早く会いたいな。



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